鈴木義彦は強欲極まりなく、極悪な非人間と西の遺書は語る

鈴木義彦は強欲極まりなく、極悪な非人間と西の遺書は語る(1)

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〔欲望からの偽り〕
西義輝が自殺したのは、2010年2月のことだった。正確な日付は不明だが、関係者に最後に郵送された手紙の消印を見ると2月9日だったことから、その直後と思われるが、「遺書」の性格を持つ書面は、西が崇拝して止まなかった「社長」(A氏)を始め、鈴木義彦、青田光市、茂庭進のほかに鈴木の実父徳太郎にも宛てていたようである。西が自殺した後に、会社のデスクマットの下にあった大量の文書(コピー)を発見して分かった。それらの書面の宛先がA氏や鈴木ほか数名になっていた。なお、茂庭は山一證券で海外業務を歴任した人物で、鈴木の下では外資のペーパーカンパニーを管理しており、また、鈴木による利益金の海外流出にも関与していた。

本誌は、このたび、その書面の一部を公開するが、より具体的な出来事については、これまでに取り上げた「鈴木義彦への公開質問」や「海外の隠匿資金1000億円超の全容解明」などの記事を参照いただくとして、特徴的なのは「裏切り」という言葉が書面の随所に出てくることだ。例えば、三人で合意したいくつかの約束事に関する裏切行為、私の浅はかな考えから、貴殿の狡る賢しさにコントロールされ、社長に大変な実害や信用を傷つけた件、社長を利用することによって与えた大きなダメージなど、貴殿と私で行った社長への大きな裏切り」であり、「貴殿が真剣に反省しなければいけない事が沢山ある。まず貴殿のずるい考え方からやってきた、人間としてやってはいけない裏切り」などである。

「三人で合意した」とは、西が宝林株を取得後の平成11年7月8日に「社長」と西、鈴木が交わした「合意書」を指す。鈴木は西を利用して「社長」から株取引資金を引き出す計画をしたが、宝林株で予想外の利益を出したことに目がくらみ、利益の独占を画策した。

西と鈴木は仕掛けた株取引で「二人だけでは成し得なかった事を、社長に全面的な資金面の協力をしていただいて成功した数々の株取引、資金を出していただいて始(初)めて実行できた」にも拘らず、利益を独占するために「社長」に対して最大の裏切りを働いたことを西は悔いているが、一方の鈴木は何一つ真実を明らかにしようとせず、最終的には西をも「嘘つき」と罵倒して切り捨てた。これが、西が自殺を決意した一番の要因だったと思われる鈴木宛の書面は18枚からの長文で、
「この手紙は、貴殿に私から最後の手紙であり、正しい判断をするか否かが貴殿の人生を大きく左右する事になるだろう。(略)最初の貴殿との出会いから今までのあらゆる約束事に関する貴殿の裏切り行為を書き残すもの(で)ある」とあるように、鈴木が逮捕された親和銀行事件の、今まで語られていなかった“秘話”に始まり、株取引のきっかけとなった宝林株の取得や、鈴木による利益金の支配に西が抵抗できなかったこと、金銭欲に憑りつかれた鈴木の人間性等を生々しく描いている。抜粋になるが、書面の重要な部分を以下に挙げる。

「今から文章に残すことはすべて真実であり、貴殿の身内、関係者だけでなく、マスコミ及び関係各所にも、貴殿の今後のやり方いかんでは大きく取り上げられることを先に申し述べておく」
社長及び私の助けだけで誰も協力してくれなかったころの貴殿を今一度しっかりと振り返りながら考えるべきである
「私は伊藤忠商事のコンサルタントをしていた経歴を貴殿に伝えたところ、(略)西会長を100パーセント信用するので、是非色々な相談に乗っていただきたい事がある、といわれ、貴殿の熱意に感動し(略)相談に乗るようになった」
鈴木が持ちかけた相談とは、親和銀行からの新規融資であったが、その際に鈴木が意外な話をした。それは、事件が公然化した後も関係者の間でくすぶっていたことで、鈴木が同事件で“主犯”に擬せられた真相でもあった。

