最高裁大谷長官と品田裁判長そして野山裁判長宛に送られた「書面」を今、公開する

最高裁大谷長官と品田裁判長そして野山裁判長宛に送られた「書面」を今、公開する(1)

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昨年12月19日付で債権被害者の会が最高裁の大谷直人長官宛に、貸金返還請求訴訟の判決がいかに多くの誤りに満ちて不当であるかを訴え、担当した東京地裁の品田幸男裁判長、東京高裁の野山宏裁判長に対する適切な対応を求める「書面」を送ったことをすでに報じているが、今回、その要旨を公開することにした。裁判所がすでに組織として健全に機能しているとは思えないという世論が圧倒的に多い中で、事件の内容の検証を判決に的確に反映しない裁判を見過ごしにしてはいけない。

最高裁大谷直人長官宛申入れの要旨

事件名
*東京地裁民事18部 貸金返還請求事件(平成27年7月8日提訴)判決言渡 平成30年6月11日
裁判長:品田幸男
*東京高裁民事11部 貸金返還請求事件(平成30年6月22日提訴)判決言渡 平成30年11月28日
裁判長:野山 宏

1.東京地裁での判決は、あらゆる事実について認定を誤った結果で下された誤判である。

2.東京高裁での判決は、審理を短期間に圧縮して具体的な検証を行わず、単に原審判決を丸呑みで支持しており、明らかに誤判である。特に判決文に記載された内容は、原審判決文の誤字脱字、あるいは原審判決に不足しているとの名目で加筆されたものが大半を占め、原審における判決を左右するべき重要な事実認定について、控訴審として独自に検証を行った形跡は見られない。

3.日本の裁判制度は三審制を取っているが、実際には控訴審、上告審での審理はほとんど行われず、手続き上の不備や新しい事実の提示が無ければ具体的な審理が行われないということになっている。三審制とは名ばかりというのが実態になっている。今回の事件のように、東京地裁における事実認定の誤りを正そうとしても、高裁が「審理は原審で尽くされている」と判断すれば原審判決が覆ることはほとんど無い。「新しい事実」の摘示という要件は裁判所が裁判所の権威を保つために独自に作ったハードルで、裁判官の判断の誤謬を正すという作業を阻害している。

4.原審裁判官による事実認定の誤り
(1)被告鈴木義彦の虚偽証言をつぶさに検証しないまま、原告の請求を全面的に退けた誤り。
被告鈴木義彦の虚偽証言は、全て「合意書」に基づいての株取引で得られた巨額の利益を独り占めにして海外で隠匿している事実を隠蔽するために行われたものである。同時に、原告が平成9年8月頃から平成10年5月28日までの期間に被告に貸し付けた約28億円(元金)の返済をいかに圧縮するかを目的に行われたものである。
*「合意書」の文面にある銘柄欄が空白であることや、「合意書」に署名指印した原告と被告鈴木義彦、西義輝3名の役割が明確ではないこと、株取引が実行される期間や銘柄等が無限定であること、また原告が株の買い支え資金を安定的に出すことが明記されていないこと(物証も乏しい)などを理由に原審裁判官は「合意書」の有効性を認めなかった。しかし、「合意書」の作成そのものがその場の成り行きから暫定的に作成されたものであったとしても、「合意書」に3人が直筆で署名指印している事実は重く、「合意書」を作成するまでの経緯がそれを裏付けている。口頭であっても契約が成立するという契約に係る法的な根拠が「合意書」の無効という判断で大きく損なわれている。
*「合意書」の締結は、株取引で確実に利益を出して等分に分配しつつ被告鈴木義彦と西義輝(故人)の原告に対する債務を円滑に返済するとの名目で行われたが、実際には鈴木と西が株取引を実行中に原告から買い支え資金を恒常的に引き出そうとしたことが目的であった。「合意書」の約定に反して実行した株取引の内容を一切原告に報告しなかったことがそれを裏付けている。
*原告が西義輝の要請に基づいて株取引の最初の銘柄である宝林株800万株の買取り資金3億円を出したこと、株取引を実行中に原告が買い支え資金を鈴木と西に言われるままに出したことで利益が確保できた事実は紛れもなく、それは西と紀井義弘が証言、陳述している。
*和解協議の場で「強迫があった」として和解書に被告鈴木義彦が署名指印したことが「心裡留保に当たる」とする被告側の主張をそのまま採用した裁判官の事実認定は誤りである。和解協議の模様を録音したテープ、和解後に鈴木が自ら原告に電話をして和解書に被告鈴木義彦が自らの意思で記した支払約束を追認した事実、和解協議から1週間後の平成18年10月23日に被告鈴木義彦が自らの意思で原告に電話をして原告の会社を訪ね、和解協議でのやり取りを再確認した事実、さらにはその後に被告鈴木義彦が原告に送った2通の手紙に書かれた内容等がそれを裏付けている。

