鈴木義彦及び長谷川幸雄元弁護士への質問状(2)

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前号に続き「鈴木義彦および長谷川元弁護士への質問状」(2)を掲載する。

1 鈴木は親和銀行事件で逮捕された時、その後、保釈されるまで拘留されていた期間、何を考えていたのか? 西は故田中森一弁護士を親和銀行に紹介して顧問に据えた関係から事情聴取を受けたようで、その際に銀行幹部との面談模様を収録したビデオを見せられたと言っているが、西を主犯(スケープゴート)に仕立てようと考えていたのか?
〔本誌〕西は親和銀行から新規に融資を引き出すための相談を鈴木から受け、その際に鈴木から辻田徹元頭取に対する美人局の経緯や総会屋、暴力団の関りを聞いた。そして、旧知の関係にあった故田中森一弁護士を紹介し、鈴木が同人を親和銀行の顧問に据えるよう画策し、総会屋や暴力団を排除する見返りに新たな融資を引き出していった。親和銀行での不正融資が発覚して、西が事情聴取でビデオを見せられたのは、西自身が語っている通りで、誰がそのようなビデオを収録したかを考えれば、鈴木の差し金と言わざるを得ない。

2 平成11年当時は、まだ刑事被告人の身であり、平成12年に執行猶予を受けてからの4年間も活動には制約を受けたはずだが、その間にどれほど海外諸国と日本を往復したのか? 裁判所や法務省にはどういう名目で届を出したのか?
〔本誌〕この辺りの事情は本誌でも詳しく聞きたいところである。過去に面識のあった吉川某という証券担保金融業者が、紀井が取得株の売りを指示するために鈴木が用意した東京都心のマンションに日々の利益金を届けていた様子を紀井自身が語っているが、吉川は鈴木の指示で主にフランスに渡航して現地で鈴木と合流していたという。吉川が利益金の運び屋だった時期があった。しかし、吉川もSECに監視されるようになり、慌ただしくパリへ逃亡した。

3 宝林株を始めとしていくつもの銘柄で故西田晴夫とタッグを組んだようだが、西田とは利益の分配でどういう話し合いがあったのか? 特にアイビーダイワの株取引では西田の側近の白鳥某女がSECに目をつけられて海外に逃亡したようだが、手引きしたのか? その後も連絡を取り合っていたのか?
〔本誌〕宝林株を始めアイビーダイワほか複数の銘柄で西田は鈴木とタッグを組んで株価を高値誘導した。そうした状況下で鈴木がさらに西に株の購入を依頼し、株価が上がったところで紀井が売りを仕掛ける。大きな利益が出るはずだった。西によると、アイビーダイワは西田の側近だった白鳥女史が鈴木に持ちかけたものであったというが、当然、SECの監視下に置かれた白鳥女史の動向を知ることは鈴木にとっても必須だったに違いない。白鳥女史の逃亡先が証券担保金融業者の吉川某と同じパリだったという点は注目すべきところだ。

4 平成11年7月30日に西がA氏の会社に15億円を持参するにあたっては、A氏にいくら渡すか、西と協議をしたのではないか? その時に利益はいくら上がっていたのか?
〔本誌〕西のレポートによると、7月下旬の時点で確保された利益は約50億円あったが、宝林株の取り引きに係る収支の明細をA氏に報告して利益を3等分するという考えは鈴木にも西にもなかった。宝林株の取引で予想外の利益を獲得したために、鈴木は西をたぶらかして利益を折半しようと持ちかけていた。「A氏に利益を分配すると、自分たちの手元には何も残らない」と言う鈴木の誘惑に西は乗ってしまった。そして、今後の株取引に向けた準備金の確保という名目からA氏に渡す分を10億円と提案する鈴木を退けて西が15億円で押し切ったという。それにしてもA氏の力が無ければ何もできないのに、最初から約束を破っている。2人ともまともではない。

5 A氏の会社に15億円を持参するとき、何故鈴木は同行しなかったのか? A氏から株取引の詳細を聞かれては困ると考え、西にうまくやるように頼んだのか? A氏の心遣いで西とそれぞれに5000万円を受け取った時、何を思ったか? A氏が合意書に基づいて3等分すると言ったときに、西が「自分と鈴木の取り分は社長への返済の一部に充てます」と言ったが、それは最初から西と打合せ済みのセリフだったのか?
〔本誌〕A氏と西、鈴木が3人で面談や会食する時、鈴木はほとんど寡黙で自分から積極的に語ることはなかったというが、宝林株取引で予想外の利益を確保した鈴木はすでに利益を独占する思惑を膨らませており、それ故、A氏との接触も徹底的に西に代行させていた。実際に鈴木はこの15億円をA氏への債務の返済金だったと主張するようになったが、その思惑がすでにこの時にあって、西に単独で持参させたことが窺われる。

