金の亡者 名家滅亡への道(2)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

〔G社長の蛮行が止まらない〕

G社長が率いるグループ企業は、親会社を軸に20社を超えるが、そこに働く社員たちは、誰もが就職情報誌に載った「年間休日100日以上で残業は月に30時間も無い」といった雇用条件を鵜呑みにして就職したばっかりに、悲惨な社会人生活を送ることになった、と失望と後悔の念に溢れている。

本誌の取材で得られた情報によると、「基本給が限界ギリギリまで低く抑えられ、あらゆる手当が基本給を基準に設定されているから、馬車馬のように働いても毎月の給料は変わらない」という。

グループ企業には金融会社があるが、その会社が存在する目的がG社長らしい。親会社の本業はビルメンテナンスや設備工事で、下請け業者は数えきれないほどいるが、下請になると「下請け会」への入会が強制され、入会費や年会費を徴収される。下請けになったからと言って、常時受注するためには親会社の意向を汲んで徹底的な値切り、長期の支払いサイトに堪えなければいけない。そうでなければ、下請同士の競争に負けてしまうからだ。

しかし、それでは下請会社の経営が維持できず、毎月の運転資金が切迫するから、ここで金融会社が登場して融資を実行する。つまり、親会社が支払う代金を担保に子会社が融資をして金利という利益を貪る。取りっぱぐれは全くない。こうした下請け業者への扱いは、誰が見ても不条理としか言いようがないが、G社長は“温情ある計らい”と考えているから始末に負えない。今のところ現場を知る本社と金融会社の社員、下請け業者から非難や怨嗟の声は上がっていない模様だが、いつそれがマグマのように噴火するか、知れたものでは無い。

というのも、G社長は会社のM&Aやリストラに余念がなく、一旦は買収した会社でも不要になったと思えば、バナナの叩き売りのごとくに切り捨てる。最近の例で言えば、動物保険を業としている会社を高値で売却して巨万の利益を得たが、その会社に働いている社員の処遇などには一切目を向けなかった。前号でも触れたように、好みの女性にプレゼント攻勢をかけながら、時が経って飽きるとポイ捨てしてしまうG社長は、会社経営でも下請け業者への対応でも同じことをやっているのである。

G社長は、いざ自分のことになると、カネにものを言わせて傍若無人な振る舞いが際立つ。実兄が代表を務める巨大ホールディングカンパニーとの癒着を始めとして、私的な資産を増やしたり機密の交際費を捻出することを目的とした会社を用意する。G社長の欲望を満たす一つの例として東京銀座に開業している割烹料理店があるが、同店はG社長自らがオーナーである。

こうしたG社長の身勝手な振る舞いを行政当局が放置するはずも無く、着実に情報を手許に集めている中で、それが公然化する日もそう遠くはない。(以下次号)

2019.12.14
     

SNSでもご購読できます。

    お問い合わせ