(2)裁判官が鈴木の虚偽の言動を検証していないことの証明。
被告鈴木の原告に対する虚偽の言動は、西が被告鈴木を原告に紹介して融資を受けるようになった、その当初から始まっている。
*被告鈴木は原告から融資を受けるに当たって、重要な場面で西に代理人の役目を負わせていたが、それは原告と西の関係を悪用したもので、裁判では「西義輝に代理人を依頼したことは無い」と否定を繰り返した。
*原告による被告鈴木への貸付は終始個人的な対応で一貫していた。それまでに10年以上の交流があった西からの紹介であり、その時点で鈴木が創業したエフアールの経営危機から資金繰りに悩み、自己破産か自殺しか選択肢が残されていないという被告鈴木の窮地を聞かされ「助けてあげて下さい」と懇願されたことから協力したものである。原告は個人として金融業の免許は所持しているが、それを本業にしたことは一度もない。従って、被告鈴木に対する貸付も個人対個人の信用という枠から出ることは無く、担保を取らず約束の返済期日が遅れても特に原告から催促することも無かった。被告鈴木はそうした原告の対応を知って、極めて悪意に満ちた借り入れを実行したのであり、それを悟られないように常に西を前面に立てて原告に対応したのである。
*被告鈴木が融資を受ける際に担保として差入れたエフアールの手形について、西が原告に「返済期日の3日前までに現金を持参するので、手形を金融機関には回さないで欲しい」という要請をして「お願い」と題する書面を書いたので原告はそれを守ったが、被告鈴木は一度も返済約束を守らなかった。
*平成10年5月20日頃までに被告鈴木は原告にピンクダイヤと絵画の話を持ち込み、3億円の金額を提示して原告に買ってもらったが、絵画については後日持参すると言いながら一度も持参しなかった。後日判明したところでは、その絵画は他の債権者に担保として差し入れられ、原告に販売できる状況にはなかった。
*平成10年5月28日に被告鈴木が単独で原告の会社を訪ねた際に、前述のピンクダイヤと絵画の販売委託を受ける「念書」と8000万円の融資を受けるための借用書を用意していた。原告はその3日後に警視庁が親和銀行不正融資事件に着手し被告鈴木を逮捕するとの情報を得ており、それを伝えたが、被告鈴木はすでに自らが近々逮捕されることを察知しており、身の回りの物品を現金に換える目的で「念書」と「借用書」を用意して原告の会社を訪れたとみられる。
*「合意書」に基づいた株取引が宝林株で開始されたのは3人が周知のことだった。宝林株800万株の売却話を西が某証券会社の平池課長から持ち込まれ、西が買取の交渉を進めて、平成11年5月31日に契約が成立したが、宝林株の現株の受け皿(ペーパーカンパニー3社)を用意したのは鈴木であり、現株の受け取りもペーパーカンパニーの用意で作業したフュージョン社の人間(町田修一と川端某)が行い、さらに翌6月1日付で金融庁に提出した大量保有報告書にも資金の出所で、被告鈴木は紀井の名前を本人には無断で勝手に使い、実際に資金を出した原告の名前を消してしまうという工作を行っていた。本来であれば、「合意書」締結の場で、被告鈴木はその事実と理由及び宝林株ほか多数の銘柄で実行する株取引に紀井を起用するという事実を原告に報告しなければならなかったが、被告鈴木は故意に触れなかった。西がどこまで被告鈴木の真意を承知していたかはともかく、西もまた話題にもしなかった。
*「合意書」に基づいた株取引が実行され、鈴木と西は宝林株取引で約160億円という巨額の純利益を得たが、その渦中で被告鈴木が西に利益折半を材料にして合意書の破棄を持ちかけ、西が応じると、その後の株取引で得た利益の中から複数回で紀井から西の運転手の花館聰を経由して総額10億円を西に礼金として渡し、さらにその後も宝林株の利益の分配金として複数回で30億円を渡すとともに、西に対しては原告にさまざまな言い訳をさせて被告鈴木自身が故意に原告との接触を避ける行動を取った。
*平成14年2月27日に、西が志村化工株の相場操縦容疑で東京地検特捜部に逮捕されたが、被告鈴木が西に罪を一人で被るよう土下座して頼み、西が応じたために被告鈴木は逮捕を免れた。その際に被告鈴木は西に利益分配の履行を約束したが、実際にはその約束を実行することは無く、結果的に西を自殺に追い詰める対応を取り続けた。
*平成14年6月27日、被告鈴木と西が被告鈴木の債務処理で原告の会社を訪ね、新たに借用書を作成することになった。従前に、原告から被告鈴木の債務について聞かれた西が「今後の株取引の利益が大きく膨らむので債務を圧縮して欲しい」という意向を原告に伝え、それまでに金利年15%で計算すると40億円超に、また遅延損害金年30%で計算すると60億円以上になっていた債務を25億円に減額することを了解していた原告がその旨を被告鈴木に伝えると、被告鈴木が「社長への返済金の一部として西さんに10億円を渡した」と言い出し、西もそれを渋々認めたため、被告鈴木が額面15億円、西が額面10億円の借用書をそれぞれ作成した。しかし、被告鈴木が返済金の一部とした10億円は前述した「合意書」破棄の礼金であったから全くの嘘で、この被告鈴木の対応からも西を用済みとして切り捨てる動きが始まっていたことが窺える。
*西は平成18年10月2日より長男の陽一郎と共に香港に出向いたが、その目的は利益の分配金を受け取ることにあった。西によると、前年に西が被告鈴木と面談し、西の執行猶予が明けた後に利益分配を受ける約束ができていたという。利益分配金は、銀行振り出しの預金小切手で約45億円分を用意し、残りについてはペーパーカンパニー名義の銀行口座を開設して振込するとの話が鈴木より香港に出向く直前に伝えられたという。しかし、西が香港に出向くと、被告鈴木より電話があり、香港には行けないので代理人のTamという男が対応すると言ってきた。そしてTamから預金小切手を受け取ったが、勧められたワインを飲んだ直後に意識がなくなり、翌朝、香港警察に発見されて病院に担ぎ込まれた後の数日間、生死をさまよった。西が受け取った預金小切手や関連書類ほか携帯電話も無くなっていた。
*西が香港で事件に巻き込まれたという連絡を受けた原告は、10月13日に紀井を経由して被告鈴木に連絡を取り、原告の会社で西が事件に巻き込まれた事実関係と「合意書」(株取引の実態を含む)について尋ねたが、被告鈴木はいずれも否定して、「合意書」についてはそれに基づいた株取引を実行しておらず、全て西の作り話だとまで言っていたが、平成11年7月30日に宝林株取引の利益の一部として15億円を5億円ずつ分配して、鈴木と西の取り分をそれぞれの返済金の一部に充てたうえで翌7月31日に2人が原告の会社に来て3人で15億円の処理について確認した。それにもかかわらず、ここまでのことがよく言えるものだった。しかし、西を交えて確認をしなければ結論は出ないということで、3日後の10月16日に再び面談することになった。
*10月16日の協議の場で話し合われたのは、「合意書」に基づいた株取引の詳細であるが、その中で被告鈴木は宝林株の取得資金を原告が出したこと、同じく宝林株取引が「合意書に基づいて実行されたこと、平成14年6月27日に原告への返済金の一部10億円を西に渡したという話が嘘で、実際には「合意書」破棄で西に渡した礼金であったことを認め、宝林株取引で上がった利益が60億円(最初は50億円と言って誤魔化した)であったとして、原告に25億円を、西に25億円を支払うと約した。しかし、その直前に西は紀井と面談し実際の利益が約470億円あった事実を聞き取っていたために抵抗したが、原告にたしなめられ最終的には被告鈴木の支払約束を呑むことになった。事前に西が用意した「和解書」の文面を被告鈴木は何度も読み直していたことから、原告が「必要なら文言を書き換えますよ」と言ったが、被告鈴木は「いえ、大丈夫です」と言って金額欄に金額を書き入れ署名指印したのである。その際に西が改めて署名に抵抗したが、被告鈴木が原告に対して「社長には大変お世話になっているので、2年以内に20億円を支払います。これは和解書には書きませんが、私を信じてください」ということで、和解協議は終了した。
こうした経緯から、被告鈴木が裁判で主張したような「強迫」があった事実はどこにもない。また、「心裡留保」についても、その後、被告鈴木が「和解書」の支払約束を撤回して新たな交渉をすると一方的な通告をした際に代理人に就いた青田光市と平林英昭弁護士が「(原告の)会社の出入りに使うエレベータを止められ監禁状態に置かれ」、「その場を切り抜けるためには和解書に署名するしかなかった」などと虚偽の主張を繰り返したことによるもので、裁判官が何の根拠もなく「心裡留保」を認めたことが異常である。青田は10月16日の協議で被告鈴木に同行しておらず、同席もしていない。青田は自身がビルの1階に待機していたと言っているが、1階のエレベータ前のスペースは2畳にも満たず、原告の会社の社員が何回もビルを出入りしており、青田を目撃した社員は一人もいなかった。

