〔韓国系デリヘルを相手に高利金融〕
平成26年3月、貸金請求の訴訟が東京地裁に提起された。金額は1000万円(一部請求)だったが、原告となった債権者にはどうしても許せないことがあった。それは、「事業資金の融資をお願いしたい人がいるのですが」と言って被告の孫銀翼(ソン ウンイク)を債権者のところへ連れて来た藤牧義毅という男が、孫の連帯保証をしつつ孫から紹介手数料を取っておきながら、責任を逃れるために自己破産を申し立て、それが認められると、債権者に対しては開き直って知らぬ存ぜぬの対応を繰り返した。しかし、藤牧が破産申し立てをしたのは孫への貸し付けにかかる公正証書作成前だったのではないか、そうすると連帯保証をした藤牧は免責されないという疑いが後に出てきた。藤牧は「母親には1000万円以上の預金があるので、それを借りてお返しします」と言ったが実行せず、その後「栃木県に数千坪の土地があって、所有している友人も了解しているので、それを売却して返済に充てます」と言って債権者から相手に渡す内金500万円を受け取っていたにもかかわらず、弁護士を介して「債権者に詐欺的な土地売買交渉を迫られ、脅かされた」と虚偽の話をしたが許されることではなかった。案の定、藤牧は間もなくして行方をくらませた。

(写真下:藤牧義毅)(同:500万円の領収書)


孫銀翼(ソン ウンイク)も悪質だったが、その陰に隠れて、孫を操っていた徐吾彌(ソ オミ)という女性も極めてしたたかで、売春グループ(「喜ばせ組」と呼称)を組織したり、デリヘル相手に高利金融を仕掛けるなど、同じ韓国人を使って同胞から荒稼ぎをするというあこぎな金稼ぎが墓穴を掘ることになり警視庁に逮捕された。

孫は経営していたデリヘルの宣伝を請け負う広告代理店「デジタルスタイル」の代表者であった高山隆と営業社員の徐との関わりを持った模様だ。そして、実は表向きには高山が同社の一人取締役で取り仕切っているように見られたが、同社のオーナーは徐自身で、その事実を誰も知らなかったという。徐はデジタルスタイルと同じ所在地に「ジーツープラン」という会社を密かに設立して代表取締役に収まり、高山は同社の取締役で、高山がデジタルスタイルの代表者という肩書きで対外的に広告営業をしていたことになるが、何故、徐が表向きにも代表者を名乗らなかったのかについては、「広告を掲載する上で雑誌社との対応は日本人である方が都合良かったろうが、一方の広告営業で同じ韓国籍の人間を食ってでも荒稼ぎをしようとも考えていたのではないか」(関係者)という。

(写真下:ソ オミ)

事情を知る関係者によると、確かに徐の韓国系デリヘル店への手口はあこぎで、10回分の広告掲載料金を一括で前取りするのが建前になっていたという。
「風俗店側には無許可営業をはじめ風俗嬢のオーバーステイほか警察に相談しづらい事情があるので、それを逆手に取ってチェックが甘い店の広告は半分くらいしか掲載せず、残り半分の料金は騙し取っていた。そして、店側からクレームが入っても『ちゃんと掲載していますよ。文句があるなら警察でもどこでも行ってください』と開き直るので、ほとんどの店が泣き寝入り状態だった」
風俗店は宣伝が命綱なので、月に300万円から400万円をかけるのが普通と言われるが、仮に400万円で5店舗分の広告費の半額を5年間騙し取ったとすると、総額で6億円(200万円×5店舗×12か月×5年)にも上る計算になる。

徐はその騙し取った金を原資に高利金融をやっていたという。もちろん、貸付先は風俗店だった。徐は経営が厳しい風俗店の経営者に「広告料はデジタルスタイルで立て替えるから月賦払いで良い」と言って契約を取った後、2、3回集金したところで「どうしても(広告料を)全額入金しないとまずくなった。もし借りる当てがなかったら、自分が知っている韓国人で金を貸してくれる人を紹介する」と言って孫を紹介して借金をさせ、広告料金を支払わせた。

(写真下:ソンウンイク)

孫銀翼が徐から高利金融をやろうと誘われた時の話では、金利は月3割という暴利で明らかに出資法違反だが、韓国人が日本国内の金融機関から融資を受けるのは難しく、高利でも仕方が無いと思っている。金を借りるなら同国人同士が良い。そして、少々手荒なことをしても警察沙汰になることは無い、というものだった。

徐が孫に声をかけたのは、孫が真面目で使えると思った模様で、実際に孫は「上がった利息は二人で折半」という徐の甘言を真に受けて高利金融の実務を手伝うようになったが、利息が取れるようになるまでの経費や店舗の運転資金、生活費等がどうしても捻出できず、藤牧を頼って債権者から総額で7500万円を借り入れた(うち藤牧は6500万円を連帯保証)のが実情だったという。

しかし、徐は高利金融で利息が取れるようになっても孫には分配しなかった。集金した金額が孫の計算によれば2000万円を超えていた時に、孫が徐に分配を申し出ると、徐は「これから何が起きるか分からないし、もう少し貯めてから折半したほうが良い」という逆提案をして孫を説得してしまったという。孫は徐に騙されているとは露ほどにも考えなかったようだが、徐はその後、利益が相当に出るようになっても孫に分配金を渡すことは無かったため、孫はジリ貧状態に陥り、藤牧に資金を貸してくれる所を頼み、その資金を着服して流用せざるを得ない状態に追い込まれていったという。ただし、これは飽くまで孫の弁明だから、孫と藤牧が最初から債権者を騙す計画だったのではないかとの疑いは残った。

(写真下:金銭借用証書)

孫の事情を知った債権者が藤牧を介して徐に交渉を続けたが、その度に徐は「私はただ雇われているだけなので、お金は無いし払えない」と涙まで流して言ったという。その時点では、誰も徐が実質のオーナーであることを知らなかったために、徐の話を信じるしかなかった模様だ。

徐は孫の使い込みを知った時、自身が孫に対して日常の活動資金はもちろん、約束の分配金を渡さなかったことが着服の原因であったにもかかわらず、一度でも孫から借用書を取れば、後は暴力団を使ってでも回収できると考え、何としても孫に借用書を書かせようとしたが、孫は次第に徐の人間性に気付き始めたために頑として書かなかったという。もっとも、孫は孫でその後に債権者から借り受けた2000万円をほとんどそっくりギャンブルに注ぎ込んでいたというから、孫も徐も、そして藤牧も悪党としか言いようがない。

(写真下:ソンの身分証明書

債権者は孫の事情を知り、孫と藤牧、徐を交えて話し合いの場を持ったが、藤牧が徐に「あなたが経営者なのだから、借金を支払う責任があるのではないか」と問い詰めても、徐は泣き声を交えて「私は社長ではないし、お金も無いので払いたくても払えない」などとしたたかさを見せたという。

冒頭から触れているように、徐は孫や高山の影に隠れてあくどい金稼ぎを繰り返したが、デリヘル嬢たちを組織して売春グループ(喜ばせ組)を展開する中で、徐が客にデリヘル嬢を手配する連絡している事実が発覚して逮捕となり、高山とデジタルスタイルの女子従業員も売春防止法(周旋幇助)違反の容疑で逮捕された。

(写真下:ソンの身分証明書)

藤牧は債権者からの徴求を逃れようとして、相変わらず所在を不明にしている模様だが、債権者が貸金請求の訴訟を提起し勝訴したことで、いつまでも逃げ回っている訳にも行かないであろうと思われる。しっかりと責任を取る自覚を持つべきではないか。(つづく)