青田氏(当時興信所勤務)を使い、さも副島氏グループがやったようにして、親和銀行会長に女性を近づけ、長崎市大村のラブホテルでの女性との秘事をビデオに撮らせたりして、いかに副島氏が危険な人物であるかのように会長に説明をし、その後、会長に取り入り、もみ消しを貴殿に依頼させ、恩義を売った。副島氏グループを親和銀行から遠ざけた。(略)新たに親和銀行より15億円を、価値のない絵やA氏から借りた数千点のリトグラフ(これは貸金約28億円に含まれていない)を担保に借りられるようにしたり、田中森一元特捜検事を親和銀行の顧問弁護士になってもらい、価値のない土地を担保に20億円を借り入れできるようにした。
親和銀行の借り入れができなくなった後、当時のクリソベル(クレスベール)証券の紀井氏の紹介で北九州市の投資家(末吉氏)よりタカラブネ株20億円分の株券を預かり、FR社の資金繰りに利用した。

貴殿はタカラブネ株20億円を担保に新規に60億円分のタカラブネ株を購入できると言って、末吉氏にウソをついて20億円分の株券を預かったり、(略)タカラブネ株の株券を売却した資金を使い果たした後に、貴殿は、私に先でFR社の第三者割当増資をやるので、かならず返済をすると言って、お金を1年ぐらい貸してもらえるところがないかの要望があり、私にとって一番大事な金主であり、いつも弟のように大事にしていただいていた社長を紹介する事になった。貴殿は、私にすごい力のある人物がバックにいることを日ごろからの会話で聞き知っていて、計画的に私に頼んだわけだ」
「貴殿は借りるお金について、私の保証が入っている事を分かった上で行っている私と社長の性格をよく理解した上での、このようなやり方には、貴殿の狡る賢しこさの一部がよく分かるが、私は今になってはそれを解決する方法がないため、非常に残念に思う。(略)平成10年5月末より(略)貴殿は逮捕される日まで周囲を騙してきた。出頭する1時間前に私の家内に電話をし、金銭的な協力や後の事を西会長によろしく頼むことを伝え、私にその後、電話をし、弁護士に対する着手金の支払い1000万円やFR社に来る債権者に対する対応などを頼んできた。(略)貴殿の愛人で子供もいるサラ女氏(史)の三田のマンションにいた時も、毎月、生活費として50~60万円を届けながら、私が必ず大きな仕事をする用意を考えているから頑張っていこうと励ました日々だったと思う。
後に分かったことだが、貴殿は逮捕前にサラ女氏(史)に3000万円のお金を預けていたと聞いて、私は自分の馬鹿さ加減に呆れてしまった」

「逮捕され、信用をなくしていた貴殿は、沢山の借財を抱えていたためである。宝林株800万株の購入資金についても、社長にしかお願いできる人がいなかった。その後、お金の協力をしてもらい、社長、私そして貴殿の3人で役割の分担を決めて合意書の作成までしたわけだ。我々は以前から社長に借りている借金、貴殿も私も多額の金額が残ったままであったにも拘わらず、出していただいた。他の人よりお金を調達してまでも社長は全面的に協力をしてくれたわけじゃないか社長は自分で持っていたお金だけじゃなく、他の人より借りてまでやっていただいた。理由としては、我々がお金を返済していないため手持ち現金が少なくなっていた。(略 鈴木は)逮捕される3日前にも私に内緒で8000万円のお金を土下座までして借りている。社長は逮捕される事を分かっていたが、貴殿の置かれている立場を理解した上で、土下座してまで必要なお金であればと思い、出してくれたのだと思う。きっと、この8000万円のお金は、この時の貴殿にとっては10億円にも匹敵するお金であったはずだ。他に誰も借して(貸して)くれる人(は)いなかったはずだ。この時だって、社長の性格や人間性を分かった上で利用しただけじゃないか。宝林株の成功がなかったら、貴殿の人生は今の私より大変な状況であったことは確かだ」(以下次号)

鈴木義彦は強欲極まりなく、極悪な非人間と西の遺書は語る(2)

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〔私は大バカもの〕
前号に続いて西義輝の鈴木義彦に宛てた「遺書」を公開する。
「宝林株について詳しく書く。(略)社長にお金を出していただいた最初の宝林株800万株の代金を含め、貴殿に売買を任せる約束をしていたために、指導権(主導権?)を貴殿に取られてしまい、私のやりたい方法ができず、言いなりになってしまったため、社長に本当の事を言えなかった。合意書で利益を3等分するという約束であったが、貴殿に最初の宝林株800万株やその後、行った第三者割当増資で手に入れた宝林の新株も、売買を貴殿が行う三者間の役割分担であったために、貴殿の提案に私は従うしかなかったわけだ。

