強欲 鈴木義彦に残された選択肢

強欲 鈴木義彦に残された選択肢(1)

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[海外ファンドで使途不明金9億円]

エフアールで鈴木の側近として動いてきた天野裕は、鈴木が親和銀行をめぐる不正融資事件で逮捕された後、エフアールがなが多、クロニクルと社名を変えても一貫して“独裁”を維持してきたことが大きな要因となったのか、平成23年8月3日、都心の京王プラザホテルの客室で、首を吊った状態で遺体が発見された(当時は会長)一部には「何者かが天野氏を吊るした後に足を引っ張った」という恐ろしげな指摘もあるが、天野の死には余りに謎が多いのも事実だった。
会社の公式の発表は「8月3日午前5時、急性心不全により自宅で死亡」としたが、事実は明らかに違っていた。なぜ、このような違いが起きたのか。クロニクルは曲がりなりにもジャスダックに上場する企業だったから、企業としての信用を憚ったのは良く分かるが、余りのギャップの大きさに却って不信感が募ることになった。しかし、クロニクルが具体的なコメントを出すことは無かった。
天野は、会社では投資事業を専権事項にして具体的な情報を社内外に開示することは無かったという。鈴木が、親和銀行不正融資事件で逮捕されたことでエフアールの代表権を失うとともに株主名簿からも名を消し、さらに平成12年に取締役を退いたことで鈴木とエフアールの関係は無くなったと業界には受け取られたが、それはあくまでも表向きのことに過ぎず、天野には鈴木の存在を無視することなど出来なかった。
それ故、なが多やクロニクルで発表されるユーロ債(CB)の発行や第三者割当増資が、実は全て鈴木の指示(意向)の下に実行されていた事実を一部の人間に明かすことにしたことがトラブルの一つといわれている。
しかし、天野が死亡すると、続々と使途不明金が発覚し、平成24年1月、過去の会計処理と有価証券報告書虚偽記載の疑義に関する事実関係の調査をするとして、第三者委員会が立ち上げられた。
すると、SECが、天野がシンガポールにファンドを3個組成して合計9億円もの資金を流し、ファンドから自身に対して資金を還流して個人的な流用を計画していたとして金融庁に課徴金を課すよう勧告していたという情報も表面化した。
問題は「個人的な流用」で、これまでの情報ではファンドの組成から資金の還流が天野単独による犯罪行為とみなされた模様だが、天野の背後には常に鈴木の存在があったことを考えると、還流資金が一人天野の私的流用と断定していいのかどうか強く疑われる。鈴木が天野の背後でエフアールに関わってきた事実を、社内の人間は少なからず承知していた。

そもそも3個のファンドをシンガポールに組成して行う投資事業とは何だったのか? その情報すらクロニクルは公表していなかったが、それこそ鈴木の本領と考えるのが自然で、天野は「エフアール 代表取締役」という名義(肩書き)を使われた可能性が高いのだ。天野だけではない。今回の事件では10人以上が事件に巻き込まれ自殺や不審死さらに数人が行方知れずになっているだけに、鈴木の悪事を許せないと関係者は揃って口にする。
第三者委員会が調査して判明した使途不明金は平成20年からとなっていたが、それは、鈴木が平成18年頃から旧アポロインベストメントを軸にしてステラ・グループを組織し、同興紡績ほかいくつもの企業買収を繰り返し、あるいは業務提携を活発化させた時期と重なっていた。
ステラ・グループへの変貌と企業活動に要した資金を鈴木が調達するに当たって、クロニクル(天野)が利用された、と考えると、天野の自殺はこれまでに伝えられてきたものとは全く違っていた。(以下次号)

強欲 鈴木義彦に残された選択肢(2)

