西義輝の回想録が暴いた鈴木義彦の正体(6)

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[西が鈴木と交わした密約(英文契約書)]

「私はこのような鈴木からの要請が何度も続いたことに対して疑いを持ち、2001年11月に鈴木が借りたホテルオークラのエグゼクティブフロアーの部屋にて鈴木との間で一つの英文による契約を結んだ。それは【この契約日から5年以内に、総利益の内の経費を引いた3分の1を、契約に基づいて西義輝に支払う。但し、年に一度は利益の推移を必ず確認を行いあうこと。契約期間は2006年11月末日までとする】という旨の内容だった」 この書面はA氏と西、鈴木が交わした「合意書」とは違いA氏の名前が無い。その理由として鈴木は「以前にA社長には14億円の利益の分配をしているので、これ以上を支払う必要性は無い。但し、借り入れている18億円(注:実際は元金28億円超)に関しては、解決の方法を考えているから」と西に言ったという。「常々、鈴木は私に対して『周りの人間たちには鈴木は国内にはいないと言って欲しい。名前を表に出さないで欲しい。エフアール社を絡めた部分で300億円の個人保証をしているので、表に出るわけにはいかない。また、ユーロ債の新株発行に関しては私が表に出て行えば利益を稼ぐことが難しくなるので』と、さまざまな機会で何度も言っていた。私は、その時鈴木が周囲の人たちから逃げようとしているということを察知した」

英文の契約書を作成ことになったのは、鈴木の身勝手な言動、さらにそれまでの2年間で受けた鈴木の行動に対する不審感からだったというが、それ以上に「志村化工株の大量買付けにより、東京地検特捜部から私(西)に捜査の手が伸び、証券取引法違反による逮捕が固まりつつあったことが大きな要因となった」

「鈴木も志村化工株売買によるインサイダー容疑での逮捕が確実で、もし逮捕されることがあれば、今までのあらゆることが表に出てしまい、お金の流れも暴かれてしまうことになり、努力が無になってしまう」と西は考えた。また鈴木には親和銀行不正融資事件により5年間の執行猶予がついていたため、「次の逮捕により全ての刑が鈴木に覆いかぶさってくる。この英文契約を結ぶ条件として、私は鈴木を逮捕から守ることがあり、私は鈴木にそのことを約束した」という。

平成14年2月27日、西は証券取引法違反の容疑で東京地検特捜部に逮捕された。「拘置所にいるときの検事の取調べは本当に過酷なものだった。私と検事の間でさまざまな駆け引きが行われていく中、私はその後保釈に至るまで、鈴木のことは一言も話さず、最後まで鈴木を守った。結局、鈴木のこの件での逮捕はなかった。その後の同年3月末、すべての取調べを終えて私は保釈された」 西は、逮捕されたことはあくまで自分の責任で判断し実行した結果での失敗としながらも、「鈴木のその後の行動や態度に関しては、今思えば余りにも非人間的な考え方であったと思う」と記した。

〔「面倒を見るのは終わりにしたい」と鈴木が西に捨てゼリフ〕

「志村化工株の株価操作事件の逮捕劇からおよそ1か月、私の保釈後、鈴木は今までと変わらぬ対応で私に接し、保釈金の立替、毎月の生活費用(100~150万円)、弁護士費用を払い、裁判の結審が行われるまで、非常に密に意見交換を繰り返していた」

仮に公判中ではあっても、西の言動によっては鈴木の逮捕が有り得たからで、鈴木の秘密を知っている西に対して、鈴木は大事に扱っていたに違いない。

2003年(平成15年)の夏、西の刑が確定し、懲役2年、執行猶予3年の判決が下った。すると、同年の9月、鈴木から西に電話が入り「一度ゆっくり話がしたい」というので、西と鈴木は西麻布の喫茶店で会ったが、「その時、彼は私のことを『西さん』と呼ぶようになっていた。今まで私のことを『西会長』としか呼ばなかった鈴木が、裁判が終わった直後に態度を変えたことに対して私は非常に驚いたが、それ以上に驚いたことは、『西さんへの毎月の生活費の支払いをそろそろ止めたい』と言われたことだった。私は、その時鈴木にたった一つの事だけを言った。『執行猶予が切れた暁には、二人で交わした契約を実行していただきたい』。私はその時約300億円以上の利益が積み上がっていることを伝えられており、『自分には多額の借入金があり、それの清算をしなければいけない。もちろん、A社長にも返済しなければいけない金額が沢山ある』というと、驚くことに鈴木が私に言った言葉は『Aは俺には関係ないだろう。西さんが取り分をどうしようと勝手だけど、俺は14億円の分配と10億円の借入金を返済しているので、もう全てが済んでいる。俺と一緒にはもうしないでくれ』ということだった」

西はその場を終えたが、その直後から鈴木の携帯電話がつながらなくなり、紀井経由でなければ連絡が取れなくなったという。ただし、西が必要に応じて紀井に電話をすると鈴木からは必ず連絡があったので、少しは安心をしていたという。(以下次号)

2019.11.23
     

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