その後も、第三者割当増資を数十社に対して行ったが、貴殿は報告するだけで、お金のコントロールは貴殿がすべて行い、私は言い訳やウソの報告ばかり社長にすることになったわけだ。しかし、全体の利益のうち、1/3の取り分は必ず私に渡すという二人の約束があったため、私もそれを信じ、貴殿の言いなりになって社長を欺いてきたわけである。1回ずつの取引や利益金を社長に報告していれば、こんな事にはならなかったと、自分の考え方ややり方に呆れてしまっているが、今更社長に何を言っても言い訳にしか過ぎず、本当に申し訳なく思っている。私にとって最大の不覚であった。貴殿の言いなりになって、社長を欺いてきたわけである。私が絶対やってはいけない事を一番の恩人にしてきたわけだから、私は絶対に許されることではないし、貴殿も絶対に許されることではない。私は貴殿の汚いやり方にやっと気づいた。貴殿は、どんな時でも、自分が弱い立場にいる時、あらゆる事を言ってでも助けを乞うが、自分が強い立場になった時には、まず一番重要な立場にいて、貴殿のパートナーに近い人間や色々貴殿の秘密を知っている人間を追い落とし、弱くさせながら自分の思うようにコントロールするやり方をずっとしてきている。私以外でも、過去に貴殿が利用した人たちに対して、全く同じひどいやり方をしている」

続いて、志村化工株の相場操縦容疑で平成14年2月27日に東京地検特捜部に逮捕、起訴された事件について綴っている。
「自分に身の危険が迫っていることを分かっていて、何度となく私に会って、必死に口裏合わせを依頼した。私は、この時もまた、貴殿に騙されたと思ったが、私が本当の事を言って、貴殿が逮捕されれば、親和銀行で執行猶予の身でもあり、今まで貴殿と行ってきた三者合意による利益分の事も心配になり、私が全責任を取り、貴殿を逮捕から守る事にしたのである。私が貴殿の事を一切喋らないと約束した後、貴殿は私に頭を下げて言ったことを今でもはっきり覚えている。絶対に忘れる事はない。西会長の身の回りのことや弁護士費用、公判中の生活費用、そして三者合意での利益の分配のうち、少なくとも1/3の利益分に関しては、全責任を持って支払う事を約束したことだった。この志村化工事件でも貴殿を守りぬき、私だけが罪をかぶり解決したわけだ。ここまで貴殿のペースにはまるとは、私は大バカものだ」(以下次号)

鈴木義彦は強欲極まりなく、極悪な非人間と西の遺書は語る(3)

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〔書面に滲み出る西の無念〕
西は鈴木に篭絡され、株取引の利益金を「折半する」という密約を交わし、それを英文の契約書にしていた。これは、三人で交わした「合意書」に反した行為だった。
「社長に対する借金返済を少なくするために、私を利用したり、社長に多額な利益約400億円がばれないよう、私の置かれている弱い立場を利用してウソの報告ばかりさせてきた。私はもちろん、貴殿がやってきた事すべても絶対に許される事ではない。合意書の件についても、私が英文で書かれた合意書を貴殿からもらっていたため、社長と三人で交わした合意書については処分する約束で、常に貴殿に聞かれる度に処分をした事を伝えていた。そのため、貴殿は、ずっと合意書は残っていないと信じていたはずだ。この合意書の件については、貴殿も何度も有無を私に確認し、今思えば、本当にしつこかった。色んな事があって、その、無いはずの合意書を社長から見せられた貴殿は、さぞびっくりしたはずだ。2006年10月16日に社長、私と貴殿で社長の事務所で会って、貴殿は新しい支払い条件を社長と私に提示したわけだが、私はこの時、貴殿の言っている利益金が50億円~60億円しか無かったと言ったことに反発をし、貴殿が提示した50億円プラス2年以内に20億円の金額支払確認書にはサインをするつもりはなかった(20億円の支払は確認書には入っていないが、西が録取したテープには残っていた)。なぜなら、貴殿が稼いでいた利益は470億円以上あったからだ。貴殿の下で働いていた紀井氏も茂庭氏も私に前もって教えてくれていたし、天野氏に確認した時も470億円の金額にも一切の驚きもせず、それぐらいはあると思いますよと平然と応えた。この時は、ただ言葉だけで確認をしたのではなく、紀井氏の利益明細書を見てもらった。