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〔相次ぐ自殺や不審死〕
鈴木の側近だった大石高裕は、親和銀行事件で鈴木と共に逮捕され、平成12年9月20日、懲役1年6月(執行猶予3年)の有罪判決を受けた後、交通事故で死亡した。余りに突然のことだったが、事件発覚から逮捕・起訴後の公判が続く中で、鈴木と大石の関係に亀裂が入ったようで、西義輝が大石の妻に5000万円を渡した事実が西のレポートに綴られているそれによると、鈴木から「大石の口を封じたい」という依頼があり、1999年11月に貸付を実行したという。こうした経緯を耳にすると、大石が命を落とした交通事故に故意は無かったのか、天野、大石の2人が側近中の側近だけに大きな疑問が残る。
天野、大石の例だけではない。鈴木をめぐっては、周辺関係者とトラブルが起きると、相手がいつの間にか自殺や不審な死を遂げるなど物騒な出来事が余りに多いのだ。原因は決まって鈴木の身勝手な約束違反に端を発した金銭トラブルで、西と仕掛けた株取引の初期の段階で利益金の海外流出に一役買った吉川某は、平成12年から同13年にかけてSECからマークされたことからフランス(パリ)に逃げたが、その後、鈴木との関係がこじれて険悪になったという話を聞いていた関係者が鈴木に吉川のことを尋ねると、鈴木が「あいつは死んだよ」と素っ気なく返事をしたことに大変驚いたという。吉川の消息は今も不明だ。
また、同じく株取引で鈴木とタッグマッチを組んだ西田晴男は、平成19年に南野建設の相場操縦容疑で大阪地検に逮捕された後に、持病の糖尿病が悪化して4年後の平成23年3月に死亡したが、自らの証券口座を持たず、株の取引は全て側近らの口座を使い、銀行口座すら自らのものを持たなかった。側近の口座等にたまった”N勘定”と呼ばれる潤沢な資金については、誰もその所在も行方も分かっていないが、西の前出のレポートによると、「(西田の側近だった)白鳥女史は、このユーロ債(アイビーダイワ)にて15億円以上の利益を上げることができた。ただ、白鳥女史にSEC(証券取引等監視委員会)および国税庁(東京国税局?)から内偵調査が入り、彼女は2002年(平成14年)にヨーロッパへ逃亡し、未だ帰国出来ない状況にある」と記しているが、鈴木が西田の“溜まり資金”を放置することなど有り得ないので、白鳥女史と謀って運用に動いた可能性は大きいと多くの関係者が口を揃える。

[細木数子と鈴木義彦の密接関係]
鈴木義彦という男は、いったい何か? と聞かれて、即座に帰ってくる言葉の多くが“人非人”という衝撃的なものだった。
人にあらざる人……。こんな言葉を特定の個人を指して言えば、名誉毀損に当たる可能性が高いと思ってはいても、鈴木を知る多くの関係者たちにそう言わせるのは、何よりも鈴木の周辺で数多くの人たちが不審な死を遂げ、あるいは自殺しているからに違いない。
セレブ夫妻殺人事件としてマスコミでも話題になった霜見誠(JOF)の事件も、“実行犯”が逮捕、起訴され、有罪判決を受けたことで決着がついたように見えるが、背後に潜んだ真相は依然として謎だらけのままだ。
鈴木が海外に隠匿し続けた資金は、今や1000億円を超えるといわれ、恐らくはプライベートバンクの口座名義人の口座に振り込まれた利回り(これだけでも年間100億円前後になる)で優雅な暮らしを満喫していると思われるが、「それは西を始め多くの人たちの協力がなければ成し得なかったことなのに、恩恵を受けているのは鈴木一人で、他は全員が犠牲になっているのは許されないことだ」という話を一人や二人だけでなく関係者全員が指摘していることを鈴木は重く受け止めるべきだ。
「過去に、鈴木と細木数子の関係が取りざたされたことがあったが、鈴木が株主から依頼されて金を預かり調達した宝石(1億数千万円のネックレスという)を、株主に渡さずに細木にプレゼントしたという事件があって、二人はどういう関係なんだ? と話題になった。真相は分からないが、海外資産に絡んだものではないかという話も多くあり、ここにきて鈴木との関わりで足元をすくわれる結果になりかねない」(関係者)
国税当局にしても司法当局にしても、こうした鈴木の行状や悪事がこのまま見過ごされていいはずは無く、やがては未曾有の脱税事件として国内外で大きな話題となる可能性は高いと考えられる。もっとも、そうした状況に置かれても、鈴木に対する民事上の責任を追及する動きが止まるはずはない。
「そもそも鈴木にとって、西の紹介で始まったA氏との関係がなければ、鈴木の命運は尽きていた。10日で1割以上の金利を伴う借金をA氏は担保も取らずに快く肩代わりした上に、株取引に係る株価の買い支え資金まで出させておいて『それは西の関係で、俺には関係ない』と嘯いた鈴木は絶対に許されない」と多くの関係者が言う。(以下次号)

