取材データから読み解く「鈴木義彦」の株取引を巡る真実(5)

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《A氏、西、鈴木の3人で交わした合意書が無ければ、A氏が株価の買い支え資金を出すことはなかった。そもそも宝林株800万株の取得代金3億円をA氏が西の依頼で出したから、鈴木が紀井氏に任せて株を売ることはできた。合意書があってのことである。また、宝林株だけであれば売った利益をすぐに精算するはずだ。宝林株取得の3億円は鈴木が出したとでも言いたげに、最初は主張を三転四転させたが、鈴木自身も認めざるを得なくなって認めたではないか》

《合意書が無ければ、いろいろな銘柄で次から次へと株取引を実行できるわけはない。全ての売りに専従した紀井氏が各銘柄の利益を確認書という書面で提出している。そこに嘘があれば、紀井氏は偽証罪に問われていた。鈴木や長谷川は紀井氏のことを裏切り者とか電話番とか言っているが、誠実な人間であることは周囲が認めている。もし西が鈴木ではなく紀井氏とA氏の3人で合意して株取引をやっていれば、全く問題は起きなかったと思われるほどだ》

《平成10年5月末に宝林株の取得代金3億円をA氏が出し、同年7月8日に合意書が結ばれた。そして同月の30日には15億円の利益を3等分している。ただし、実際の利益はこの時点で50億円以上あったが、鈴木と西はA氏に正確な報告をしなかった。鈴木は、思ったよりも利益が出たことで西を巻き込んで合意書を破棄するように仕向けた。その結果、紀井氏と花館(西の運転手)を経由して西に複数回で10億円を渡している。その頃、鈴木は西に「利益は2人で折半しよう」と持ちかけ、西はその話に乗ったが、鈴木はどうしようもない悪党だ。西も東京オークションほかでA氏に100億円以上の借金があるのに、A氏を裏切るなんて悪すぎた》

《裁判官は鈴木の証言が二転三転していることに目を向けなかった。完全におかしい話で何か裏があるとしか思えない。鈴木は親和銀行不正融資事件に前後してさまざまな事件への関与を疑われ、マスコミでも数多く取り上げられてきた。鈴木自身も「金融機関や証券会社等での口座開設ができない」と自白しているように、金融証券市場では不健全な人物とのレッテルが張られているのだ。裁判でもマスコミで取り上げられた記事が証拠として提出されたが、裁判官は鈴木の証言が二転三転する事実を鈴木の人間性に要因があると深刻に受け止めるべきだったのだ》

《裁判官や弁護士等も言っているが、裁判官の評価の基準は「どんな判決文を書いたか」ではなく「何件終了させたか」にあるとコメントしている。》

《親和銀行事件でも、鈴木は甲府にある古屋貴石社に偽造宝石を作らせたり、ノモスの佐藤新一に価値のない岩手の土地(40万坪)等を提供させて同銀行への担保にした結果、100億円以上の不正融資を受けた。その際にいい思いをしたのは鈴木とノモスの佐藤だけである。鈴木は同銀行へ食い込んで、総会屋・暴力団を排除する名目で32億円を引き出したが、同銀行への食い込みの切っ掛けとなった副島と暴力団への手切れ金は2億円ほどだったといい、融資金の大半は独り占めした》

《鈴木はエフアールを上場させるために決算を粉飾していた。さらに株価を維持するために知人の名義を使って自社株売買を繰り返すという違法行為をしていたが、幸い発覚しなかった。しかし、そのために鈴木とエフアールの資金繰りは悪化するばかりで、親和銀行から不正融資を引き出す事件へとつながった》

《鈴木の悪事は底が知れない。創業者利得を得るためにエフアールを上場させたが、その目論見が外れて鈴木は窮地に立った。エフアールの経営状態を改善するという名目にもかかわらず、鈴木は本業の宝石、輸入ブランド品等の販売に活路を見出そうとしたのではなく、人を騙して金を手にする方法を繰り返した。その一つが偽のインボイスを作成して、日本橋の金融業者(宮崎氏)に対して20億円を焦げ付かせたが、手形割引は鈴木が直接行わず、ワルで有名な青田光市を使い商業手形に見せかけて相手を騙したのだ。鈴木には悪事を働くことしかノウハウはなかった》

《鈴木の依頼で西が設立したFEAM社で、鈴木と愛人、実父の給与を出させ、ベンツ、運転手ほか大石(高裕 エフアールの元専務)への口止め料などで約7億円が費消されたが、全てA氏が出している。FEAM社を設立した当時、鈴木はすでに株取引の利益を巨額に確保していたが、その金は一切出さずに西に給与や社用車(ベンツと運転手)を要求した。しかし鈴木からの見返りはなく、西がそれに抵抗した様子も見られなかった。すでに利益の分配というエサにつられ鈴木のコントロール下にあったのではないか》