しかしながら貴殿と三人での打合せの時にも、社長に私は本当の利益額を正直に伝えようとしなかったため、社長に貴殿の説明による利益金での判断をさせてしまい、あのような少ない金額の確認書(和解書)になったわけである。この三人の打合せの時でも、貴殿は利益金額を騙し、ウソの金額で押し通したわけであり、決して許される事ではない(但し、何人もが何度もテープで聞いている)。
その後も、約束した確認書(和解書)の金額を支払う事もせず、好き勝手に逃げ回っている。貴殿及び身内のことはすべて把握されていることだし、もっとよく考えて行動もすべきである。いつもそうであるが、貴殿は、自分は表に出ないで、私にずっと今までやらせてきた。同じ方法で何事に関しても引き延ばしをしているわけだが、私は貴殿にこれ以上、好き勝手な事をやらせる訳にはいかない。社長に大変辛い思いをさせている。これ以上貴殿も誤った判断をしてはいけない。貴殿は、貴殿を殺ったら金が取れなくなるのでやるはずがない、体をかけてまでやらないだろうと考えているのではないかと思うが、それこそ大きな間違いだ。貴殿も分かっていると思うが、社長の面倒見の良さ、人柄で社長のためならと思っている人は一人や二人ではない。普通の場合、殺ることを躊躇するのは長い刑が待っているからだ。しかし、死を決めた時から何も怖くはないし、何でもできると思うようになった。私をここまで追い込んだのは貴様だ。私は貴様を道連れにするつもりであったが、社長に話したらやめろと止められたので、仕方なく断念せざるお(を)得なかった」
「私も貴殿も、あんなやさしい人を裏切るとは本当に悪だと思わないか。社長の周りの人達は、社長が金を出し、三人で合意書まで作っているにも拘わらず一人占めするとは絶対に許すべきではないと思っている人が何人もいる。

貴殿は自分の事だけじゃなく、身内、彼女、関係者等の事を考えた事はあるのか。色んな事が調査済みであるし、かならず独断で動く人間が出てくると思う。最悪の結果を招く事になる。きっとその時には、社長でも止めようはないだろうし、早急に社長と話し合いをして解決する事だ。私の人生で悔いが残る事は、貴様と知り合った事と道連れに出来なかった事が無念で仕方がない。私の死後、貴殿もそんなに時間の余裕は無いはずだ。お金も持っているんだから、命を無駄にしないでしっかりと解決する事だ。死んでいく人間の最後の忠告だ。
私にはもう何一つ残っていないし、社長のお陰で素晴らしい経験も沢山させてもらった。 先にいく」

西が残した書面には無念さが溢れているが、それと共に鈴木がいかに非道な行為を続けていたか、それが金銭の独り占めという強欲から出ているため余計に始末が悪いが、西も述べているように真実を明らかにしなければ収まりは決してつかない。鈴木は人を助けるようなことなどしたことがないと見られるので、反対の立場で“わが身”を振り返れば、いかに悪いかが分かるはずだ。(以下次号)

鈴木義彦は強欲極まりなく、極悪な非人間と西の遺書は語る(4)