強欲 鈴木義彦に残された選択肢(3)

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[鈴木にはさらに注目が集まる]
鈴木をめぐる裁判については、マスコミ(特に司法記者クラブ)が「有り得ない判決」と違和感を持って関心を寄せており、裁判記録を精査している記者が多くいる中で、東京アウトローズ誌の記事の削除という事態が起きても、本誌(東京ダークサイト)を始めマスコミによる鈴木に対する取材が滞ったり中断することなど無いのは見てきたとおりである。
特に「合意書」の存在、そして「合意書」に基づいて宝林株の取引が行われたことを鈴木が認めていながら、裁判官はそれさえも受け入れず判決にも反映させなかった。それが判決をめぐる最大の違和感を生んでいる。裁判官は、自分の思い込みをただただ判決文にした。それ故、西がA氏の会社に持参した利益の分配金15億円を、事もあろうに鈴木による返済金として扱ったのだ。しかもこの15億円について裁判官は、西が持参した7月30日と手形の原本とともに「確認書」をA氏から預かった9月30日のいずれであるか、15億円の授受の期日も特定せず、さらに加えれば鈴木自身が利益金の分配を認めているにもかかわらず何故返済金扱いにしたのか。それが判決ではまったく明らかにされていなかった。誰もが疑問や違和感を持つのは当然だった。

また、本誌に寄せられている情報によれば、鈴木は多くの刑事事件への関与が疑われてきたために、今後刑事責任を問われるような事態がいくつも生じる可能性に言及する記者も複数いる中で、A氏による訴訟で裁判官が重大な誤認に基づいた判決を下しているのではないかという疑念を深め、さらにその後の再審請求の可能性にまで思いを巡らせている記者が何人もいる模様だ。それは、仮にそのような状況になれば、鈴木の主張が再び認められる可能性が極めて少なく、ゼロに近いということである。(以下次号)

強欲鈴木義彦に残された選択肢(4)

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〔鈴木の報復を怖れる西義輝の息子〕

これまでに触れてきた事実(真実)は、全て多くの裏付けに基づいたものである。鈴木には海外に巨額の資金を隠匿しているという疑惑が以前からあり、それがここにきて急に浮上することになった理由は、ほかでもなく関係者全員が、鈴木が裁判に敗訴すると思っていたが、逆の結果になったために、それぞれが精査し始めた点にある。

鈴木においては、裁判におけるいくつもの虚偽証言が明確になっているだけでなく、裁判に未提出の証拠類(10本以上の録音テープ、預り証や借用者ほか多くの書類等)もある中で、それらが次第にマスコミにおいても共有されつつある。ちなみに鈴木の関係者の中には、鈴木の報復を恐れて口を噤んでいる者も何人もいるが、西が香港に渡航する際に唯一同行した子息、内河陽一郎もその一人である。

陽一郎は父親の無念を考え、先頭に立って関係者にお願いする立場のはずだが、A氏が提起した訴訟において「自分の名前は公表しないで欲しい」との要請をしており、西の関係者もそれに沿った対応をしたが、陽一郎は、勤務する某保険会社のコンプライアンスと鈴木の報復が怖いと言って、関係者の多くが「鈴木は絶対に許せない」という意思で一致して協力しているのを横目に一切の協力を拒んでいる。そしてもう一人、西の部下だった水野恵介も司法書士の資格を西の会社で取らせてもらいながら、西への恩義を忘れたかのように思われる。

「西が香港で殺されかけたのを身近で実感したのは陽一郎だった。何より陽一郎は、西の部下の水野とともに西の指示でいくつもの書面を代筆し、鈴木との株取引や日常の関係をよく承知していたはずだから、陽一郎や水野が、西が鈴木の犠牲になって東京地検に逮捕され有罪判決を受けたことや、鈴木や青田の関係者に尾行されて神経を尖らせた揚げ句に自殺をしてしまった無念さ、鈴木への恨みを共有しないということが不可解でならない。何と言っても実父の無念さを考え、多くの関係者に礼の言葉があってしかるべきだ」と口を揃える。