《西は鈴木に400億円以上の利益を合意書通りに分配して欲しいと言うと、鈴木は「株の在庫があるので全て処分しないと400億円の現金ができない」と返事をしたが、西が東京オークションハウスにも利益の10%を約束だったと言うと、鈴木が「社長と3人で結んだ合意書は平成14年末に破棄したと言ったじゃないですか」と反発した。西は「この話は、あなたと私の2人で結んだ合意書に基づいてのことですよ」……などと鈴木と西は呆れるばかりの話をしていた》

《平成17年10月に西と鈴木が東洋町のホテルのラウンジで会ったと西が書き残した。目的は利益の分配であったが、鈴木は分配の授受の方法として「とりあえず日本から海外に持ち出されている銀行振り出しの保証小切手(46億円分)を(香港で)渡し、残りは3か月以内にオフショアに開設する口座への振込(90億円)を必ず実行する」と鈴木は言った。しかし、西は鈴木の代理人により香港で事件に巻き込まれたと言い、鈴木は「この数年、西には会っていない。全て西の作り話です」と言って西を大嘘つきとまで言って罵倒した。合意書に基づいた利益の分配は鈴木の最低の義務であり、それを果たさずに嘘ばかりを繰り返す鈴木が西を大嘘つき呼ばわりするのはお門違いだが、西もまたA氏を裏切ってばかりいたから、A氏にはどちらを信じるか計りかねたかもしれないが、最低でも鈴木が当初の約束を守れば、殆どの問題は解決されたのだから利益を独り占めした鈴木の強欲は許されることではない》

《株取引で鈴木がどれほどの利益を確保したかについて、西が書いたレポートを裁判官はほとんど無視したが、その理由が分からない。西は株取引で手がけた数多くの銘柄で具体的な手口と利益を書いているから、審理では重要な争点になり、西のレポートは紀井氏の作成した確認書を裏付けるものと位置づけられるべきだったが、裁判官はそれをしなかった。故意に合意書を無効にしたとしか考えられず、当然、紀井氏の確認書も西の書面も無視せざるを得なかったとしか言いようがない》

《西はエフアールの株取引について、鈴木が先ずはユーロ債を発行して株式に転換後、「株価を800円から1000円前後まで上昇させるので350円前後で買いを入れてほしい」と頼んできたので、約600万株という大量の買いを入れたという。しかしこれは、西の買いによって株価を上げる鈴木の罠だった。西は株の買いのために約8億円を使ったが、買い付けを行った直後に株価が暴落し、160円前後まで株価が下がったところで全株を売却せざるを得ず、最終損失は約12億円に達した。鈴木はその時約40億円の利益を確保したと言うが、鈴木は利益の分配を一切行わなかったから西と鈴木の落差はあまりに大きく、平成13年に鈴木に確認を求めると、鈴木は「それまでに見たこともない彼(鈴木)の態度と言動により、彼の本心、性格を知ることに」なったという。鈴木がその時、どのような態度を取ったのか、西は詳しくは書いていないが、おおよその想像はできる。合意書の破棄で西にさみだれ的に総額10億円の報酬を渡していたと同様に、鈴木はタイミングを計って西にわずかな金を渡していたに違いない。それを盾にして西に噛みついたのではないか。真っ当に利益を分配せず、それでいて西から要求されたら「ふざけるな」と開き直る鈴木の悪知恵とずる賢さがそのまま窺える》

《鈴木は親和銀行不正融資事件で逮捕起訴され、平成12年に懲役3年、執行猶予4年の判決を受けたが、それまでにエフアールの代表取締役を降り取締役も返上した。はた目には鈴木の経営への関与は一切ないように見えたが、実際はそうではなかった。不正融資事件では大石も一緒に逮捕起訴されたので、エフアールの経営は天野裕が継いでいたが、鈴木と西の株取引でエフアールの名前は何回も登場し、平成12年のユーロ債の発行、平成17年の新株予約権付きの転換社債の発行などが行われている。これは正に鈴木がエフアール(なが多、クロニクルと商号を変更)を絶対的に支配していた証である》

《鈴木と西田晴夫との関係は密接で、一部の報道では宝林株の仕手戦は西田が仕掛けたものだと誤った情報を出したものまであったほどだが、鈴木よりも西田の方が話題となる市場で、鈴木にとっては却って都合が良かったはずだ。宝林株で鈴木は160億円を超える利益を確保したと紀井氏は明らかにしたが、西田がいなければ、複数回にわたって利益を獲得することはできなかったに違いない。しかし、鈴木と西は株取引の最初からA氏に対して利益を誤魔化し、正確な報告もせず、買い支え資金を出させ続けた。仮に鈴木が利益の3等分を実行していれば、鈴木の手元にも十分な利益が確保されていたはずなのに、独り占めにこだわり、西に対しても志村化工株の相場操縦事件で罪を被らせたうえに西の排除にかかった。鈴木ほどの悪党は見たことが無い》(以下次号)

2020.07.21
     

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