(3)裁判での平林英昭、長谷川幸雄の両弁護士が取った方針は、被告鈴木の虚偽証言を補強し、同時に原告を必要以上に誹謗中傷することで裁判官の心証を有利に運ぼうとしたことの証明。
被告鈴木の虚偽証言は、平成18年10月16日の協議でいったんは認めた事実さえ覆して原告の請求を全て否定するものだったが、平林、長谷川の両弁護人の主張(陳述)はそれに輪をかけてひどいものであった。
*前述した原告の被告鈴木への貸付について原告を「プロの金融屋」と規定して「有り得ないこと」という言葉を連発する一方で、原告が反社会的勢力と密接な関係にあるだけでなくその暴力団関係者を金主元として金融業を営んでいると有り得ない事実を並べ立てた。鈴木への貸付に対しては担保を取らず、年15%の金利を一度も払っていなくても催促もなかったことは暴力団関係者が絡む金融では有り得ないことで、それは誰にでも分かることだ。
*長谷川弁護士と被告鈴木の質疑応答をまとめた「質問と回答書」では、さらに踏み込んで、原告が親密にしているという暴力団とそのトップを名指しまでした。また実際には面談の事実が無いのに「平成14年3月頃に(原告に)呼び出され、完済したはずの債務の二重払いを迫られた」と言って、その後に被告鈴木が直筆で書いた15億円の借用書に偽の理由付けをしようと謀った。しかも、被告鈴木は西が自殺して真実を語れないことを悪用して、原告と反社会的勢力の密接関係を西から聞いたと言い、「原告に逆らえば、どんな危害を加えられるか分からず恐怖を感じた」とまで前記「質問と回答書」に書き記したのである。