もう一つの理由に陽一郎が挙げるコンプライアンスだが、陽一郎が保険会社に就職するに当たって、当然身上調査が行われたと推測されるが、実父西義輝が相場操縦の容疑で逮捕され有罪となり前科がついたこと、さらに鈴木に追い詰められて自殺した事実を知れば、会社としてのコンプライアンスを気にして鈴木への対応で「関係するな」と言う上司はいないはずだ。まして、仮に陽一郎が会社の意向に沿わず鈴木に対峙したからと言って、それで陽一郎を責めることはできるはずがない。

「西が自殺した後、A氏は西の家族のために複数の債権者を説得し、億円単位の債務を解決させた。A氏は西に総額で323億円もの資金を出し、その全額と言っていい金が焦げ付いたままだが、A氏は何も言わずに来た。そうした実情を知れば、会社を辞めさせられることにはならないはずだ」と、多くの関係者が陽一郎の人間性に大きな疑問を感じている。裁判で判決は出ていても、鈴木をめぐるトラブルは依然として収束しておらず、却って周囲の関心が高まったといえる。(以下次号)

強欲 鈴木義彦に残された選択肢(5)

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〔鈴木は悪事の巣窟〕

改めて、A氏と西、そして鈴木をめぐる主要な出来事を整理してみると、以下のような時系列になる。

(1)平成9年9月から平成10年5月28日までに手形(13枚 約17億円)、借用書(3億8000万円)、ピンクダイヤと絵画、高級時計(7億4000万円)の合計約28億円の貸付が発生。ピンクダイヤと絵画は鈴木が買って欲しいと懇願して、言い値でA氏に買ってもらいながら、「売らせてくれ」と言ってピンクダイヤを持ち出したもので、絵画は一度も持参しなかった。理由は他に担保に入れていたからだった。

(2)親和銀行不正融資事件で鈴木が警視庁に逮捕された。不正融資は100億円以上に及んだ。

(3)平成11年5月30日、宝林株(800万株)取得資金3億円については鈴木の言い分が三転も四転もしたが、最後にはA氏が出したと認めた。

(4)平成11年7月8日、A氏と西、鈴木の間で宝林株を始めとする株取引を開始する旨の「合意書」が交わされた。「今後の株取引の全てについて責任を負う」と明記。

(5)平成11年7月30日、西義輝が「宝林株取引の利益分配」と言って15億円をA氏の会社に持参。

(6)平成11年9月30日、A氏が預かっていた手形につきエフアールの決算対策を名目に西経由でエフアールに渡すとともに「債権債務は無い」とする「確認書」を西経由で手交した。鈴木に頼まれ便宜上作成したものであったことはいくつもの書類で明らかであり、天野裕常務も認めていた。

(7)平成14年2月27日、西が志村化工株の相場操縦容疑で東京地検に逮捕された。

(8)平成14年6月20日、西が債務323億円を認める「確約書」をA氏に手交した。

(9)平成14年6月27日、鈴木と西がそれぞれ15億円と10億円の「借用書」を作成しA氏に手交した。西の借用書作成は、鈴木が「直近で西に10億円を渡してある」と言ったため。(年利15%ならば40億円超、年30%の遅延損害金では60億円超になるが、それを25億円にしたにも拘らず、鈴木は裁判で「10億円を西に渡したとは言っていない」「覚えていない」「この日に会っていない」と証言したが、鈴木と西が平成14年6月27日付で作成した借用書には確定日付を取っていた)

(10)平成18年10月16日、A氏と西、鈴木の三者協議が行われ、鈴木がA氏と西にそれぞれ25億円を、またA氏には2年以内に別に20億円を支払う旨を約した「和解書」が作成された。その後、鈴木は20億円について贈与と言ったり、「そんな話はしていない」(西による録音記録)と言ったが、このほかにも証拠が沢山見つかっている。

