〔今後一切の株取引と合意書に明記〕
前述したピンクダイヤモンドと絵画の準消費貸借契約について、鈴木は平成9年10月15日にエフアールを債務者としてA氏が3億円を貸し付けた際の借用書と合致させて「3億円は借りておらず、ピンクダイヤモンドと絵画の代金3億円の借用書を書いた」と主張した。期日を確認すれば明らかな通り、3億円の貸付は平成9年10月15日で、ピンクダイヤモンドの持ち出しよりも7ヶ月も前のことだった。さらに平成10年5月28日付の「念書」まで書いているのだから、支離滅裂としか言えない。(しかも、鈴木は絵画を一度も持参しなかった)
平成18年10月13日、16日、23日の話し合いの場において、鈴木はかろうじて宝林株が「合意書」に基づく株取引であった事実を認め「利益は二人に分配した」と言った。そしてまた、その後の株取引は鈴木個人によるもので「合意書」に基づくものはひとつもなかったと主張した。しかし、「合意書」には「今後本株以外の一切の株取扱についても、本合意書に基づく責任をそれぞれに負う」と明記しており、鈴木の主張は通らない。株の売りを全て任されていた紀井の証言によれば、「宝林株の時より、誰か大きなスポンサーが付いたと思ったが、後日『合意書』を見て理解できた。宝林株以後の銘柄も数多くあったが、それらも全て『合意書』に基づいた株取引だった」ということだったが、当然の事である。ちなみに実行された株取引は宝林株のあとエフアール、アイビーダイワ、住倉工業ほか数多くの銘柄を挙げており、西もまた具体的な経緯を説明していた。「合意書」の解除は三者の協議による同意を必要としたのは言うまでもなかった。(以下次号)
2020.09.08