品田裁判長が主導した判決は、以上の事実関係を悉く排斥して原告の請求を退けてしまった。重要な事実認定をするに当たって、仮に的確な物的証拠が不足していたとしても、原告の請求が正当であることを裏付ける多くの事実があり、それを証拠として提出したにもかかわらず、裁判官は検証を怠ったのである。判決が余りに偏向しているために、裁判官としての適性を疑うものである。
それ故、品田裁判官に対する弾劾を実現するべく、最高裁長官におかれては、改めて原審および控訴審判決をお読みいただき、品田裁判官と野山裁判官の誤判を正す適切な対応を取って戴きたい。(品田裁判官と野山裁判官への書面も次回に公開します)

最高裁大谷長官と品田裁判長そして野山裁判長宛に送られた「書面」を今、公開する(2)

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前号の最高裁大谷長官に送られた「書面」の公開に引き続き、品田幸男裁判長と野山宏裁判長宛に送られた「書面」を公開する。品田、野山の両裁判長宛の書面は大枠の部分で重複しているので、品田裁判長宛の「書面」を本文としつつ「貴職」に当たる部分に野山裁判長宛の部分を加筆した。大谷長官宛の「書面」でも分かる通り、一審の判決がいかに事実と真実を捻じ曲げ誤った判決を出しているかが理解いただけるものと思う。「今の裁判官には幼児に教えるように懇切丁寧に説明をしなければ理解してもらえず、誤判を招きかねない」と嘆く弁護士が数多くいると聞く。両裁判長宛に送られた「書面」もそれにならった流れになっているように見受けられるが、最高難度と言われる司法試験をパスして就いた裁判官に手取り足取り説明しなければいけないような複雑な話ではないはずだ。鈴木の犯罪を厭わない人間性と現に実行された株取引が合意書に基づいていた事実をしっかりと検証すれば、こんなひどい判決が出ることは無かったのである。

品田裁判長と野山裁判長宛「書面」の要旨

事件名
*東京地裁民事18部 貸金返還請求事件(平成27年7月8日提訴)判決言渡 平成30年6月11日
裁判長:品田幸男
*東京高裁民事11部 貸金返還請求事件(平成30年6月22日提訴)判決言渡 平成30年11月28日
裁判長:野山 宏

貴職が裁判長として関わり、判決を主導された上記事件は、以下に示す通り、客観的資料に基づかずに、あらゆる事実について認定を誤った結果で下された誤判であります。特に、当事者間の協議のうえで作成した書面について、書面を作成した事実を軽視し、他方で被告の供述を極端に重視し採用することにより、当該書面(和解書)による合意を心裡留保により無効であると解釈していますが、書面により確認される作成当時の当事者の意思を、裁判時点での被告の供述によって覆すに足りる十分な説示はない上、被告の心裡留保を原告が認識していたことの事実認定についても判断過程が全く不明であります。
また、控訴審での判決は、審理を短期間に圧縮して具体的な検証を行わず、単に原審判決を丸呑みで支持していることから、明らかに誤判であります。特に判決文に記載された内容は、原審判決文の誤字脱字が大半を占めており、控訴審判決は原審判決をいわば「清書」したに過ぎず、原審における判決を左右するべき重要な事実認定について、控訴審として独自に検証を行った形跡はほとんど見られませんでした。