(11)その後、電話での複数回の会話を経て、平成18年10月23日、鈴木がA氏の会社を訪ね、改めて「和解書」に基づく支払等の確認がなされた。その間に鈴木が株取引での西の損失額を確認し、「その分を利益から引いて3等分しないといけない」旨の発言をして「合意書」「和解書」を追認した。

以上がA氏と西、鈴木をめぐる時系列の経過だが、それぞれについて補足すると、鈴木はA氏と知り合った直後から、A氏から金を引き出す画策をしており、逮捕直前に借りた8000万円、ピンクダイヤを持ち出すために予め用意した「念書」などがまさにそれだった。また「合意書」を交わした直後から鈴木の裏切りが始まり、西を篭絡して同調させ「合意書」の破棄を執拗に要請するとともに、鈴木自身はA氏との関係を希薄にしていった。宝林株の取引が予想外の利益を生み、鈴木が金に対する執着から利益の独り占めを謀った結果だった。

巨額の利益を獲得した結果、鈴木は親和銀行との間で示談を成立させ約17億円を支払ったために実刑を免れたが、示談金は利益金の一部だったから、A氏や西からすると事実上の横領であったが、流用は鈴木が厳に秘匿した。

西が保釈された後の平成14年6月、改めて借用書を作成するに当たり、鈴木は西に今後の利益分配を前提に債務を圧縮させた上、「合意書」破棄のために西に渡した10億円をA氏への返済金と偽り、さらに減額させた(約束通りの遅延損害金年30%で計算すると60億円を超えていた)。三者協議の場で鈴木は「合意書」の有効性を頑なに否定したが、紀井が銘柄ごとの利益明細を証言している事実を知り、最後には宝林株の取得資金3億円をA氏が出し、宝林株取引が「合意書」に基づいて行われた事実だけは仕方なく認めた。

「和解書」の作成により、一旦は「合意書」に基づいた株取引が行われた事実を認めた鈴木だったが、その後の翻意はA氏と西には意外に思えた。しかし、その後、鈴木が所在を不明にする中で交渉の代理人となった青田光市と弁護士の平林英昭の対応を見る限り、鈴木からの報酬目当てとしか思えないほど事態を混乱させたのは他ならぬこの二人だった。

青田は「鈴木はA氏と西氏に脅かされて怖くなり、和解書に署名しなければ、その場を切り抜けることができなかった」と言い出した。しかし、青田は三者の話し合いには一度も立ち会っておらず、その場の雰囲気すら分かっていなかった。平林も鈴木の債務額を4回も言い換えるなど支離滅裂で、おそらくは鈴木が背後でA氏への支払額を限りなくゼロにする指示を出していたに違いない。また平林は利岡襲撃事件に関連してN一家のトップと少なくとも2回以上会うなどして事件の隠蔽工作を謀り、弁護士の倫理観のかけらもない対応を繰り返した。暴力団のトップとの面談が公然化したら、平林は懲戒では済まされないということを分かっているのか。鈴木が用意したダミー会社の代理人に就いていた杉原正芳弁護士も同じである。今後、鈴木と青田は猛省するタイミングが近づいていることに早く気づくべきだ、と指摘する声が増している。(以下次号)

強欲 鈴木義彦に残された選択肢(6)

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〔鈴木が「私一人が作った金」と暴言〕

さらに裁判官にも目を向けると、裁判長がまとめ上げた判決はA氏の主張を退けるものとなったが、極めて不可解なことは二転三転した鈴木の主張についての記述が判決ではほとんど言及されなかったという点である。

特に、平成14年6月27日に鈴木と西がA氏に宛てて作成した「借用書」について、鈴木は「西に返済金として10億円渡したのか?」と聞かれて「(そのような事実は)ありません」と答えただけでなく、「当日はA氏と西には会っていない」とまで答えた。しかし、「借用書」の原本には鈴木の直筆による署名と指印があり、当日の確定日付も取ってあった。また平成18年10月16日の「和解書」作成の際に、鈴木がA氏に「2年以内に20億円を支払う」と言った事実も否定して「言っていない」と答え、20億円についても以前は贈与と言っていた。これも西が録取した音源に残っていた。主張を疑うべきは原告のA氏よりも被告の鈴木であったはずだが、裁判官はそうした事実に目を向けようともしなかった。

