《「合意書」を破棄する報酬として10億円を西に渡したにもかかわらず破棄されていなかった「合意書」をA氏から見せられると、鈴木は「合意書」に基づいた株取引の実績等は無く、A氏は西に騙されているとまで言う始末だった。これにはA氏も開いた口がふさがらなかっただろう。鈴木は嘘を口から空気のように吐く人間だ。こんな奴に同情の余地はない》
《鈴木と西が設立した「ファーイーストアセットマネージメント」社での鈴木のやりたい放題には呆れる。専用運転手付きのベンツ、高額給与、父親と愛人への給与など、何様だと思っているのか。自分が作った会社なら絶対にできないしやらないことばかりで、同社の運転資金の約7億円はA氏が出したというが、鈴木は平気でよくできたと思う。それを許した西もおかしすぎるが、何故鈴木の傍若無人を止められなかったのか》
《A氏が宝林株収得から始まり株取引の買い支え資金を出したからこそ、鈴木も多額の利益を確保する事が出来たのではないか。誰が見てもA氏のおかげではないか。逆にA氏の協力が無ければ鈴木は自殺の憂き目にあっていたはずだ。考え違いもいい加減にしろ》
《鈴木と西の悪だくみはA氏との出会いから始まっているが、何から何まで計画的だ。特に鈴木の悪知恵は半端ではない。宝林株では西を表に立たせて、自分は取得株の受け皿となるペーパーカンパニーの準備をして、A氏から借りた3億円の購入資金は杉原弁護士に指示をして大量保有報告書に「紀井義弘からの借り入れ」と書いて金融庁に申告し、A氏の名前を隠した。利益が出た場合に自分が独り占めするための準備だ。鈴木は根っからの詐欺師だ》
《西は香港で鈴木の代理人と称するTamに殺されかけた。この時一緒に渡航した息子の内河陽一郎は入院中の父親の姿を見て何を思ったのか。あらかた事情は西から聞かされたはずだ。話を聞いて鈴木に対する怒りや敵対心よりも恐怖心が上回ったという。その後に西が自殺した後のA氏や関係者に対しては自分勝手な理由を言い訳にして協力姿勢が全く見られなかった。色々御世話になったことを理解しているのか。何とも情けない男である》(関係者より)
《鈴木は宝林株で得た金を独り占めして勝手に霜見誠に運用させていたという。その舞台はFR社であり、商号を変更したクロニクルでも霜見の名前が出た。鈴木自身は裏に隠れてインサイダー取引をしていたのだろう。天野氏の立場を利用していたことは社内では周知のことだったようで、この時の利益も全て独り占めしたが、天野氏や霜見は経緯を詳しく知っていたはずで、それが天野氏と霜見がそれぞれに巻き込まれた後日の事件につながっているのではないか》
《鈴木の側近であったクロニクル(旧エフアール)の天野氏が都心の京王プラザホテルで首を吊った状態で遺体が発見された。会社の公式発表は「自宅での急性心不全で死亡」と発表。その後天野氏による「個人的な流用」として使途不明金が続々発覚しているという。自殺自体に謎が多く他殺説の噂も多く流れており、また天野氏を裏で操っていたのは鈴木で、二人の間には不協和音も生じていたという。そういったことから一読者としてはこれまでの経緯から考えられるのは、全ては天野氏に使途不明金の罪を被せた鈴木の関与が濃厚とみる関係者が多い》
《西は志村化工事件の件で鈴木を庇うことを条件に鈴木に多額の報酬を要求していたと思われる。株の配当金とはいえ、西が受け取っていた30億円と香港で受け取る予定だった40数億円もその時の約束だったのだろう。西は志村化工の事件で執行猶予のついた有罪判決が確定した後の鈴木の豹変に疑心を抱き、強く催促するようになった。それで香港の事件が起きたのだろう。鈴木は西が疎ましくなり、排除することを考えた。我欲のためには何でもする大悪党鈴木の本領発揮だ》
《平成18年10月初旬、西は鈴木との打ち合わせ通り株取引の利益金の受け渡しのため香港に飛んだ。西にとってはやっとの思いで鈴木への要求が叶う祝杯を挙げたい気持ちで香港の地を踏んだ事だろう。飛行機の中では多額の金を手にしたこれからの人生を思い描いていたのではないか。それが現地での取引相手のTamから勧められたワインを飲んだばっかりに意識を失い、目が覚めても一体何が起こったのか信じられなかったはずだ。警察の捜査に鈴木の名前は一切出さなかったらしいが、当然西は確信していたはずだ。この時命拾いした西は自殺ではなく何故A氏に全てを相談しなかったのか。遺書を書く前に》(以下次号)