日本の裁判制度は三審制を取っていますが、実際には控訴審、上告審での審理はほとんど行われず、手続き上の不備や新しい事実の提示が無ければ具体的な審理が行われないということになっています。三審制とは名ばかりというのが実態であり、それ故に原審の審理並びに判決を担われた貴職の責任は極めて重要になるのは言うまでもありません。今回の事件のように、東京地裁における事実認定の誤りを正そうとしても、東京高裁が「審理は原審で尽くされている」と判断すれば原審判決が覆ることはほとんどありません。「新しい事実」の摘示という要件は、裁判官の判断の誤謬を正すという作業を著しく阻害し排斥さえしております。

原審裁判長として貴職(品田裁判長)が主導された事実認定の主要な誤りにつき真実の経緯を以下に列挙致します。
(1)被告鈴木義彦の虚偽証言をつぶさに検証しないまま、原告の請求を全面的に退けた誤り。
被告鈴木義彦の虚偽証言は、全て「合意書」に基づいた株取引で得られた巨額の利益を独り占めにして海外で隠匿している事実を隠蔽するために行われたものであります。同時に、原告が平成9年8月頃から平成10年5月28日までの期間に被告に貸し付けた約28億円(元金)の返済をいかに圧縮するかを目的に行われたものであります。金銭の支払いを求められた鈴木が、これを免れるために虚偽の証言を行うことは経験則上明らかなことであり、まして金額が本件のように数十億円となる場合にはその傾向は顕著となりましょう。しかし原審においてはそのような経験則を無視し、鈴木の虚偽証言を信用してしまっています。

*「合意書」の文面にある銘柄欄が空白であることや、「合意書」に署名指印した原告と鈴木義彦、西義輝(故人)3名の役割が明確ではないこと、株取引が実行される期間とその間に取り扱われた銘柄等が無限定であること、また原告が株の買い支え資金を安定的に出すことが明記されていないこと(物証も乏しい)などを理由に貴職らは「合意書」の有効性を認めませんでした。しかし、「合意書」の作成そのものがその場の成り行きから暫定的に作成されたものであったとしても、「合意書」に3人が直筆で署名指印している事実は重く、原告に株の買い支え資金を出して欲しいと熱弁を振るったのは鈴木自身である等の「合意書」を作成するまでの経緯がそれを裏付けております。会社経営者とはいえ、法律知識に乏しい者が作成した書面に法律家が作成するような書面を求めること自体が非現実的と言わざるを得ません。本件「合意書」の記載に不足があるとしても、書面を作成している事実から当事者間の合理的意思解釈を行い、合意内容が何であったかを追求・検討すべきであります。記載内容に不足があることから「当該合意がなかった」と判断することには合理性は認められません。合意がないにもかかわらず合意書を作成することなど通常はあり得ないことであるからです。

*「合意書」の締結は、株取引で確実に利益を出して等分に分配しつつ鈴木と西の原告に対する債務を円滑に返済するとの名目で行われましたが、実際には鈴木と西が株取引を実行中に原告から買い支え資金を恒常的に引き出そうとしたことが目的でありました。鈴木と西は「合意書」の約定に反して実行した株取引の内容を一切原告に報告しなかったことがそれを裏付けています。

*原告が西の要請に基づいて株取引の最初の銘柄である宝林株800万株の買取り資金3億円を出したこと、株取引を実行中に原告が買い支え資金を鈴木と西に言われるままに出したことで利益が確保できた事実は紛れもなく、それは鈴木側の人間である西と紀井義弘がそれぞれ証言、陳述しております。当時の関係者でこれと異なる証言をしているのは鈴木のみです。

*和解協議の場で和解書に鈴木が署名指印したことが「心裡留保に当たる」とする被告側の主張をそのまま採用した貴職らの事実認定は誤りであります。和解協議の模様を録音したテープ、和解後に鈴木が自ら原告に電話をして和解書に鈴木が自らの意思で記した支払約束を追認した事実、和解協議から1週間後の平成18年10月23日に鈴木が自らの意思で原告に電話をして原告の会社を訪ね、和解協議でのやり取りを再確認した事実、さらにはその後に鈴木が原告に送った2通の手紙に書かれた内容等がそれを裏付けているではありませんか。
そもそも当事者間で協議し作成した書面を「心裡留保」として無効とし、さらに従前当該書面記載の義務を否定する主張をしていたことを以て相手方も当該意思表示が心裡留保であると知っていたと判断されるのであれば、協議の中で一方当事者を説得し、支払について確認する書面の全てが「心裡留保」となりかねません。このような法的安定性を欠く判断を安易に、十分な論証もなく行うことは裁判所の存在意義を失わせかねない行為であります。貴職らが被告を勝たせるために考えた苦肉の策なのかもしれませんが、「心裡留保」を持ち出し、事実を歪めなければ至れない結論にどれほどの正当性・合理性があるものなのか、甚だ疑問であります。