裁判官による審理への取り組みには大きな疑問がある。先に触れたピンクダイヤと絵画、高級時計の詐欺横領行為について、「ピンクダイヤや絵画の販売受託はエフアールで、鈴木個人ではない」としたり、「上代価格が45億円の時計を4億円で販売委託するのは経済的合理性にそぐわない」として、鈴木が約束した総額7億4000万円の支払債務を認めなかった。しかし、ピンクダイヤ持ち出しの際の念書や、バセロンの高級時計3セット(6本)で6億円を借り受けた事実をどうやって説明できると言うのか。

株取引で獲得した利益についても、鈴木はA氏に送った手紙の中で「私一人で作った金」と書いているが、株取引での巨額の利益獲得はすべて鈴木の株式相場における経験や知識、情報、そして人脈が総動員された結果であると言わんとしていると思われる。だが、鈴木の大きな過ちは株価の買い支え資金を西に請われるままに提供した金主のA氏、そして市場で実際に株の売り買いを繰り返して高値誘導を実行した西がいたからこその協力体制、つまりは「合意書」による株取引がすべての始まりであり、A氏と西、鈴木の強力な信頼関係が前提であったことを全く無視していることだった。

それを裏付けたのがエフアールの決算対策のためにA氏が交付した「確認書」を鈴木が悪用して「15億円を支払い『確認書』の交付を受けたので、(A氏への)債務は完済した」と主張したことや、西が志村化工(現エスサイエンス)の相場操縦容疑で東京地検に逮捕された際に、鈴木が西に土下座しながら「私の関与は絶対に秘匿してください」と言って命乞いをした結果、西が取り調べで黙秘を貫いたので鈴木は首の皮一枚で逮捕を免れた。しかし、西が保釈されて1年も満たないうちに鈴木が西に縁切りを宣言したことだった。

平成9年から同10年当時、鈴木(エフアール)が資金繰りに窮し10日で1割以上の金利でも借金できずに経営破たんして上場廃止となる可能性は高く、鈴木自身も親和銀行事件で逮捕、起訴されるという事態が起きたために自己破産あるいは自殺の選択肢しか残されていなかった。それを救ったのが西でありA氏であったが、鈴木がそのことに何の恩義も感じていなかったとすれば、もはや“人非人”の類でしかない。

人が窮地に陥っているのを見過ごしにはできないというA氏の性格、情愛を鈴木は見抜いて、それを逆手に取った典型的な例がいくつも見られるが、鈴木には利用できる者を徹底的に利用し、用済みとなれば平然と切り捨てる性格が際立っていたのである。

鈴木がいかに悪業に長けているか、読者も存分に実感したのではないか。金銭的な利害に絡むトラブルは、ほとんど全て鈴木に原因があり、トラブルに巻き込まれた当事者たちの多くが自殺に追い込まれたり不審な死を遂げ、あるいは行方不明になる者もいれば霜見誠夫妻のように殺人事件に巻き込まれる事件さえ起きたことから、鈴木という男を絶対に許すことはできないと考えている関係者は想像以上に多く、また読者からも圧倒的な反響が寄せられているのだ。特に、鈴木は「和解書」作成後に送った2通の手紙で少しは感謝の気持ちを表現していたが、その後の対応が掌を返したようになったのは青田の影響が大きいのではないか、という声が高まっている。

人に危害を加えてでも目的を達成しようとする人間がいることに気づく。しかし、鈴木のように人との日常的な関係を可能な限り遮断しておいて、自分が必要と思った時に近づいてくる人間には防御のしようもなく、いつの間にか受け入れてしまうのではないか。そして、事が終わってみると、鈴木から多大な実害を被らされ、それを取り戻そうとして躍起になると、鈴木は獲得した利得を独占するために相手が命の危険さえ実感するほど逆襲する。

