前号の続編を掲載するが、倉持茂と新井康弘に対する訴訟の、一審及び二審の判決がいかに誤審を重ねた挙句の誤判であるか、十分に理解いただいていると思われるが、さらに検証を重ねる。
1 事業出資金について
(1)平成29年6月頃、債権者は、倉持から、中古車の売買を行う元手となる資金の融通を依頼され、当初、倉持からは元本を保証すること、及び、利益として交付額の10%を支払うことを条件とした提案がなされた。もっとも、債権者としては利益がいくらになるのか分からず、都度確認する手間を省きたいと倉持に伝えたところ、倉持からは、元本保証は変わらず約した上で、利益折半の金員について月100万円を交付することとしたい旨の再提案がなされた。債権者はこれを了承し、上記中古車売買のための資金として金1000万円を預託し、さらにその後、倉持の要望により、1000万円を追加して預託した。この追加の1000万円を預託した平成29年7月24日、倉持は、合計2000万円として預かり書を作成し、また利益交付金として月200万円を交付する旨の記載をして債権者にこれを交付した。金2000万円について「預かりました」と記載しているのは元本を保証することを表すものであり、また「配当金」とは上記利益交付金を指すものである。
なお、倉持が中古車売買を行うにあたり、倉持は以前から新井とともにガレージZEROの商号で中古車販売業等を営んでいたところ、今回の預託金による中古車売買も新井と共に行うものであると説明し、また、実際に購入した車両はガレージZERO内の駐車場にて保管されていた。
(2) その後、倉持らは、債権者から預託された2000万円を用いて仕入れを行い、それらを転売し利益を得ていたようである。倉持らは自主的に毎月債権者に対して在庫報告書を提出してきたものの、販売価格を示すことがほぼなかったため、倉持らがどの程度の利益を得ているのかは不明なままであった。もっとも、倉持からは平成29年10月以降複数回200万円の交付をうけたので、相応の利益が上がっているものと認識していた(ただし、平成30年10月以降は受け取っておらず、倉持も今後持ってくる等と述べるのみであった)。また、在庫報告書によれば、平成30年5月までは常に2500万円~3000万円程度の在庫を有していたことからしても順調に中古車販売が行えていたことが窺われる。
(3) ところが倉持らは、平成30年6月以降、債権者に何ら申し出ることなく、在庫の売却を進めていった。在庫報告書を見てこれに気が付いた債権者は倉持らにその点を質問したが、倉持らは一度清算する、債権者に預託された出資金2000万円は、それを超える利益が十分に出ているので、清算にあたっては全額返還する予定であると述べ、その後も売却を続けた。その結果、在庫報告書記載の残高は平成30年10月31日時点で16,938,730円となり、同年4月末時点(29,838,730円)との差額、すなわち売却により倉持らが取得しているはずの金銭は少なくとも1,300万円以上(ただし、仕入価格ベースでの差額。実際は販売額との差額が利益となるものであり、これを優に超える利益があったはずである)に上っていたものの、債権者には何らの返金もされなかった。
(4) 債権者は在庫が減っていることを心配し、また、これまで書類の取り交わしをしていなかったことから、上記倉持らの提案である、清算にあたって交付した2000万円全額を返還するとの約束を書面で確認したい旨を倉持らに申し入れた。すると、倉持らは、平成30年11月5日、「ガレージZEROで現在お預かりしてる在庫車両代金2000万円を責任を持って在庫管理いたします。(2000万円時価金額をもって保障するものとする)」と記載した書面を連名で持参した。この書面は、平成29年7月24日時点と同じく、金2000万円については「お預かりしてる」と記載し、倉持ら自身が少なくとも元本に相当する2000万円については返還する必要があると記載し、また「2000万円時価金額をもって保障する」とは、債権者から交付を受けた2000万円を元手に得た利益及び在庫分から2000万円を支払うという趣旨のものである。これを受けて、債権者は、同日、平成29年7月24日付元本保証の約定及び上記平成30年11月5日付書面の2000万円の保証により確認された倉持らの2000万円の支払義務を旧債務とし、倉持を主債務者、新井を連帯保証人とする、返済期限の定めのない債務を新債務とする準消費貸借契約を締結し、その旨を表す借用書を作成した。