(2)貴職(原審裁判長)が鈴木の虚偽の言動を検証していないことの証明。
鈴木義彦の原告に対する虚偽の言動は、西が鈴木を原告に紹介して融資を受けるようになった、その当初から始まっています。

*鈴木義彦は原告から融資を受けるにあたって、重要な場面で西義輝に代理人の役目を負わせていましたが、それは原告と西の関係を悪用したもので、裁判では「西義輝に代理人を依頼したことは無い」と否定を繰り返しました。

*原告による鈴木義彦への貸付は終始個人的な対応で一貫していました。それまでに10年以上の交流があった西からの紹介であり、その時点で鈴木が創業したエフアールの経営危機から資金繰りに悩み、自己破産か自殺しか選択肢が残されていないという鈴木の窮地を聞かされ「助けてあげて下さい」と懇願されたことから、協力したものであります。原告は個人として金融業の免許は所持していますが、それを本業にしたことは一度もありません。従って、鈴木に対する貸付も個人対個人の信用という枠から出ることは無く、担保を取らず約束の返済期日が遅れても特に原告から催促することもありませんでした。鈴木はそうした原告の対応を知って、原告の厚意を逆手に取り、極めて悪意に満ちた借り入れを実行したのであり、それを悟られないように常に西を前面に立てて原告に対応したのです。

*鈴木が融資を受ける際に担保として差し入れたエフアールの手形について、西が原告に「返済期日の3日前までに現金を持参するので、手形を金融機関には回さないで欲しい」という要請をして「お願い」と題する書面を書いたので、原告はそれを守りましたが、これに対して鈴木は一度も返済約束を守りませんでした。上記「お願い」と題する書面の存在及び返済がなされていない事実はいずれも争いのない事実であります。

*平成10年5月20日頃までに鈴木は原告にピンクダイヤと絵画の話を持ち込み、3億円の金額を提示して原告は鈴木の言い値で買ってあげましたが、絵画については後日持参すると言いながら、一度も持参しておりませんでした。後日判明したところでは、その絵画は他の債権者に担保として差し入れられ、原告に販売できる状況にはなかったのです。

*平成10年5月28日に鈴木は単独で原告の会社を訪ねた際に、前述のピンクダイヤと絵画の販売委託を受ける「念書」と8000万円の融資を受けるための借用書を用意していました。原告はその3日後に警視庁が親和銀行不正融資事件に着手し鈴木を逮捕するとの情報を得ており、それを伝えましたが、鈴木はすでに自らが近々逮捕されることを察知しており、身の回りの物品を現金に換える目的で「念書」と「借用書」を用意して原告の会社を訪れたとみられます。なお、貴職らはピンクダイヤと絵画並びに高級時計(13本)の販売委託に係る責任はエフアールにあるとして、準消費貸借の債権7億4000万円は鈴木が責任を負うものでは無いという判決を下しましたが、前述したとおり、原告は鈴木に対して個人対個人で対応しており、原告が鈴木に親和銀行事件で逮捕されることを知らせた当日に持ち込んできた「念書」で販売委託をする者は一人もいないと断言できるもので、鈴木はピンクダイヤと絵画並びに高級時計の現品を原告に返還せず、代金も支払わないという事実上の犯罪(詐欺横領)行為を犯していながら、原告は刑事事件にもせずに準消費貸借という穏便な対応をしました。そのような事実関係を貴職らは全く検証することなく表面的なことしか判断材料にしておりません。

*「合意書」に基づいた株取引が宝林株で開始されたのは、3人の間では周知のことでした。宝林株800万株の売却話が証券会社の平池課長から西に持ち込まれ、西が買取の交渉を進めて、平成11年5月31日に契約が成立しました。この宝林株の取得が無ければ、その後の「合意書」の作成も、また「合意書」に基づいた株取引も実行されることは無かったのは言うまでもありません。宝林株の現株の受け皿(ペーパーカンパニー3社)を用意したのは鈴木であり、現株の受け取りもペーパーカンパニーの調達で作業したフュージョン社の人間(町田修一と川端某)が行い、さらに翌6月1日付で金融庁に提出した大量保有報告書にも資金の出所で、鈴木は紀井義弘の名前を本人には無断で勝手に使い、実際に資金を出した原告の名前を消してしまうという工作を行っており、本来であれば、「合意書」締結の場で、鈴木はその事実と理由及び宝林株ほか多数の銘柄で実行する株取引に紀井を起用するという事実を原告に報告しなければなりませんでしたが、鈴木は故意に触れませんでした。西がどこまで鈴木の真意を承知していたかはともかく、西もまた話題にもしませんでした。そのために原告は株取引の原資を供給していたにもかかわらず、鈴木により株取引の話から一人外される形となってしまったのです。