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〔社長が騙された金は323億円〕
「社長、大変お世話になりました。心から感謝申し上げます。私の様な人間を今まで全面的に信頼をしていただき、沢山の資金を出していただき、本当に有難うございました。(略)
私は二十三年前に初めて社長にお目にかかったおり、自分の人生でそれまで誰よりもすごいオーラとカリスマ的な存在感を感じました。絶対に大事にしなければいけない方だと思いました。お会いした後、社長に大きなチャンスや沢山の協力を与えていただきながら、私の片寄った生き方、考え方から、いつもつじつま合わせや自分流の考え方ばかり主張して押し通してしまい、社長の人生を台無しにしてしまいました。社長は考え方が大変まじめな方でいらっしゃいますのに、私は余りにもけじめのない事ばかりして、とりかえしのつかない大きな失敗ばかりしてしまったと思います。
今まで、社長に資金を依頼して一度もことわられた事はなく、人から借りてでも私にだけは、必ず用立てて下さいました。私は、そこまでして用意してくださった多額のお金を投資に回して、成功できる事が沢山あったにもかかわらず、詰めの甘さや人を信じすぎて、最後にいつも大きな失敗をしたり、人を見る目がないために裏切られてばかりで、本当に申し訳ありませんでした。社長が毎日苦しんでおられる姿を見る度に、私は本当に辛くて、極力冷静にふるまうようにしておりましたが、自分の力不足な事ばかりで、本当に申し訳なく思っております。内心では、社長に対して自分でできる事があれば、何でもしようと心がけてはおりました。しかし、それでも、社長に安心感を与えるまでの事は何一つできませんでした。私が行った数々の失敗について、何一つ言い訳ができる事ではありません」
「私に一命を絶つ事で許される事は一つもありません。お借りしたり、投資をしていただいたお金につきましても、天文学的な数字(注:総額では323億円に上るが、株取引だけでも207億円に及ぶ)ですし、誰以上に社長が私を信用してくださった事、(略)私はすべて解っておりましたが、それも自分勝手な理解でしか過ぎなかった事です。死をもってつぐなう事など何にも社長の役に立つ事ではない事も分かっております。しかし、あらゆる事がうまくいかない状況では、けじめをつけるしか他に道がないのです。社長を残して先に死んで行く事にしても、ただただ、自分に逃げているだけで、本当に無責任な事です。大好きな社長の側に、少しでも長くいて、力になれる事があれば、どんな努力でもするつもりでおりましたが、今回は、自分の頭でどのように考えても、生きていく方法を見つける事ができませんでした。

私は本当に大バカものです。いつも、いつも社長に期待ばかりさせて、失敗ばかりしている。色々な事を、自分の中で最大限こなそうと努力だけはしても、いつも相手の方が一枚も二枚も上手で、最後にやられてばかりです。多額の資金の運用をしたり、まかせられたり、管理できるようになっても、後一歩のところで自分のやり方が悪いのか、引きずってきている過去が悪いのか、運に見放されているのか、本当に悔しいです。
私は、社長のお力に一番ならなければいけない立場なのに、チャンスが沢山あったにもかかわらず、いつも見すかされていて、それすら気づいていない。いつも、今度はかならず成功すると頑張り、結果を出せない自分がおり、この先、どんな努力をしても、あらゆる信用を失ってしまった現況では、もう、どうする事もできません。(略)どんな言い訳も説得もできない事を、自分が自分にしてしまいました。社長に対しても、本当に御迷惑ばかりおかけして、何一つお役に立つ事ができませんでした。どうか、どうか、お許しください。大好きな社長の思い出だけを頭にうかべながら、一命を絶ちます。本当に二十三年間の長い間、大事にしていただき、命と引きかえに御恩礼(ママ)申し上げます。
もう一つ、お願いがあります。手紙にて内河陽一郎氏(注:前妻の長男)にユニバーサルデータに届く私宛の手紙、郵便物などを社長にお渡しし、相談に乗ってもらうよう、頼んでおりますので、その節はくれぐれもよろしくお願いを申し上げます。  社長様のご健康、ご発展をお祈り申し上げます」

文中に「お借りしたり、投資をしていただいたお金につきましても、天文学的な数字です」とあるが、この天文学的な数字は、総額323億円に達しており、そのうち207億円が西と鈴木の仕手戦に投じられた総額だった。もちろん、全てが自己資金というわけではなく、友人や知人等から借り受けて用立てた分が過半数を占めているという。
また、「色々な事を、自分の中で最大限こなそうと努力だけはしても、いつも相手の方が一枚も二枚も上手で、最後にやられてばかりです」とあるが、ここで言う「相手」とは恐らく鈴木が一番メインになっていた。西は鈴木が「合意書」や隠匿した利益金の存在を認め、約束を履行することを強く迫り、その成果が得られなかったとき、社長には繰り返し「命を懸ける」とつぶやき、そのたびに社長に叱責された。しかし、そのやり取りも虚しく終わりを告げた。西が「合意書」に係る鈴木との関わりや株取引の詳細を明示する“生き証人”であったことを考えると、社長にとって最大に悔やまれる出来事になったに違いないし、鈴木は許されざる人間という思いが一層深まったに違いないと思われる。

