闇社会の巣窟と化した群馬県に今後は厳しい捜査の手が伸びる(2)

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今回は上坂駿介という人間について触れる。会社役員が自宅マンション前で3人の暴漢に襲撃されたのは約2年半ほど前の平成30年12月11日のことだったが、当初から倉持茂が襲撃事件を教唆した張本人であると見られていたが、ここにきて「実は事件の主犯は倉持と上坂の2人による共謀ではないか、という疑いが濃厚になっている」との捜査関係者からの話が浮上しているのだ。きっかけはある記者クラブに寄せられた情報で、上坂が襲撃事件の概要や倉持を取り巻く反社会的勢力の人脈相関について語っている反訳が送られ、その中で上坂が襲撃事件に触れて「(会社役員を)スタンガンで襲い、抵抗できなくさせた後に車に乗せて、あらかじめ人気のない場所に掘った穴に運んで埋める計画だった、と倉持が話している」と言っていたという衝撃的な内容になっている。群馬県警には上坂の声を録取した音源が送られているとの情報さえあるのだ。

上坂はもともと倉持が会社役員に紹介した関係にあったが、日常的な付き合いがある訳ではなかった。ただし、不可解なことに襲撃事件が起きたことを誰も知らなかった時点で、倉持が自ら知人や上坂に電話をして会社役員が事件に巻き込まれた事実を語っていたという経緯や事件の前日も夜遅くまで倉持と上坂は一緒だったことから、その後、会社役員が上坂と会う機会があり、「襲撃事件は貴方が主犯だという話が私の所に入っているが、本当の所はどうか?」と直接尋ねたが、上坂が「絶対にそんなことはありません」と言下に否定したので、会社役員は「分かった」と言って上坂の言葉を受けた。上坂は「倉持の居場所さえ自分には分かりません」ともわざわざ答えたようだが、それらの発言が全くの嘘であることが、もたらされた情報によって裏付けられつつあるという。

襲撃事件はすでに本誌でも報じているように実行犯の石橋某が8年6月ほかもう一人も約7年の実刑が確定し収監されたが、それで事件が終結した訳ではないどころか、今後はいよいよ事件を仕掛けた“本ボシ”である教唆犯への捜査に移行すると見られている。それだけに上坂の自供とも言える内容を含んだ、特に群馬県内での主要な反社会的組織の人脈相関が具体的に語られているという反訳や音源の存在が大きくクローズアップしているのである。

上坂がそのような告白をした経緯は、倉持の居場所が分かれば知らせると会社役員に話していたことがきっかけになったようだ。しかし、上坂はすでに倉持とは出所した直後より倉持の所在など調べることもなく知っていた。倉持の知人に接触した時にも「儲け話」を持ちかけたといい、それもナマコの密漁やらニコイチ車の販売(盗難車や事故車の追跡を絶つため、他の車から取り外した車体番号に打ち換えてプレートをつなぎ合わせたりして偽装ナンバープレートを取り付けて密売)などの話が持ちかけられたが、もちろん上坂の話のどれもが違法性を問われるものばかりだった。倉持の知人も「コイツ(上坂)の仲間は何がしたいのか、よく分からないが、事件になることばかりを考えている奴らだ」と思ったほどだった。実際にも倉持が過去にやっていることだった。

そうした中で、上坂が会社役員が所有する超高額な車を車庫とマンションの駐車場より盗む話を持ちかけた話が広がり、群馬県では特に警備会社による警備が強化されるようだ。何故車の盗難を持ちかけたか、上坂はその理由として「俺が倉持に預けた金を社長が全部持って行った、と倉持が言っていた」という。上坂が言う「倉持に預けた金」とは、10日で1割の金利を取る金融の「タネ銭」であったが、会社役員がその金を倉持から取り上げたというのは倉持の虚偽発言に乗せられた上坂の言いがかりも同然のものだった。会社役員が倉持に頼まれ貸し付けた債権はあまりに多額で、自己資金が無い時には会社役員が知人に声掛けして借りてあげた分もあるだけでなく倉持への貸付に対する金利は年15%だった。その支払いに行き詰まった挙句の襲撃事件教唆だったことを考えれば、上坂の発言は明らかに逆恨みであったし、倉持から頼まれて唯一断ったのは、襲撃事件が起きる3カ月前の9月頃に「450万円を貸して欲しい」と言ってきたときに倉持の知人が倉持の言っている話を調査した結果、それが嘘だということが分かり、初めて断ったくらいであった。当然、会社役員が倉持に貸している金の返済を倉持は一切しておらず、ガレージゼロと共同でやっていた投資(2000万円)の配当金だけはその年の10月までは入金になっていたようだが、「20年以上も全ての頼み事を聞いてもらいながら、揚げ句に襲撃事件を起こすなんてとんだ見当違いだ」と多くの関係者は言う。