鈴木は、そのような生き方を繰り返して来た男なのだ。その根底には大きな利得を得ることしかなく、考え得るリスクは予め分散するとか誰かに集中させるかして、自分は火の粉を浴びないところに身を置いている。違法であることを承知で人を巻き込み、いざとなればその人間に罪をかぶせて逃げ延びればいい。鈴木は西や西田との株取引を通じて、まさにそれを実践した。今は、1000億円を超える利益を独り占めにしてのうのうと生きているが、そんな男を、決して許してはいけない。すべての神経を集中して知恵を絞り、あらゆる手段を講じてでも追い詰め、鈴木が自身でやったことの責任を取らせることでこそ最良の結末を迎えることができるに違いない。

本誌でも鈴木にかかる連載を始めて以来、反響は大きく、多くが「鈴木を許せない」とか「検察や国税は何故動かないのか」というコメントを寄せて来ている。中には「鈴木は地獄に堕ちろ!!」といった過激なものもあるが、誤解を怖れずに言えば、鈴木義彦という男が史上稀に見る悪性の持ち主であることを伝えんとする記事の趣旨に共鳴しているからに違いないと考える。

鈴木の金銭に対する強欲さは、鈴木に関わった関係者たちに犠牲を強いることで満たされるという構図になっている。「鈴木と関わっても付き合いは長く続かず、せいぜい1年か2年で限界が来る」とは関わった誰にも共通した認識になっているが、その大半の原因が鈴木による利益の独り占めにあった。

貸金返還請求訴訟はA氏の主張が退けられるという余りに不可解としか言いようがない結果となったが、だからといって鈴木の主張が認められたと考えるのは大間違いで、鈴木による違法な行為で1000億円を超える巨額資金が海外で隠匿されているという疑惑は、これまで見てきたようにさらに深まって確証にまでなっている。再審請求のハードルが極めて高いのは分かるが、せめて地裁の裁判長を務めた品田幸男裁判官には万人が納得する説明義務があるはずだ、という声が報道記者からも寄せられており、また本誌にアクセスしている読者は国内に留まらず、海外諸国でも特に香港、中国、シンガポールほかフランス、ドイツ、スイス、アメリカなどから頻繁に閲覧があると同時にさまざまなコメントや情報も寄せてきているため、それらの情報を隈なく精査しつつ深く掘り下げた上で今後も記事化を進めていく。(以下次号)

強欲 鈴木義彦に残された選択肢(7)

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〔鈴木の犯罪は今も続いている〕

裁判官は法廷で判決を下すが、その認定に誤りがあったとしても責任を取ることはない。それは何故なのか? 刑事事件の訴訟で有罪判決を受けた被告がその後無罪となったときに、有罪の判決を下した裁判官が罰せられることも無ければ、当事者に謝罪することも無い。

人は間違ったことをして他人に害を及ぼせば謝罪し、何らかの賠償責任を負うのは社会のルール、基本原則であるはずだ。今回の事件についてみると、度が過ぎる認定の誤りが多すぎる。それが故意ではないかと疑いの目を向ける指摘が多くなっている。裁判官も人間だから一定の範囲のミスは仕方がないにしても、地裁、高裁の裁判官6人全員が同じミスを犯すことは有り得ない。それ故に故意や裏取引の可能性について、多くの人が疑いの目を向けている。

本誌では鈴木義彦の悪事、それも結果として裁判所を騙したことになる悪事をさまざまな形で取り上げてきているが、不可解なことに鈴木本人は沈黙を貫いたままでいる。ならば、鈴木が実害を被らせたA氏をはじめ関係者に一言でも謝罪しているかと言えば、それもなく、何一つ抗議も釈明も無いことが人として不可解だと言っているのだ。

「そもそも西との出会いが無ければ、鈴木はエフアールもろとも破たんするしかなかった。その西を裏切って自殺に追い込んだり、さらにA氏に対しても恩義を忘れたかのような対応を繰り返して来たのだから、鈴木には謝罪という発想はない」と関係者は言うが、そうだとしても度が過ぎる。問題となった「和解書」作成後に鈴木から送られた手紙の文面からも十分理解できるように、「(社長には)大変世話になった」とか「男として一目も二目も置く」等と書くはずが無かった。