6 翌日の7月31日に西とA氏の会社を訪ねた時、株取引について詳しい説明をしなかったのは、すでに合意書を反故にして利益を独占しようとする思惑があったからか? A氏から受け取った5000万円について礼を述べていたが、どんな心境だったのか? 2人はA氏を騙していて受け取ることに抵抗はなかったのか?
〔本誌〕鈴木は西と共に15億円のうちの取り分をA氏への返済に充てることを確認し、併せてA氏からの心遣いで西と鈴木がそれぞれ5000万円を受け取ったことに礼を述べた。ところが、その裏で鈴木は西に「合意書」の破棄を執拗に迫り、その報酬として総額10億円の報酬を渡すとともに、西も鈴木からの報酬に目がくらんでのことかA氏には「(鈴木は)都心の1DKのマンションで頑張っている」とか「海外に出かけているが、株取引は長い目で見ていただければ、必ず利益を出します」と言って煙に巻くような発言ばかりをして具体的な報告を避け続けた。本当に悪党どもだ。

7 平成11年9月30日付でA氏に「債権債務はない」という確認書を出してもらったが、それは西の入れ知恵か? 前年に鈴木が拘留中のとき、西と天野裕が同社の決算対策でA氏に頼んで手形の原本を預かったという話を天野から聞いていたと思われるが、確認書は西が言わなければA氏がそこまで協力していた事実を知らなかったのではないか?
〔本誌〕鈴木は西から手形の原本と確認書を受け取った際にA氏に電話で「無理をお願いして申し訳ありません、本当に有り難うございました」と礼を述べた。「確認書」については、西の会社(東京オークションハウス)で毎年のようにA氏にやってもらっていることを鈴木は西から聞いていた。但し、鈴木の頭の中は、この「確認書」を使ってA氏への債務をゼロにしてしまおうということは平林や長谷川との打ち合わせの中で構築された悪だくみであったが、その後の平成14年6月27日付の借用書の存在で辻褄が合わなくなってしまうために、乙59号証にみられるとおり、もっともらしい虚偽のストーリーを構築した。これは長谷川の提案だと思われるが、明らかに犯罪だ。また、その後の株取引で鈴木はエフアールを銘柄に選んでいるが、転換社債発行や第三者割当増資をさせるためには、監査法人の承認を取らなければいけないという思惑でいっぱいだったのは間違いない。

8 夫婦で殺された霜見誠は新日本証券に勤務していた時代から、いわゆる仕手筋との関係が深かったようだが、鈴木とどんな付き合いがあったのか? 霜見の関係者によると、平成13年から同14年当時には密接な関係にあったというが、それは事実か?
〔本誌〕霜見夫妻殺人事件が報道されているさ中に、東京国税局が霜見誠が主宰してリヒテンシュタイン国に拠点を置く「ジャパンオポチュニティファンド」の銀行口座の洗い出しのためにスイスのプライベートバンクに照会をかけたという報道がなされた。同記事はファンドの真のオーナーが鈴木(記事ではイニシャル)であるとしていたが、その後の情報は出ていない。霜見夫妻が事件に巻き込まれた背景は依然として未解明のため、鈴木は積極的に知り得ている事実を語るべきではないのか。

9 一連の株取引を青田光市はどこまで知っていたのか? まさかカヤの外というわけではなかったと思うが、知られてはまずいこともたくさんあったのではないか?
〔本誌〕鈴木は株の売りを任せていた紀井に「利益については青田に絶対に言うな。あの男は口が軽いからだめだ」と口止めしていた。鈴木は自分の“汚れ役”として青田を重宝がっていたようだが、青田は金のためなら何でもするといわれている。鈴木の関与が指摘されたステラ・グループの本社には青田が勤務している姿が毎日のように目撃された。鈴木にしてみると、本音は関与させたくなくとも、青田が出しゃばれば「駄目だ」とは言えなくなっていたのではないか。A氏による訴訟提起で、青田は鈴木の弱点を握り金をせびっている現場があるが、鈴木はノーとは言えない弱みが沢山あり、青田の海外での悪事にも鈴木はプライベートバンクから送金している。青田は悪事で上げた利益を地下銀行を使って日本に送金している。

10 西が志村化工株の相場操縦容疑で告発を受けると知ったのはいつのことだったか? 知ってから西とは何回会って口裏合わせをやったのか? 鈴木には利益を独占管理している強みがあったから、西は罪を被ると考えていたか?
〔本誌〕志村化工株の相場操縦容疑でSECの告発を受けた東京地検が捜査に乗り出したことから、鈴木は何度も西に会って「私の名前を出さないでほしい」と懇願した。得意の土下座までして「(罪を償って出所したら)西会長の言うことは何でも聞くから」と言った鈴木に、西は株取引の利益の1/3は最低でも払うという約束をさせて、英文の書面を作成した。西は、それまで株取引の現場で鈴木に煮え湯を飲まされていたようで、それを一気に挽回できると考えたのか、逮捕後の取り調べでは鈴木の関与を否認して口を噤んだが、鈴木は自分さえ助かれば西との約束は何時でも反故にできると考えていた。案の定、西との約束は果たさなかったどころか、西を自殺にまで追い込んでしまった。取材班は30年以上も取材と執筆の仕事をしてきて、鈴木ほどの悪党は見たことがないというのは全員の一致した意見だ。この人間は恩義と言う言葉を知らないのか、大悪党と言われても返す言葉もないはずだ。鈴木は今まで掲載してきた多くの特集記事に何一つ反論していない。数多くの証拠や何本もの録音テープの存在で反論できないというのが実情ではないか。(以下次号)

2020.06.07
     

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