(5) これについて裁判所は、当初の現金2000万円の交付に関して配当金が事業利益の有無にかかわらず定額とされていることを以て消費貸借契約であったと認定している。
しかし、これが事業資金への出資であるとの意思は当事者間で明確であったことは上記の通りであり、配当金が定額となったのは利益の確認の手間を省き、互いの便宜を図る目的によるものでしかない。配当金の金額の定め方は本質的な問題ではなく、あくまで互いの事務負担を軽減する目的で取られた手段にすぎず、かつ、倉持は月200万円以上の利益が出ることは確実であると話していたため、それを前提として配当金を月額100万円と設定しており、倉持の手元には半分以上の利益が残る、倉持に有利な契約内容であった。現に在庫報告書の在庫残高は着実に増えており、利益を元手として事業を拡大していたことが伺われるものである。
上記の通り、2000万円の交付にあたっては事業資金として利益を折半する合意があり、かつ、倉持に有利な利益配分の合意をしているのであり、金銭の流れ、事業の実体、当事者の意思のいずれをとっても出資金であることは明らかである。
そして、倉持は在庫清算時にも約束していた出資金及び清算に伴う利益配当の交付について未実施なのであるから当該金額相当の支払義務を負うものである。
2 検証もせず一審判決を支持した控訴審
これらの誤審は実質的に一審においてなされたものであるが、控訴審においては実体的な判断をせずに、一審判決を是認するのみであった。その証拠に控訴審は、債権者が控訴審において新たに提出した複数の証拠や陳述書については何ら判決で触れることはなかった。特に陳述書では、倉持が如何に債権者を利用して利益を得て来たか、倉持が債権者に「経済的に従属しており、歯向かうことができない」というような関係でないことを、複数人が具体的な事実を以て述べているのであり、一審判決が前提とする債権者と倉持の関係性が全くの誤りであることが明白になるものであった。
控訴審は、これら陳述書が提出され、証拠として採用されているにもかかわらず、これらを精査しなかったものであり、控訴審としての意義がなかった。
なお、判決が経済的に従属していると判断したのは、倉持がFXの投資に失敗し、資産家への返済ができなくなり債権者に泣きついて立て替えてもらったために約18億円の債務を負ったことが理由とされている。この経緯自体から債権者が倉持を助けただけでそもそも何ら従属的な関係であるとの判断には結びつくものではないことがよく分かるところであり、判決が従属的と判断した理由は不明であるが、倉持はこの債務についても虚偽の理由を述べていた。すなわち、債権者から預かった自動車のコンピュータ部分を破損してしまい、当該コンピュータの補修費用は500万円であった(これ自体は事実である)。倉持は債権者に対する約18億円の債務について、上記FXの立替金債務ではなく、この500万円の債務に利子がついて約18億円にまでなったと裁判上でも証言したのである。裁判所も、このような倉持の暴論については、さすがに正面から認めることはなかったが、一方で経済的に従属する立場にあると認めたことは裁判所が倉持の上記の荒唐無稽な主張を認めるとの同義であった。
3 倉持茂の悪事の数々
倉持が行ってきたことの悪質性及び裁判の不当性については以上記載の通りであるが、まとめて記載すると以下の通りである。
・債権者が倉持と知り合って以降、債権者が倉持の頼みを断ったことはほぼないが、倉持が債権者に返済したことはほとんどない。
・債権者の信用を利用しようとして、倉持は債権者に対して100人以上の人間を紹介した。ただし、倉持が紹介する人間の多くが素性の怪しい人間であり、真っ当な人間2名のみであった。
・倉持は過去にテキ屋のようなこともやっており、高崎での暴力団関係者・反社との付き合いは多い
・襲撃事件(強盗傷人)の教唆。
・暴力団元組長と共謀して債権者の殺害を計画。債権者を気絶させて車に乗せ、埋める穴まで用意していた(証言あり)