〔警察署からの電話に応じず〕
「社長」は西が自殺した後、西の妻と子息を伴って鈴木の実父の自宅を訪ねた。西は鈴木に頼まれ、実父を会社で雇用していた経緯があったからだ。妻は西の遺影を持参したそうだが、西を自殺に追い込んだ最大の原因を作ったのが鈴木である、という認識は西の妻にも同じくあり、鈴木の実父にも面識があったから、実父が西の自殺をどのように受け止めているか、それを確かめずにはおれなかったという。
鈴木が所在を不明にしている限り真相は何もはっきりしない、ということもあり、社長と西の妻と子息、そして鈴木の実父と鈴木の妹が同道して最寄の警察署に出向き、警察署を介して鈴木の妹が電話を架けると、鈴木は電話に出たが、言を左右にして「今は警察署には行けない」と言って拒み、「明日以降で必ず社長に電話をするから」と言ったにもかかわらず、一度も電話をしてくることは無かった。
鈴木は平成18年10月16日と23日のA氏との面談内容を反故にした揚げ句、「和解書」は強迫されて書かされた、と主張するようになったが、そうであるならば、こうした警察署での面談など、鈴木にとって絶好の機会であったはずである。それを鈴木自身が拒否したことで、自らの悪事を認めているに等しい。

〔鈴木の“黒子” それは青田光市〕
西は鈴木の友人である青田光市にも宛てて書面を残した。
「貴殿は今回、鈴木氏の件について、色々とアドバイスや協力をしてきた様だが、事の重大さを認識しないで無責任な発言が多すぎたようだ。私のホンコンの件についても、私がホンコンに行っていないとか、そのような事件がなかったとか、社長の会社のエレベーターを止めて鈴木氏を監禁したとか事実でない事ばかりを想像で何事も言っているが、エレベーターを止める事も出来ないし、ホンコンについても犯人は確定していないが、事件があった事も確かだ」(略)
「貴殿は今まで黙って状況を見ている社長の本当の姿を、何にも解っていない。鈴木氏より依頼され、身の回り(周り?)の事、運転手の手配やマンションの手配、鈴木氏のダミー的な事、その他あらゆる事を報酬と引き換えに色々とやっている様だが、貴殿の事についてもほとんどの事が調査済みである。鈴木氏の今後の行動や解決の方法によっては、貴殿の立場も大変な事になるような気がする」
などと綴っているが、鈴木の“黒子”として暗い所ばかりを歩いてきた青田が鈴木との関係で登場するのは、親和銀行事件(鈴木宛の書面参照)や利岡正章襲撃事件(鈴木義彦の嘘と言い訳参照)など、いずれもきな臭い事件がらみの場面だった。

〔海外業務に精通した元山一證券マン 茂庭進〕
そしてもう一人、茂庭進という人物に宛てた書面もあった。
「貴殿が鈴木氏の海外の口座の管理や資産管理、その手続を一手にやっておられた事は昔、私の事務所の一部屋を使って仕事をしていた時から分かっておりました。私は、鈴木氏が、大変仕事ができる人をスタッフに持ったと内心びっくりしておりました」
と述べているように、鈴木が決して表に顔も名前も出さないようにするために用意した人物である。茂庭は海外業務に精通した元山一證券マンで、そのノウハウは鈴木が仕掛けた仕手戦で用意したオフショアカンパニーの取得を始め、転換社債や第三者割当増資をこれらのペーパーカンパニーが引き受ける際に如何なく発揮されたことが窺える。
西は茂庭が鈴木の実態や仕手戦の真相をどこまで承知して関わっていたのか、について切り込むように「本当の真実を詳しく書いた手紙を一緒に送らせていただきます。(略)社長、私、鈴木氏と交わした合意書に関して、今だ何一つ実行していない鈴木氏を、私は許すことは絶対にできません」と綴り、さらに「茂庭さんもしっかりと事実の確認をしていただき、鈴木氏と一緒に仕事をするのであれば、自分の立場をよくわきまえて、行動することが大事」と忠告している。

〔鈴木の実父徳太郎は西の会社で優遇〕
西は鈴木の実父にも書面を残していたが、裏切り行為への悔恨、そして鈴木が一日も早く合意書に基づいて約束を実行するよう、実父も一生懸命に働きかけて欲しいという文言が書き連ねられていた。利岡もまた平成19年当時、所在を不明にした鈴木と接触を図るために約2年近くも実父の自宅に日参していたが、鈴木は頑として応じなかった。
西が茂庭宛に綴った書面の末尾は「最後に残す言葉があるとすれば、鈴木義彦は人間の顔をした犬畜生だ。こんな人間を周りが許すわけがない」で終わっている。(以下次号)

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