《鈴木は悪だくみをどこまで計画して先を見据えていたのだろうか。行き当たりばったりの対応ではない事は、あらゆる状況からはっきりしているが、自分を助けてくれた恩人に対して、ここまでの計画性と悪質性を兼ね備えた行為はあまりにも非道すぎる。少しでも申し訳ないとか後悔するといった、人間ならではの心情が浮かばなかったのだろうか。海外のタックスヘイヴンに着目してペーパーカンパニーの名義で株取引をするといった、普通の人には思いも寄らない手法を取ったのは、以前にもFR社で常習的にやって経験を積んでいたのか、誰かの手口を真似したのだと思うが、当然、真っ当なやり方ではないし、発覚すればすぐに刑事事件になる。強欲が深すぎて悪行を承知の上での行動だったに違いないが、このような人間こそ徹底的に裁かれなければならない》
《品田裁判長は、合意書を無効にする大きな理由に合意書の作成から和解書作成までの7年間の空白を挙げているが、これは鈴木がA氏との連絡を故意に避け続けた結果だ。A氏が西に鈴木の様子を聞いても「海外に行っています」とか、「都心のマンションの1DKで一人頑張っています」と言って誤魔化し、西は鈴木に依頼されてA氏と接触することを避けさせていた。A氏はある時、自分の会社の訪問者から兜町の情報として「鈴木が活発に株売買をしていて100億円ぐらいの儲けを上げている」と聞いた時、西に確認した事があったようだが、西は「ただの兜町の噂です。信用しないで下さい」と言っていたという。鈴木はこの時期A氏以外の人間ともほとんど会う事もなく自分の存在を消しながら隠匿している宝林株の利益を運用し、オフショア地域のペーパーカンパニー名義で多数の銘柄を扱い株取引を繰り返していた。A氏は本業の多忙さもあり、西の報告だけを頼りにしていたと思う。合意書には年間の協議回数の定めも、株取扱期間についても特に定めがなかった。期限の定めがないという事は、解除するまでは「無限」という解釈ができる。この頃のA氏は西の鈴木へのフォローもあって大きな不審感も持たなかったのだろう。品田裁判長の根拠とする7年間の空白に何かの根拠があったのだろうか。あるのなら明白に述べるべきだ》
《鈴木は宝林株以外で数多くの銘柄を手掛け、総額470億円を超える利益を上げ、ほぼ全額を国外に流出させ隠匿している。巨額の利益を上げることができたのは全てA氏から株の買い支え資金を出してもらい、西が鈴木から指示された銘柄に投入したからである。買い支え資金の調達では鈴木は西に同行せずA氏の元に行かせて、表面的には西が一人で借りた格好にすることが鈴木の狙いでもあったと思う。鈴木の悪巧みに気付いた時には西の買い支え資金の借金は207億円に達していた。しかし、合意書には「今後の全ての株取引」という文言が明記されているから、鈴木の責任は消えることは無く、それ故に鈴木は西を裏切らせ、10億円もの報酬を出して合意書の破棄に躍起になった》
《西は平成17年5月10日に都内のホテルで鈴木と会い、志村化工株事件で鈴木を庇った時に作成した合意書(密約)を履行するように催促した。鈴木はすぐには無理だと言って先送りを画策したが、西の執行猶予期間が終わる翌平成18年8月をめどに43億円の支払いをすることを約束しつつ、香港で銀行の保証小切手での支払いを提案し、西も了解した。西は鈴木が本当に約束を守って実行すると信じたのか。香港で事件に巻き込まれることを案じて息子の内河陽一郎を同行させたようだが、陽一郎は何の助けにもならなかった》
《鈴木は和解協議の場でA氏の会社に監禁されて強迫を受け、和解書に無理矢理署名捺印させられたと主張しているが、それなら何故警察に被害届を出さなかったのか。強迫というなら被害届を出すのは当然だったはずだ。品田裁判長も警察への被害届の受理の記録を基に強迫の事実を認定するならまだしも、鈴木の証言だけで強迫があったと判断するのはあまりに乱暴で強引過ぎるのではないか。それに和解書作成後に何回も追認しているし、自分(鈴木)の買い支え損は西から70億円と聞いているが、正確にはいくらですかとA氏に電話で尋ねている。それに和解から1週間後には一人でA氏の会社を訪ねて今後の支払について打ち合わせをしている。強迫や監禁されたという人間にとって、常識では考えられない事ばかりだ》
《鈴木の周辺で起こった西の自殺、天野氏の不審死、大石氏の交通事故、証券担保金融の吉川某の長年にわたる消息不明、ファンドマネージャー霜見誠夫妻の殺人事件など、どれも真相は解明されていない。その他過去には数々の事件が鈴木の周辺に起った。その中には鈴木が警察に呼ばれて事情聴取された事件もあったようだ。これらの事件は一応警察の処理は終わっているようだが、不思議な事にこれらの事件の周辺には常に鈴木の存在があり、鈴木が関わっていたのではないかという指摘が流れる。鈴木の生き方が透けて見える事件ばかりだ。品田裁判長はそういう背景がこの裁判の被告にはあったという事にさえ無関心を装った》
《鈴木の裁判結果を見る限り、品田裁判長と被告側の癒着しか考えられないような判決内容だ。品田裁判長が下した判決には根拠がなく、法解釈に照らしても無理矢理に鈴木を肯定するための詭弁でしかない。高額な報酬に釣られたのか、それとも裁判所上層部の早期終結という指示を身勝手に忖度したのか、どちらにしても品田裁判長は、道理が全く通らない判決で鈴木の犯罪疑惑を強引に見逃してしまった》
《西は「遺書」の他に「鈴木義彦氏がユーロ債(CB)で得た利益について」と題するレポートを残している。これは宝林以外の鈴木と西による株取引の詳細を記録したものである。全ての取引に於いて鈴木が主導し、西が株価を高値で買い支える中、取得した株を紀井氏が売り抜ける手口だ。このレポートこそ三者間で交わした「合意書」に基づく株取引の実態を裏付ける重要な証拠の一つであるのに、品田裁判長が一切審議の対象にしなかったのは、「合意書」の有効性を否定する事が出来なくなるからではなかったか》(関係者より)(以下次号)