・事件直後、会社の人間が誰も事件のことを知らないのに倉持は小杉氏に債権者が事件にあったと話す。
・事件の計画のために前日にモーテルで長時間打ち合わせをした
・公判の証人尋問において、「債権者が傍聴席にいると怖いのでバリケードを設置して欲しい」などと要請して、被害者である債権者の傍聴を妨害した。
・納税義務を怠ったことを主な理由により、経営していた中古車販売店(埼玉県内4店舗)が閉店に追い込まれた。
・わいせつ裏ビデオの販売で逮捕されたことがある
・重度の糖尿病による就労不能を理由とした生活保護の不正受給
・三菱自動車の営業マンと共謀して同社自動車の取り込み詐欺を働いたが、刑事事件化した際には罪を全て営業マンに負わせた。
・10日で1割以上の金利を貪る闇金融(大宮のキャバクラ店長の例)
・闇金融の取り立てで暴力団員を使い強迫強要
・売春の斡旋(主に中古車販売に係るスポンサーを対象)
・青郷氏の紹介で債権者に会った際、債権者に「店舗に展示したい」と言って一台5000万円以上するスーパーカーを20台、無料で借りながら、その後メンテナンスを一切せずに放置するなど、保管・管理を杜撰にしていた。
・FX投資の失敗に伴う資金繰りで債権者に泣きつき、債権者の友人知人から借入をしながら、また債権者から借入先に対して経緯の説明と謝罪を行うよう倉持に諭したが、倉持は借入先との面会の日を3回も決めながら毎回約束を破り、何等の対応もしなかった
・上記FX投資の失敗による返済金を債権者に立て替えてもらった18億円の債務について、倉持が破損させたコンピュータの弁償金500万円が膨らんでできた債務であると主張した。
・債権者へ盗難車と思われるスーパーカー(カウンタック)の売り込み、債権者から購入代金700万円と書類代金150万円をだまし取った。この車は岐阜県内の暴力団から仕入れ、別の車の車体番号を取り付けようとしたものだった。
・債権者へ架空のスーパーカー売買話で購入を持ちかけ、購入代金を詐取しようとした。
・債権者に「妻の美容店(4~5店)や飲食店(焼き肉店やラーメン店等)を開きたい」と言って、事業資金を借りながら事業に係る収支を一切報告せず、返済もしなかった。(事実確認が出来るのは美容店(レセ)1店舗のみ)
・TSビルのテナント事業をする中で、数合わせだけの目的で杜撰な賃貸契約を締結させ、ビル管理会社に多額の損失を与えた。倉持は各契約者の連帯保証をしながら、債務を不履行した。
・TSビルのテナント事業で年末までに10店舗以上を確保すると債権者と約束し、内装や電気設備の新設等の費用を発生させ、約束不履行の場合のペナルティ1500万円の支払を約束したが、店舗をほとんど入れることができず、またペナルティも払わないなど、全て反故にした。
・TSビルの架空の賃貸借契約書を偽造して自治体から不正に助成金を詐取した。
・TSビルの債権者が各テナントに対し提起した訴訟で、倉持は連帯保証責任を免れるために虚偽の陳述書を提出した。「キズナ」(庄子剛)との訴訟では、当初に出した陳述書とは全く逆の内容の陳述書を出して裁判官を騙した。
・「TSビルのオーナー(債権者)は俺の言う事を何でも聞いてくれる」と周囲に吹聴し、ビル最上階のペントハウスに女を連れ込むなど、我が物顔で振る舞っていた。
・債権者から車検・整備で預かったマクラーレンを許可なく勝手に乗り回して火災事故を起こした。倉持と新井は損害賠償の一環でかけていた保険金を全額を払うとしながら、保険金額を偽っていただけでなく支払いを拒んだ。
・倉持にはまともな友人は一人もおらず、誰もが倉持の悪性を知り抜いていて信用もしていないため、父親の葬儀等の冠婚葬祭で香典や祝い金を出したりしたのは債権者のほかにはいなかった。
・裁判で債権者から借り受けたガレージ等の物品の返却を命じられ、債権者から返却を求められているにもかかわらず、一切返却しようとしない。債権者はガレージの返還がないために自身が所有するスーパーカーの保管場所がなく、やむを得ず月15万円かけて業者に保管を依頼している
