疑念噴出『情熱社長』ー後藤悟志氏の脱税や常習とばくを知らなかったでは済まない(2)

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太平エンジニアリング社長の後藤悟志氏がインターネットの「情熱社長」と題するトップインタビューサイト(「Cheer」代表者平塚ひかる氏)に登場していることは前回の号で触れたが、今まで自社のHP(ホームペイジ)でさえ自身の写真を載せていなかった後藤氏が笑顔を見せながら写真に納まっているのを見ると、非常に違和感を持たせた。その違和感とは、本誌がこれまで報じて来た後藤氏を巡る常習賭博疑惑や沖縄の土地取引での反社会的勢力への利益供与及び脱税疑惑について、後藤氏は沈黙し続け、本誌に抗議も反論も一切していないにもかかわらず、今もなおパブリシティ記事の掲載を許している、という点にあった。後藤氏が尋常の神経の持ち主であれば、本誌が掲載した情報は決して無視できるものではなく、当然、事実無根を主張する抗議や反論をすることで、最低でも記事の差し止めを要求したはずである。しかし、それをしないというのは、後藤氏が自身に持たれている疑惑を全面的に認めていると考えざるを得ない。

写真:後藤悟志・太平エンジニアリング社長

仮に捜査当局が事件として着手さえしなければ、一切無視しようと考えているのならば、それこそ太平エンジニアリングという会社のトップにもあるまじき傲岸な発想と言わざるを得ない。そしてまた、パブリシティ記事を掲載し続ける「情熱社長」というサイトもまた、一旦は記事掲載を留保する決断をするのが当然であろうに、これも非常識な対応と考えざるを得ない。

「情熱社長」でのインタビューがいつ行われ、また記事がいつ掲載されたのかは運営会社が全く公表していないので不明だが、仮にインタビュー当時では事実が表面化していなかったために見逃してしまったとしても、少なくとも本誌が事実を指摘して以後は、インタビュー記事の掲載の諾否を検討することは、媒体の姿勢として、またコンプライアンス上からも非常に重要と思われる。しかし「情熱社長」のサイトを見る限り、今のところ、そうした気配は一つも見られない。

改めて言うまでもなく、後藤氏は、それこそ高校生の時から麻雀にのめり込み、大学に進学してからは授業にも出ずに雀荘に入り浸り、いつの間にかプロ級の腕前になるほど技量や感覚に磨きをかけた。しかも、特に学費や生活費に困っていた訳でもないのに、麻雀を娯楽ではなく賭博の場にして、雀卓を囲む相手から掛け金を巻き上げていたのは、まさに後藤氏にとっては優越感をもつ数少ない機会の一つが麻雀であったことを窺わせる。空調工事を手がける業界でも大手の会社のトップにありながら、友人知人と旅行やゴルフに出かけても、費用は全て割り勘にするというドケチぶりは、後藤氏の異常な金銭感覚から生じているが、それこそ後藤氏の人格まで疑われる話だ。しかも、その異常さは、例えば私腹を肥やすために架空請求を頻繁に行って経営する会社に損害を与える背任行為を厭わず、会社で働く社員に対する待遇の酷さや下請会社いじめと言われる支払面での劣悪な条件にも強く現れているのだから、評価されるべき人間であるか、大いに疑問とされるところだ。
そして、沖縄の土地取引では、売買利益が大きく見込まれると知るや強引な地上げを行い、転売益を手にしたまでは良かったのかも知れないが、地元の反社会的勢力から受けた攻撃に抗しきれず、密かに裏金を提供することで事態を収拾させるという違法行為を犯してしまった。もとより反社の攻撃が騒ぎになれば、転売で得た利益をまともに申告していなかった後藤氏にしてみると、国税当局から徹底的に追及され、告発を受ける危険を恐れたに違いない。
本誌が報じて来た後藤氏を巡る疑惑とは、それほど重大で深刻であるにもかかわらず、前述したとおり、後藤氏はこれまで抗議も反論も一切してこなかったのである。しかし、問題なのは「情熱社長」のサイトも後藤氏に同調しての事か、インタビュー記事を掲載し続けている点である。

(写真:平塚ひかる・「情熱社長」サイト運営会社CHEER代表者)

パブリシティ(有料記事広告)というビジネスで、業界各社のトップを紹介するのであれば、それこそ運営会社として一定の掲載基準を設けるのはコンプライアンス上からも当然であり、「情熱社長」のサイトではそれを開示しておらず、第三者には基準が不明だが、少なくとも後藤氏が問われているのは、まさに刑事事件に関連するものだから、基準どころの話ではないはずである。

前回の記事でも触れたが、「情熱社長」のサイトが謳っている「掲載されている社長とは」には、「ヒトを大切にしている」「ブレない理念を持っている」「若者を育てたいという想いを持っている」等の指針が載っているが、後藤氏の場合は、そのいずれも適さない、どころか、異常な金銭感覚により全く逆の感覚や発想で会社を経営している事実が判明しているのだ。年商500億円前後を誇る一流企業のオーナー社長が反社を利用した脱税や常習賭博に溺れるとは絶対に許されるものではないはずだ。インタビューの前に裏付け取材も行わず、後藤氏から聞いた話をそのまま(あるいは体裁を整えて)記事として掲載するのは、インタビューの対象者の実体がおよそかけ離れていても構わないという姿勢であり、読者や視聴者を欺く行為に他ならず、営利であるとしても目に余る行為と言わざるを得ない。(つづく)

2022.04.04
     

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