倉持が会社役員に負っている債務を棚上げにしようとした際に「大物がついたので、もう払う必要はないと周囲の関係者に言っていた」が、その人間が清水学であったようだ。上坂は知人に「清水が俺のためにBENZ―SLを用意してくれて、支払は倉持と新井康弘(ガレージゼロの代表者)に払わせると言ってくれた」という話をして清水の名前を頻繁に出すようになったというが、本誌取材班も多くの関係者からさまざまな情報を得ているが、ようやく上坂の本性が現れたと言っても過言ではない。

上坂の言い方がドンドン倉持の肩を持つような口調になり、「倉持は清水から金を出してもらい、前橋の総社か元総社で車屋をしている」等という話のほか、知人と会社役員に対して倉持の姉から強迫の容疑で被害届が出ているという話も出るに及んだというが、倉持の姉の情報は以前より本誌取材班も調べているが、話は全く逆で、倉持に対する貸付で会社役員が返済を迫ったことは過去には一度もなかったし、また倉持の父親が亡くなった際には相当の香典を添えて礼を尽くしていたことは倉持の母親も姉も良く承知していることだ。それ故に倉持がこのままでは殺人教唆の容疑者になる可能性が高いので本当のことを話して会社役員に謝罪すれば許してもらえる可能性が少しは残されているという話をするために関係者が2人それぞれに訪ねたが、倉持の姉夫婦の全く非常識な対応に驚き、姉も倉持と同様だと呆れていたようだ。
ちなみに、会社役員を襲撃した実行犯は警察庁が広域指定暴力団に指定した組織(M会)に所属していたというが、実は会社役員は過去に赤坂のクラブでM会の会長と韓国人の不良グループ17~18人がケンカになり、その店で飲んでいた客たち全員が巻き込まれ死人まで出るのではないかと危惧された大騒動に遭遇したことがあった。ステージで大声で歌っていた不良グループのボスとみられる韓国人と会長のテーブルの間は3~4mしかなかったが、会社役員が会長と不良グループのケンカを止めるためにその間に補助イスを入れて座ると、会長と同席していたS会の赤坂の親分(M氏)とボディガードがビール瓶を持って韓国人に殴りかかろうとしたため、2人の手を押さえると同時に店のスタッフ3人ほどに韓国人のボスを店から外に出すよう指示した。スタッフ3人が韓国人のボスを担ぎ出すように連れ出していった。すると、直後に韓国人不良グループの16~17人も急いで外に出て行ったことで事態は収まった。会社役員が大事件になるのを避けるために、中に入って大ケガを承知で収めたのだった。すると、その直後にM会会長が、会社役員の勇気ある行動に目を見張ってのことか、会社役員に対して最大級の礼を述べたという。M会会長がM氏に「こちらさんはどちらさんだ?」と尋ねると「新宿の社長で、以前より赤坂でよく会う顔見知りです」と言うと、「うちの若い者が懲役に行かなくて済みました。本当に有り難うございました」と非常に丁寧に礼を述べ、会社役員も「余計なことをして失礼しました」と言い、その場を終えて会社役員は帰ったが、M会会長が「カタギの人間であんな男は初めて見た」と店のママや店長に言ったことが今でも語り草になっている。会社役員はM会会長とは一面識もなかったが、それ以降、赤坂のクラブでM会会長と会えば、常に会長の方から会社役員を席に呼んで酒を振舞おうとしたが、そのたびに会社役員も恐縮して丁寧に挨拶をしていたという。そうした縁があることを倉持や上坂から依頼(指示)を受けた実行犯たちは、自分の所属している組織のトップである会長がお礼を述べた人とは知らず襲ったのだが、この事件は今でも赤坂では逸話になっている。M会会長の取り巻きの幹部の多くは知っているようだ。

今や上坂は、どのような事情があろうと自身が語った“自供”によって、自らの首を絞めつけられようとしている。そしてそれを突破口にして倉持を取り巻く反社会的勢力の全容が解明される重要なポイントになりつつあることを、上坂自身がどこまで自覚しているか、いずれ群馬県内の反社会的勢力の主要な一角が一網打尽になる日も近いとみられるのだ。今後も継続して取材を進めるが、さらに悪質な事例が発覚すれば、その際には当事者たちの実名だけでなく写真も併せて掲載する予定である。(つづく)

2021.04.10
     

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