・マクラーレンの保険金について、平成30年ころには倉持は保険会社からの保険金は500万円になったと話しており、他方新井は保険は使っていないと話していた。ただし、新井は債権者に対して、電話にて、倉持に保険の話はしないでほしいと言ってきたが、債権者が「今目の前に倉持がいる」と話したところ、新井はすぐに電話を切ってしまったことがあった。
・その後新井は訴訟の中で保険金は800万円であったと主張したが、新井は振込明細すら提出せず、真実保険会社からの入金があったのかすらも明らかにしない。
・修理内容に関して、新井は全塗装を行ったと主張していたが、その後、部分塗装であり、どんなにかかっても100万円もかかるものではないことが判明した。
・債権者が所有するJAGAR XJR-15について、貸出料の代わりに完璧にレストアすると約束して貸し出したにもかかわらず、うち一台をバラバラにし、部品を紛失させ、さらには屋外に放置してエンジンに水を入れてしまったため、修復に2000万円以上が掛かる状態にしてしまった。
・債権者と倉持とは25年に及ぶ付き合いがあり、週1回程度会社や自宅に来ていた。来訪時は友人が同行しており、暴行などなかったことを明言している
・一度だけ、債権者と倉持との間で口論になり、もみ合いとなって倉持がバランスを崩してキャビネットに頭を打ったことがあり、念のために病院に行ったことがあったが、病院から戻った倉持は債権者に「飲みに行きたい」と言って一緒に錦糸町のロシアンクラブに行った。なお、襲撃事件の直前にはそのクラブの前に襲撃に使われた車がよく止まっていたらしく、事件後に新宿警察から錦糸町によく行くか等と質問された。
・事業投資として2000万円の出資を受け、清算して利益と共に2000万円も返還すると言って在庫を売却したにもかかわらず、何等返済せずに連絡を絶った。
4 判決の誤りは何故起きたのか
上記の通り、裁判所の判断は全くの誤審であり、かつ、判決文自体が何らの証拠に基づかずに作成されている(そもそも倉持側はまともな証拠を何ら提出できておらず、倉持らの主張を証拠に基づいて理屈付けることは不可能である)。裁判所がこのような判断に至ってしまったのは、債権者と倉持との関係性について大きく曲解したものであり、およそ事実に基づかない判断となっており、到底是認できるものではない。債権者は過去に30件ほどの貸金返還請求訴訟を起こし、ほぼ全てで勝訴してきている人物である。それらの訴訟の中では、本件訴訟と同様に債権者を根拠なく誹謗中傷して債権者の人格や経歴に関わる社会的信用を損なわせ、自らを正当化しようとした主張も多くみられたが、担当した裁判官はそのような主張に惑わされることなく、客観的な証拠に基づいた公正な判断の結果、債権者勝訴の判決を下してきた。本件訴訟における倉持らの誹謗中傷は上記過去の裁判と比較しても度が過ぎているものであったが、今回の一審、二審の両判決では当該誹謗中傷が裁判官の心証に不当に影響し本来あるべき事実認定の過程が著しくゆがめられたものとなってしまった。
これまでに触れた通り、倉持は虚偽の理由をつけて債権者から多額の現金を引き出し、さらに債権者の信用までも利用してきた。債権者は倉持の服装や風ぼうを見て可哀想に思い、助けてあげるつもりで倉持の懇願のほとんどを聞いてあげてきた。債権者は倉持にお金を貸すことで儲ける気など全くなく、お金さえあれば事業がうまくいくのであればそのチャンスを作ってあげたいと考えていた。倉持は債権者のこのような思いにつけ込み、利用するだけ利用した挙句に、虚偽の話のつじつまが合わなくなり、また返済をしない言い訳ができなくなるや、襲撃事件を企て、債権者とその周辺の関係者との一切の連絡を絶ったのである。債権者は25年以上に亘り目をかけてきた倉持にこのような裏切り方をされたことについて憤懣やるかたない思いでいる。本件訴訟はこのような経過の末に行われたものであったが、裁判所は上記の経緯を理解せずに、証拠を見ず、倉持の虚偽の弁明を聞き入れた結果、事実と全く異なる認定・判断を下したものであって、債権者は裁判所からも裏切られた思いである。倉持の悪質性は言うまでもないが、このような悪性の強い人物に対して法的に対処すべき裁判所がこのような理不尽、不合理な判断をするのであれば、裁判所が裁判所たる所以を失わせるようなものである。裁判所は本件判決について真摯に反省し、法の番人としての機能を取り戻す必要がある。(つづく)