*「合意書」に基づいた株取引が実行され、鈴木と西は宝林株取引で約160億円という巨額の純利益を得ましたが、その渦中で鈴木が西に利益折半を材料にして合意書の破棄を持ちかけ、西がこれに応じると、鈴木はその後の株取引で得た利益の中から複数回で紀井から西の運転手の花館聰を経由して総額10億円を西に礼金として渡し、さらに宝林株の利益の分配金として複数回で30億円を渡すとともに、西に対しては原告にさまざまな言い訳をさせて鈴木自身が故意に原告との接触を避ける行動を取ったのです。

*平成14年2月27日に、西が志村化工株の相場操縦容疑で東京地検特捜部に逮捕されました。この件には、鈴木も深く関わっており、本来であれば鈴木も逮捕されるべき立場にありましたが、鈴木が西に罪を一人で被るよう土下座して頼み、西が応じたために鈴木は逮捕を免れました。その際に鈴木は西に利益分配の履行を約束しましたが、実際にはその約束を実行することは無く、結果的に西を自殺に追い詰める対応を取り続けたのです。

*平成14年6月27日、鈴木と西が鈴木の債務処理で原告の会社を訪ね、新たに借用書を作成することになりました。これに先立ち、原告から鈴木の債務の返済方法について聞かれた西は、今後の株取引の利益が大きく膨らむので債務を圧縮して欲しいという意向を原告に伝えていました。これを受けて原告と西との協議の結果、それまでに金利年15%で計算すると40億円超になっていた債務(ただし遅延損害金年30%で計算すれば60億円以上)を25億円に減額することとしていました。しかし、当日、原告がその旨を鈴木に伝えると、鈴木が「社長への返済金の一部として西さんに10億円を渡した」と言い出し、西もそれを渋々認めたため、鈴木が額面15億円、西が額面10億円の借用書をそれぞれ作成することになりました。しかし、鈴木が言った10億円を返済したというのは前述した「合意書」破棄の礼金であったから全くの嘘で、この鈴木の対応からも西を用済みとして切り捨てる動きが始まっていたことが窺えます。

*西は平成18年10月2日より長男の陽一郎と共に香港に出向きましたが、その目的は鈴木から利益の分配金を受け取ることにありました。西によると、前年に西が鈴木と面談し、西の執行猶予が明けた後に利益分配を受ける約束ができていたといいます。利益分配金は、銀行振り出しの預金小切手で約45億円分を用意し、残りについてはペーパーカンパニー名義の銀行口座を開設して振込みするとの話が鈴木より香港に出向く直前に伝えられたといいます。しかし、西が香港に出向くと、鈴木より電話があり、香港には行けないので代理人のTamという男が対応すると言ってきたといい、西は、Tamから預金小切手を受け取ったが、その時勧められたワインを飲んだ直後に意識がなくなり、翌朝、香港警察に発見されて病院に担ぎ込まれ、その後数日間、生死をさまよう事態となりました。このとき、西が受け取った預金小切手や関連書類ほか携帯電話も無くなっていました。

*西が香港で事件に巻き込まれたという連絡を受けた原告は、10月13日に紀井を経由して鈴木に連絡を取り、原告の会社で西が事件に巻き込まれた事実関係と「合意書」(株取引の実態を含む)について尋ねましたが、鈴木はいずれも否定して、「合意書」についてはそれに基づいた株取引を実行しておらず、全て西の作り話だとまで言っていましたが、平成11年7月30日に宝林株取引の利益の一部として15億円を5億円ずつ分配して、鈴木と西の取り分をそれぞれの返済金の一部に充てたうえで翌7月31日に2人が原告の会社に来て3人で15億円の処理について確認したものです。それにもかかわらず、ここまでのことがよく言えるものでした。そのため西を交えて確認をしなければ事実関係の確認と結論は出ないということで、3日後の10月16日に再び面談することになりました。

*10月16日の協議の場で話し合われたのは、「合意書」に基づいた株取引の詳細でありますが、その中で鈴木は宝林株の取得資金を原告が出したこと、同じく宝林株取引が「合意書」に基づいて実行されたこと、平成14年6月27日に原告への返済金の一部10億円を西に渡したという話が嘘で、実際には「合意書」破棄で西に渡した礼金であったことを認め、宝林株取引で上がった利益が60億円(最初は50億円と言って誤魔化した)であったとして、原告に25億円を、西に25億円を支払うと約しました。しかし、その直前に西は紀井と面談し実際の利益が約470億円であった事実を聞き取っていたために、西はこの鈴木の提案に抵抗しましたが、原告にたしなめられ最終的には鈴木の支払約束を呑むことになりました。事前に西が用意した「和解書」の文面を鈴木は何度も読み直しており、原告が「必要なら文言を書き換えますよ」と言いましたが、鈴木は「いえ、大丈夫です」と言って金額欄に金額を書き入れ署名指印したのです。その際に西が改めて署名に抵抗しましたが、鈴木が原告に対して「社長には大変お世話になっているので、これとは別に2年以内に20億円を支払います。これは和解書には書きませんが、私を信じてください」ということで、原告も了解し和解協議は終了しました。

