マイケル・パクに対する刑事告訴がいよいよ現実味を帯びることになった。
総額で6億9000万円の被害を被った投資家が代表する形で警察に告訴状を提出するというが、実際にはマイケル・パクに騙された投資家は複数に及ぶことから、さらに予断を許さない状況にある。
被害金額の内訳を見ると、平成21年5月ころ、マイケル・パクは投資家に対し、「必ずもうかる株である」「万が一のことがあっても一定期間経過後に10倍で買い取る」などと言って、当該株式が確実に値上がりするものであり、一定期間を過ぎればマイケル・パクが当該株式を10倍の値段で買い取ってくれると誤信させて、同月21日に投資家にT社の株式を購入するための資金9000万円を交付させた。しかし、マイケル・パクには返金する気も買取り保証など利益供与する意思も全くなかったのだ。
次いで、同年8月ころ、同様に「必ずもうかる株である」「万が一のことがあっても一定期間経過後に10倍で買い取る」などと言って、T社の株式を購入するためと称して投資家から同月10日に1億3000万円を騙し取った。
さらに平成22年2月ころには、N社とL社が作る合弁会社であるE社を上場させる予定があり、この上場が果たせればN社の株式も高騰することになるのでその資金を貸してと持ち掛けた。投資家はE社が上場予定であり、上場後には相当額の利益を得られるものと誤信してしまい、必要な資金として金1億円を出したほか、N社株購入のために1億4000万円と、T社株購入のために1億3000万円を出すことにした。
そして、同年8月ころに「T社が第三者との企業結合、企業買収を進めている。これが成約すればT社の株式が高騰する」と言うマイケル・パクの言葉を信じた投資家は必要な資金として金1億円を出した。
マイケル・パクは、こうした実体不明の投資案件を持ち掛け、融資をさせるといったことを繰り返し行っているが、少なくとも日本国内において金融商品取引業者等の資格を有してはおらず、すでに触れたように投資家以外にも多くの投資家が、いずれも返金はおろか連絡すらつかない状態になっている。
マイケル・パクは投資を勧誘してから15年近く経った今も配当はおろか10倍の買取り保証も実行していないだけに、投資家が多額の資金を騙し取られたと考えるのは当然だった。
「私と付き合えば、大金持ちになる」というのが口癖だったマイケル・パクが真の詐欺常習犯である事実が全世界に知れ渡れば、それこそマイケル・パク はもちろん、息子たちも多大な影響を受け、特にマイケル・パクの長男はハーバード大学卒という学歴に傷がつくのは間違いない。何よりもマイケル・パクが行った同大学への寄付金そのものが多くの人間から詐欺により騙し取ったものであり、刑事責任を問われることを同大学が知るところとなれば、放置するはずもないからだ。
1636年に設立されたハーバード大学は、アメリカ最古の大学で最も富裕な大学の一つとされる。2014年6月時点での大学基金は364億ドルにも上り、2018年ではキャンペーンも手伝って410億ドルに上っている。過去の実績を見ても、同大学が受け取った寄付で某財団からの3000万ドルや別の財団からの2185万ドル等の巨額の寄付が目立つという。マイケル・パクが同大学へ行った多額の寄付金が犯罪収益であることを隠そうとしても、それは絶対に不可能だ。日本で事件化すれば、アメリカの捜査当局との連携が必然で、同国内でも余罪が掘り起こされ国際指名手配もありうるのは必至となるからだ。マイケル・パクの犯罪の全容が炙り出されるに違いない。
マイケル・パクは、投資家にT社の株式が今後値上がりすると言ったが、確たる根拠を述べたことは一度もなく、また10倍での買取り保証をどのように実現するのかについても特段の説明をすることも一切なかった。
投資家が平成22年2月の時点で改めてマイケル・パクと協議をした際に、買取り保証の金額を10倍から3倍に変更したことからみても、マイケル・パクが当初から10倍での買取りをする意思などなかったのは歴然としている。
平成22年2月と8月にマイケル・パクは、企業買収を行うための事業資金の不足を理由に追加投資を依頼するようになったが、それはマイケル・パクが保有するN社と台湾のL社が事業提携をして合弁会社E社を設立する、というもので、マイケル・パクの説明によれば、E社はマイケル・パクが持つシミュレーション技術と実際の工場の量産技術を掛け合わせた新しい価値を生み出す企業として話題性は十分にあるという。それとともにE社の設立に伴い、L社との資本力の差を埋めるためと言って資金の依頼をし、また同時に投資家に対してN社とT社の株式の購入を勧め、合わせて2億7000万円を出させたが、E社の上場は進むことはなく、株価の上昇もなかった。さらに同年8月の時には第三者との企業合併、企業買収のためと言いながらその第三者が何者であるか、事業計画のスケジュール等、具体的な話をすることも一切なかった。マイケル・パクが語ったのは「T社の企業価値が高まる企業買収であり、この投資によって確実に株が値上がりする」等ということだけだったのだ。投資家が1億円を出してから間もなくして、マイケル・パクから投資家に対し「設立発表時には盛大なパーティも催され多くのプレスも集まっていた」というメールのメッセージが届いた。併せてマイケル・パクは「T社がE社の買収案件に関わっており、これが成約すればT社の株式が高騰する」ということも伝えてきたという。マイケル・パクは、投資家がT社の動向に関心を強めるよう勧誘して、合弁会社を設立する資金を出させ、さらにそのE社をT社が買収することで、投資家が資金を出したT社の株価が高騰し、安定した配当による利益の確保もしくはマイケルによる投資資金の10倍の買取り保証が確実視されると思いこまされたのである。
