《鈴木は、悪事を働く計画や、そのために相手の心理を読む洞察力に長けていて、自分の悪事が発覚した時の事も考え、身代わりも常に用意しつつ司直の手から身を躱す術も心得ていた。しかし「策士策に溺れる」で、この裁判では嘘をつきすぎて辻褄が合わなくなり、失態を繰り返したが、A氏の代理人、中本弁護士にはそこを攻める能力が不足していたのか、鈴木を追い詰めることが出来なかったとみられる》
《裁判においては、当事者の一人であった西が自殺したことにより、鈴木側弁護士の長谷川幸雄が、西の死を利用した虚偽の陳述書を捏造し、A氏側に断然有利だったはずの裁判の雲行きが怪しくなった。原告側弁護士の中本光彦が真剣に反論し、長谷川の虚偽構築を追及していたら、品田裁判長の裁定もここまで理不尽になることはなかったのではないか》
《民事裁判では、人間の利害損得が絡む争いが多いために、当事者同士の主張に大きな隔たりが生じ、少なからず嘘も混じってくる。裁判官はこれを見抜かなければならない。この裁判では、A氏には貸金返還請求もあるが「株取扱に関する合意書と和解書」の問題が大きな焦点だった。株式投資には資金が必要で、その元手となる資金は誰が出したのか? その元手の資金で幾らの儲けが出たのか? その利益は約束通り配分されたのか? 元手はA氏に返還されたのか? 等という事を検証すれば、結論は簡単に解明されるはずだった。元手の資金はA氏が全て出した。利益の総額は約470億円だが、今や1000億円以上を優に超えるとみられる。利益の分配については、鈴木が独り占めにして隠匿している。元手の資金もA氏には返還されていない。要するに、鈴木はA氏に元手の資金を返還し、利益を分配すれば問題はなかったが、和解書でも認めた通り不正をしたので、鈴木と西には利益配当は無い。このやり取りの中で「利益配当の約束はしなかった」という鈴木の言い分は合意書がある限り通用しない。しかし、裁判で鈴木は一切を否定した。判決は鈴木の主張を認めた。こんな事があって良いはずがない。誰にも到底理解できず、納得も行かない事だ》
《鈴木は株取引を利用した巨額詐欺を、西と共謀して恩人であるA氏に仕掛けた極悪人だ。自ら熱弁を奮ってA氏の了解を取り付け、株取引においての取り決めを「合意書」として作成しA氏を信用させた。本来であれば、この「合意書」が、鈴木の詐欺を立証する決定的な証拠となっていたはずだ。それを裁判で認めなかった品田裁判長は、間違いなく裏で鈴木側と繋がっていたと思う》
《鈴木のあくどさは西の数倍、いや十数倍だった。自分の窮地を訴え、資金さえ調達できれば儲けられるという話を西に吹き込んだのだろう。西は、それまでにA氏に散々迷惑をかけていて、それを挽回するために起死回生を狙っていたが、策がなく行き詰っていた時期だったようだ。それで、西は鈴木を利用してA氏から資金を引き出す企みを考えついた。そして鈴木をA氏に紹介し、援助を依頼した。しかしこれは鈴木の思惑通りでもあった。西は体よく鈴木の罠に嵌って、A氏を巻き込んでしまったのだ》(関係者より)
《株取引での買い支え資金の提供でA氏に支援を求める際、A氏が「合意書」の作成を顧問弁護士に任せようとすると、西と鈴木は3人だけの秘密保持を理由に介入させなかった。弁護士が入って完璧な「合意書」が作成されるとまずいと考えたのだろう。鈴木の中では既に「合意書」を破棄することも計画に入っていたのではないか》
《西に舞い込んできた宝林株売却の情報を元に、鈴木は自身の株取引の知識を活用して利益を独り占めにしようとして、買い取った宝林株を自分の手元に置き売りの手続きを管理する計画を立てた。しかし、実際には思うように宝林株の高値誘導ができず、A氏から買い支え資金を継続的に出させる、という株投資詐欺を計画したのだろう。宝林株の取得資金3億円をA氏から支援してもらい、宝林株購入の受け皿会社となるタックスヘイヴンに拠点を置くペーパーカンパニー3社を購入して事前準備を用意周到に整えた。A氏と「合意書」を交わす以前から、これだけ周到に準備しているという事は、この頃から既に独り占めした資金を海外に隠匿する事を考えていたに違いない》
《鈴木は、西の真相吐露から裏切り行為の一部がバレ、その事でA氏に追及されたが、全てを認めようとしなかった。鈴木は往生際が悪く、金に対する執着心は並大抵ではない。切羽詰まって自分から50億円と、A氏には別に2年以内に20億円を払うと約束して「和解書」を交わしたのに、その約束を守るどころか裁判では強迫や心裡留保を理由に「和解書」の無効を訴える始末だ。ここまでやる鈴木を、もう人間扱いする必要はないだろう》(以下次号)