故種子田益夫から実害を被って来た債権被害者の会。同会が昨年12月19日付で田村憲久厚労大臣を始め同省医政局の迫井正深局長、中川俊男日本医師会長、そして大井川和彦茨城県知事宛に書面を送ったことは、すでに本誌で報じた。種子田一族の支配下にある常仁会病院グループ(常仁会、晴緑会、明愛会、白美会)に対する指導強化を求めると同時に、長年にわたって病院グループを統治して私物化してきた種子田吉郎氏以下佐居益代氏、種子田安郎氏の弟妹が揃って益夫氏の負うべき責任を逃れ続けた揚げ句に相続放棄まで断行したことは社会通念上からも許されるものではない点を強く指摘するものだった。
本誌では当の吉郎氏や益代氏、安郎氏のほか吉郎氏の長男佑人氏に対して取材を継続しているが、当事者たちは一向に対応しようとせず、一切沈黙している姿勢には明らかに問題がある。そこで、改めて厚労省と医師会、茨城県知事より強力な指導強化を求めるために、直近で送った取材依頼の文面を公開することにした。本誌の読者からも種子田一族への批判や非難が数多く寄せられている中で、厚労省も医師会、そして茨城県も病院グループの健全化に真剣に取り組むべきではないか。なお、当事者各位への文面は大枠で重複が多いためここでは厚労省宛の文面を取り上げる。
取材依頼の要旨
昨年12月19日付で債権被害者の会より、大臣並びに医政局長に対し、常仁会グループ(種子田吉郎理事長)に対する経営実態に基づいた監督指導の強化を陳情する書面が送られましたが、貴省における対応を教えて戴きたく、つきましては以下の項目にお答え戴きますようお願い致します。
1.債権被害者の会の陳情を中川会長はどのように受け止め、対処されているか、また今後、どのように対処されようとしているか、具体的にお教えください。特に、日本医師会は、種子田益夫氏がオーナーとして全国各地の病院を買収し常仁会グループを大きく形成する中で貴会の重責を担っておられた桧田仁氏が傘下の病院施設に多くの医師を派遣し就業させる協力を継続的にされておりました。その関係は極めて重大であると考えます。
2.常仁会病院グループの理事長である種子田吉郎氏は医師の資格もなく、また医療業界での経験もないまま病院グループを統括する理事長のポストに就き、現在に至るまで傘下の病院施設を事実上私物化してきた実態が判明していますが、特に吉郎氏のこれまでの対応は秘密裏に病院グループの収益から毎月6000万円という多額の機密費(裏金)を調達して父益夫氏に提供するという背任に問われ得る行為を繰り返し、さらにコンプライアンスにも抵触する言動が多々あるなど、真っ当に病院グループを統括する資格は皆無と言っても過言ではないという指摘が多方面から寄せられています。いうまでもなく、吉郎氏による経営姿勢は医療法が目的とする医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り、もって国民の健康の保持に寄与することが達成し得ないばかりか、告発を前提とした刑事事件に発展する可能性が高く、治療の最前線にある病院が混乱することは必至です。田村憲久大臣並びに迫井正深医政局長は、その点をどのように受け止めておられますか。
3.常仁会病院グループのオーナーであった故種子田益夫氏が債権者に負っている多額の債務について、種子田氏が病院を担保に供し、仮に債務の返済が難しい場合には病院を売却して返済原資にするとの約束を反故にしている事実を踏まえ、吉郎氏はそれを全て承知していながら、種子田氏が負う債務について一切知らぬ振りを決め込んで来ましたが、それはまさに反社会的な行為であり、コンプライアンスにも重大に抵触するものと考えます。種子田氏は平成8年以降で表面化した金融機関からの不正融資事件で罪を問われましたが、実際の債務については返済しておらず、金融機関の破綻処理の国の税金が投入されたにもかかわらず、吉郎氏以下益代氏、安郎氏の弟妹が種子田氏の死亡直後に揃って相続放棄をした行為は、決して許されるものではないと考えます。田村憲久大臣並びに迫井正深医政局長は、その点をどのようにお考えでしょうか。(つづく)