しかし、とんでもない事態がわずか数カ月後に起きた。設立したばかりの合弁会社E社が解散してしまったのだ。同社の解散について、マイケル・パクは「相手側に非がある」と言うのみで投資家への詳しい説明は一切なかった。内部関係者からの話ではマイケル・パクの持つ技術というものが詐欺同然の紛い物だったという。そして、実際の被害は投資家だけに留まらず、マイケル・パクから「このプロジェクトに必要だ」と言われて、半ば強引に集められた第一線で活躍していた日本の技術者たちも職を失う結果を招き、多くの人間に甚大な被害を与えることになった。ところが、マイケル・パクはそうした事態に責任を感じるどころか、平然としてE社に代わる別の案件を持ちかけてきたのである。それがT社による新たな企業との提携であり企業買収だった。マイケル・パクは、またもや「これが成約すればT社の株式が高騰する」と、同じ言葉を繰り返した。しかし、T社に関連する投資話は全てマイケル・パクが創作した絵空事に過ぎなかった。
投資家がマイケル・パクの依頼に応じて合計2億円の投資を行って以降、実に13年近くが経過しているにもかかわらず、投資家が繰り返し要請してもマイケル・パクはT社に関連する企業買収ほか詳細な説明や報告等をすることは一切なかったばかりか第三者が何者であるかを明かしたこともなく、また買収等が実現したかどうかについても何ら報告しなかった。これはあまりにも不自然すぎる、というよりマイケル・パクが実態のある話をできるはずがなかった。
さすがに投資家もマイケル・パクに対して保証した買取りの実行やT社等の状況について説明をメールにて求め続け、年に1回程度はマイケル・パクも来日して面会の場を設ける等してきた。マイケルが来日すれば、投資家は必ずと言っていいほど新宿や銀座等の高級クラブにマイケルと西を連れて行った。しかし、マイケル・パクはそもそも日本に来ると言いながら一向に来日しないということを繰り返し、ようやく面会ができるとなっても、実際には具体的な説明や報告をせず、また返金をしたわけでもなく、「来月には一部金として1000万円を返せる」等と言っておきながら翌月になっても何らの対応もないといったような極めて不誠実な態度に終始していた。
マイケル・パクの言動は、そのすべてが配当の先延ばしであり、投資家をさらに騙して金を引き出そうとする悪質極まりないものだった。しかし、その悪行も刑事告訴によってピリオドが打たれることになる。マイケル・パクはもちろん、息子たちの人生にも深刻な影響が及ぶに違いない。
投資家が刑事告訴をするにあたっては時効の問題があるが、マイケル・パクは2009年から2011年ころは日本とアメリカを半々程度の行き来をしていたが、日常はアメリカに在住しており、現在まで14回程度の来日をするのみで、しかも滞在するのは一回につき数日から1週間程度であるため、日本での滞在期間は、多めに見積もっても、この14年間で合計1年8ヶ月程度である。そのため、時効は未だ成立していない。
マイケル・パクは、詐言を弄して投資家から金銭を詐取し、その後自身がアメリカに居住していることを奇貨として投資家に対して返済はおろか説明すら十分にすることはなかった。2020年6月以降は、投資家が出した出資金のうちの一部金を送金すると言っていたのに、それから3年以上が経過してもなお送金は何らされていない。ほかにも、西と西の愛人の中田早苗、西の息子の内川陽一郎も少なからず関与していたという指摘が関係者からなされている。中田早苗が自分名義の4つの銀行口座に1億4000万円を横領していた事実が発覚したからだ。他の金は西と中田、そして陽一郎等が好き放題に使っていたという。また、直近ではドバイの銀行に130億円が入金されたのでそれで支払うというようなメッセージを送付してきているが、手続きに手間取っている等趣旨不明の言い訳をするのみで一向に支払いを行おうとしない。
これまでに触れたとおり、マイケル・パクが引き起こした詐欺事件には投資家以外にも複数名が同様の被害にあっており、また、その手口から今後も同様の詐欺行為に及ぶ可能性が極めて高いものと思われる。それだけに投資家が、マイケル・パクに対する厳重なる処罰を捜査機関に望むのは当然なのだ。おそらくマイケル・パクのように長期間にわたって何件も詐欺事件を繰り返してきた人間は少ないのではないかと思われる。(つづく)