*上記経緯のように、鈴木が裁判で主張したような「強迫」があった事実はどこにもありません。また、「心裡留保」についても、その後、鈴木が「和解書」の支払約束を撤回して新たな交渉をすると一方的な通告をした際に、代理人に就いた青田光市と平林英昭弁護士が「(原告の)会社の出入りに使うエレベータを止められ監禁状態に置かれ」、「その場を切り抜けるためには和解書に署名するしかなかった」などと虚偽の主張を繰り返したことによるもので、貴職らが何の根拠もなく「心裡留保」を認めたことが異常であります。青田は10月16日の協議で鈴木に同行しておらず、同席もしておりません。青田は自身がビルの1階に待機していたと言っていますが、1階のエレベータ前のスペースは2畳にも満たず、原告の会社の社員が何回もビルを出入りしており、青田を目撃した社員は一人もいませんでした。鈴木自身も協議の場で西に対して「お前、この場で死ねるのか」などと発言しておりますが、強迫されたと言っている鈴木が強迫したという西と原告に吐く言動ではないことは明らかであり、こうした虚偽の主張に基づいた「強迫」や「心裡留保」を安易に根拠として「和解書」を無効とした貴職らは「和解書」作成の経緯、事実関係について何ら検証していない事は明白であります。

(3)裁判での平林英昭、長谷川幸雄の両弁護士が取った方針は、鈴木の虚偽証言を補強し、同時に原告を必要以上に誹謗中傷することで貴職らの心証を有利に運ぼうとしたことの証明。
鈴木義彦の虚偽証言は、平成18年10月16日の協議でいったんは認めた事実さえ覆して原告の請求を全て否定するものでしたが、平林英昭、長谷川幸雄の両弁護人の主張(陳述)はそれに輪をかけてひどいものでした。

*前述した原告の鈴木への貸付について原告を「プロの金融屋」と規定して「有り得ないこと」という言葉を連発する一方で、原告が反社会的勢力と密接な関係にあるだけでなくその暴力団関係者を金主元として金融業を営んでいると根拠なく事実に基づかない主張を並べ立てました。しかし、鈴木への貸付に対しては担保を取らず(手形は鈴木と西が持ってきたもので原告が要求したものではない)、年15%の金利を一度も払っていなくても催促もなかったことは暴力団関係者が絡む金融では有り得ないことで、それは誰にでも分かることです。

*長谷川幸雄弁護士と鈴木の質疑応答をまとめた「質問と回答書」では、さらに踏み込んで、原告が親密にしているという暴力団とそのトップを名指しまでしたうえ、実際には面談の事実が無いのに「平成14年3月頃に(原告に)呼び出され、完済したはずの債務の二重払いを迫られた」と言って、その後に鈴木が直筆で書いた15億円の借用書に偽の理由付けをしようと謀ったのです。しかも、鈴木は西が自殺して法廷で真実を語れないことを悪用して、原告と反社会的勢力の密接関係を西から聞いたと言い、「原告に逆らえば、どんな危害を加えられるか分からず恐怖を感じた」とまで前記「質問と回答書」に書き記したのです。

貴職が裁判長として主導した判決は、以上の事実関係を、何ら理由を付すことなく悉く排斥して原告の請求を退けてしまいました。重要な事実認定をするに当たって、仮に直接それを立証する物的証拠が不足していたとしても、原告の請求が正当であることを裏付ける多くの事実があり、それを証拠として提出したにもかかわらず、貴職らはその検証すらも怠り、漫然と鈴木の主張を採用したのです。そこには合理的な判断過程もなければ説得的な論証もありません。このように判決が余りに偏向しているために、裁判官としての適性を疑うものであります。そして、貴職らが下した判決によって、鈴木の犯罪が隠蔽されたばかりか、正当に税を徴収するきっかけを失したことで日本国に多大な損害を与えたと言っても過言ではありません。
それ故、貴職らに対する弾劾を実現するべく、然るべき対策を講じておりますが、貴職におかれては、改めて自ら主導された審理に提出した原告と被告双方の主張と証拠を検証するとともに判決をお読みいただき、明らかとなった誤判を正す適切な対応を取って戴きたい。(つづく)

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