金の亡者 名家滅亡への道(11)

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後藤は大変な女好きである。同社関係者によると「背の高い女」が好みのようだが、後輩や下請会社に声をかけて合コンなどを不定期に開くのもめぼしい女性を物色することだけが目的で、周囲の人間は顔には出さないが一人として楽しんでいる人はいないようだ。合コンで好みの女性に会えばブランド品のプレゼント攻勢が始まる。プレゼントで堕ちない女性に対しては最後に「現金100万円を渡す」(同社関係者)というが、世の中全てが金で解決できると、後藤は本気で考えているようで、それこそが後藤の人格や品格を疑問視する大きな要因になっていることを後藤自身が気づいていない。女性へのプレンゼントや現金攻勢での成功率は2割にも満たないのが何よりの証だ。女性には後藤の下心が見透かされているし、バカにされているに違いない。後藤はブランド志向が強く、上場会社のトップや役員には尻尾を振って媚を売っている。後藤自身に人やモノを見極める力はなく、取引先の東京ガスや三井不動産、日立ビルシステムほかゼネコンなど大手企業のトップクラスへの貢ぎ物には金に糸目をつけず、ブランド品、宝石類等を贈答している。これらと同様に女性へのプレゼントも当然のように経費で落としているという。後藤は自分を「男の中の男」とか「金払いが良い」 と周囲にも吹聴しているようだが、後藤がそれを言うたびに誰もが苦笑しているのだ。前号でも触れた通り、自分から飲み会やゴルフに誘っておいて支払いは全て割り勘にするような後藤を誰が「金払いが良い」と思うだろう。さらに下請会社などの弱者から巻き上げた金で口説く女性へのプレゼントを買うような後藤を誰が「男の中の男」と思うだろうか。

後藤の年収は表で3億円だが、裏でも2億円を確保しているという。裏とは無申告(脱税)の金で、手口の一つが架空発注だ。本来は納税義務のある法人の利益を架空発注で調整したうえに後藤個人にキックバックさせる。これは特別背任行為で重罪である。また、資産として所有する高級外車やクルーザー、航空機の買い替え等で減価償却を利用する手法も駆使しているが、気心の知れた知人や業者に超低価格で売却した後に業者が相場で売った代金の差額の一定額をキックバックさせる。沖縄の土地取引では10億円前後の利益を出したが、この取引では反社会的勢力に利益供与を実行するという犯罪を犯している。これも事実が表面化すれば金融機関は一発で取引を停止するから、太平エンジニアリングは経営危機に陥るし、後藤家の一族も非難を浴びるに違いない。中でも実兄の高志への影響は甚大と思われる。みずほコーポレート銀行の副頭取から西武ホールディングスに移り、同社のトップとして再上場を果たしたが、そうした実績も実弟の不始末で泥をかぶることになる。実兄は太平エンジニアリングの株主でもあるから、コンプライアンスから見ても責任は重い。

そうした犯罪行為が発覚した際に自身を含め周辺にどれほどの影響が出るのかを後藤はどのように受け止めているのだろうか。62年の人生で金の苦労は一切ないはずなのに金への執着は人一倍で、常習の賭け麻雀は、基本勝つまで止めない。あと半チャン、あと半チャンと言って雀卓を囲む相手を困らせ、止むを得ず敗ける相手から容赦なく掛け金を取る。ゴルフでのニギリも常習で、自分のゴルフ場ゆえにやりたい放題という。そんな日常を後藤は平然と繰り返しているのだから、恐らく犯罪という認識もないのであろう。後藤は今、証券会社に勤務する一人娘への相続税対策に躍起となっており、すでに娘に資産を移し始めているというが、これも節税の度を超すと重加算税を徴収され告発の対象にもなるから、その事実が実名も含め広く世間に公表される。しかし、後藤の場合はこれまでに触れているようにいくつもの犯罪行為が絡み合ってくるので、税の徴収だけでは済まされないに違いない。

他にも後藤は知人に無理な頼み事をして、何人もの人を動かして成果を出したにもかかわらず、約束を何回もずらして最終的には完全に反故にして連絡を絶ったとある関係者は言う。「知人の関係者等は後藤を絶対に許さないという覚悟を決めているようだ」。何人もの人に対して平気で裏切るようなやり方をする後藤が、近い将来に自身を滅亡させることになるのは自業自得である。このような人間が大企業のトップにいつまでも君臨していれば、後藤自身も会社も必ず破滅につながる。周囲の人間のことを考えない人間に発展はないから、さっさと社長の座を降りるべきだ。(以下次号)

2020.07.13
     

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