早川充美の経歴がようやく分かりかけてきた。平成21年にパシフィックコンサルタンツ(PCI)をめぐるODA(政府開発援助)絡みの詐欺、脱税、汚職等の事件が表面化した。内閣府が進めていた中国遺棄化学兵器処理事業では人件費約3億円を水増し請求し、香港の関係会社で1億数千万円を裏金として隠匿、あるいはベトナム政府開発援助事業では現地高官に多額の賄賂を提供したなど複数の事件で同社の幹部たちが東京地検特捜部に逮捕された、という事件だったが、早川は損失を出したことで債権者から身を隠すためにPCI幹部の別宅があった千葉県内に3年間も身を潜めていたという。事情を知る関係者によれば、早川は中国語やフィリピン語に堪能だった面を活かして現地労働者を派遣するところでPCIに関わっていたのではないかとみられるが、一方ではODA事業に絡むようになって自民党の複数の国会議員(元閣僚経験者を含む)との人脈を広げる大きなチャンスと持っていたろうから、PCI事件は大きなダメージを食う状況にもなったとみられる。とはいえ、PCIをめぐるODA事業で早川が重要参考人となった形跡はないから、早川自身が重要な役割を果たしていたとは考えにくい。
早川は、ほとぼりを冷ましたとみられる平成20年代の前半から半ばにかけてアジア人を日本に派遣するコンサルタントをやっていた模様だが、すでにその頃からありもしない巨額資金に取り憑かれて、周囲に振りまいていたという。
「早川は自分自身と持ち歩く巨額資金について『巨額資金はブーメランと同じだ。結果が出るまでに本当の話になれば良いのだからな。だから、俺のことを嘘つきと言う奴がいても、俺は平気だ。途中経過のことだから』と語っていた」と関係者は言う。
しかし、早川自身が想像の中で作り上げた架空のストーリーが、何をどうすれば本物になるというのか。現に早川を知る多くの関係者が「過去に一度も実現したことがない」と口を揃えていることが、早川が“嘘つき”呼ばわりされる一番の理由なのだ。それにもかかわらず、早川は「途中経過のことだから平気だ」と開き直るが、早川の虚言壁で被害を被っている関係者にとってあまりに無責任な発言で、許されることではない。早川を知る関係者の一人が言う。
「巨額資金を扱っているはずの早川は身内を食うことばかりやっていた。もともと早川はグローバルリンクという会社を経営していたが、同社は主にフィリピン人の派遣事業を行っていたというが、早川が助成金詐欺を働いたり、派遣事業の金を勝手に使い込むようになったため、同社の幹部たちが早川と袂を分かって新たにグローバルマンパワーという会社を設立し、同じくフィリピン人を中心とした派遣事業を継続したが、折しも東日本大震災でフィリピン人の大半が帰国したために派遣事業に代わるものとして再生可能エネルギー事業を手がけるようになった」
しかし、ここでも従業員や下請けへの未払いが発生するようになり、改めて早川との関わりができてしまうのだが、その際に早川と密接に関わった男が、巨額資金がそう遠くない将来に入ると信じ込まされ、定住先を持たない早川が定宿にしていた品川のホテル(ガーデンシティ品川)の宿泊代約700万円を立替払いまでしながら早川と行動を共にしたが、案の定、巨額資金など動く気配はなかった。それでも早川は宿泊代を立て替えた男に1円も返済せず平然としていたので、男は『ようやく目が覚めた。早川の虚言癖にはもう騙されない』と言っている」
また、これとほぼ同時期に、別の関係者が設立した会社ビーアンドピーで再生可能エネルギーの設備工事を請け負う事業を継続して行うことになったが、早川は会社の取引銀行の通帳と銀行員を独占して元受けの会社から入金された工事代金の大半を早川は勝手に自分の会社であるグローバルリンクに振り込み、そこからビーアンドピーで必要な資金の支払いに充てる形で残金を横領し、あるいは日常的にATMで引き出しては自身の生活費や遊興費に充てていたという。早川はその会社の取締役に就いていたから、そうした行為は当然背任横領に当たる。
関係者によると、会社を設立した当初からしばらくは孫請けの業者への支払いや役員報酬等に不備はなかったが、ある時早川が社会保険料滞納分の一部700万円について横領した事実が発覚したことから、早川は約半年間も行方をくらませた。しかし、関係者によれば社員や仕事を優先していたために早川の追及どころではなかったという。
他にも「松尾の借金のうち200億円は私が責任を持って処理する(去年の3月末までと言っていた)」と確約したこと等、全て嘘の話で、2回も松尾の身柄を隠した責任は重すぎる。早川は反省もしないで逃げ回るのであれば、徹底的にやるべきだ。そして、捕まった時に早川は一切言い訳は利かないであろう。 (以下次号)