鈴木は裁判に勝訴したのではない。担当した裁判官が鈴木に騙され、あるいは故意に騙された振りをして、原告側の主張を退けただけである。その結果、何が起きているか、といえば、鈴木の犯罪が今も見過ごしにされているということである。裁判官は自ら認定を誤ったことで、1000億円を超える課税対象について日本国が被害を被るという深刻な事態を招いている責任を重く受け止めなければならない。また単純に金額での比較をしても、5000万円の政治資金や選挙資金で公職を追われた元知事2人の例もある。鈴木の場合は弁護士に対して金の力で思い通りにさせているほかに10人前後の人間が自殺や不審死、行方不明という事態が起きているのだから、よほど深刻ではないのか。

鈴木が西義輝や西田晴男とともに実行した株取引で犯した犯罪は、西義輝が相場操縦の容疑で東京地検に逮捕、起訴され有罪判決を受け、鈴木は巧妙に逃げおおせたことで区切りがついたと思われるかもしれないが、株取引で得た利益が海外で隠匿されている限り、鈴木の犯罪は今も継続している。裁判官の最大の過ちは、鈴木の犯罪を解明する機会を見逃した点にある。

鈴木が株取引で用意したダミー会社は100社にも及んでいた模様で、それらは用済みになり次第清算していったと思われるが、鈴木にとってダミー会社が自身の隠匿資金を隠す唯一の“武器”であるはずだから、今もダミー会社が存在しているに違いない。また、隠匿資金を金や貴金属、高額品等に換え、さらにもう一度現金に換えるというロンダリングを繰り返しているかもしれないが、その工作もいずれは綻びが生じて水泡に帰す可能性が高い。

貸金返還請求訴訟の法廷で、鈴木の主張はことごとく破綻していた。エフアールと鈴木個人の使い分けで責任逃れをしたこと、「合意書」に基づいた株取引を頑なに否定しながらも最後には宝林株の取引で「合意書」の有効性を認めたこと、したがって「和解書」でA氏と西にそれぞれ25億円を支払い、さらにA氏には別に2年以内に20億円を支払うと約束しながら、法廷では強迫や心理留保などというありもしない理由を並べ立てて否定したこと、鈴木は外資系投資会社のコンサルタントをして生計を立てていると法廷で豪語したが、その外資系投資会社こそ鈴木が用意したダミー会社であり、実体などなかったこと等、それらの主張の破綻を裁判官はなぜか全て見逃して、A氏側の主張を退けたのである。裁判官が鈴木の主張の破綻の一つにでも注目して検証作業を進めていれば、鈴木の嘘は芋づる式に解明されていたから、すくなくともA氏の主張がほぼ全面的に退けられるような判決にはならなかった。

これまでにも触れてきたように、今後、鈴木が隠匿資金がらみで刑事責任を問われる可能性が高く、実際にも現実のこととなったとき、裁判官(裁判所)はおそらく冒頭に挙げたように何一つ意思表示をすることは無い。しかし、それで済むはずはないのではないか。

裁判所という世間一般の日常とは隔絶したような環境下で真っ当な裁決を下せる裁判官がどれほどの割合を占めているのか、裁判所のトップに位する最高裁において裁判官の資質を問う制度が何故起動しないのか。制度としては国会議員で構成される弾劾裁判所があり、裁判官を裁判する場が唯一だが存在しているから、そこで説明責任、説明義務を問われる事態を招くことになる。貸金返還請求訴訟で判決を下した東京地裁の品田幸男という裁判官、そして地裁判決を丸呑みして、自ら検証した痕跡など一つもない判決を下した東京高裁の野山宏という裁判官は、この弾劾裁判所で資質、資格を問われて然るべき裁判官ではないかとさえ思われる。品田、野山の両裁判官が、弾劾裁判で裁判官を罷免する事由となる「職務上の義務に著しく違反し、または職務を甚だしく怠った」ことは明白で、だからこそ判決に至る裁判官による認定に多くの疑義が生じている。それ故、訴追委員会の委員となり裁判員となる国会議員(20人)がこの貸金返還請求訴訟を検証すれば、すぐにも判決に誤りがあるとの認識を持つに違いないし、それが再審にもつながる大きな意味を持っているはずなのだ。テレビ局を始め取材のオファーや海外からの問い合わせも日増しに多くなっているのは、これが社会問題であることの証であると思われる。(以下次号)

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