前号に続き、小野訴訟の問題点を浮き彫りにする。本稿を読めば、審理で小野がどれほど虚偽に溢れ、かつ矛盾だらけの主張を繰り返したか、さらにこれまで小野自身が働いた悪事の数々から、悪質な人間性さえ指摘できるに違いない。そうした小野の主張を真に受けた裁判官たちを裁判所は今こそ問題視すべきである。
4 本件訴訟における小野の虚偽の主張
(1)小野は3、4年ほど前からは債権者に頻繁に接触するようになり、電話を架けてくるだけでなく頻繁に来社したり、債権者の自宅マンションにも来るようになった。これは債権者から借り入れた債務の返済を可能な限り先送りにさせるための目的に留まらず、さらに資金を借りようとして自分の資金繰りのために残土処理や沖縄の浦添の土地売買など多くの嘘の案件を債権者に持ち込み、新たな借入をすることを意図していた。小野には友人知人が多いと思っていた債権者が「他の人に頼んだらどうか」と言ったことがあるが、小野は「他の人からは10万円の金も借りられません」と答えており、当時すでに債権者以外からの借入ができない状態であった。現に小野が過去に西氏に水野氏を紹介し、西氏が、その後水野氏が司法書士試験に受かるまで面倒をみていた経緯があり、水野氏からすれば西氏を紹介した小野に対しても相当な恩を感じていると思われるが、小野は水野氏からも10万円の借金をすることさえできなかったと債権者に話していた。小野という人間の、特に金銭面での信用性のなさ、人望のなさが如実に表れる話である。
(2) 小野が返済原資にする案件として令和2年7月頃より持ち込んだ妻眞理の相続財産についても、相続を受けた後の税金の心配を口にした小野に債権者が、西氏が秋田の大仙市に建てた別邸を譲渡し、それを代物弁済にすることを提案し、債権者の代理人にも引き合わせ最低でも2~3回は打ち合わせを重ねていた。ここまで話を進めながら、小野はこの相続の話自体が虚偽であったことを証人尋問で認めた。
(3) 小野側は,債権者が、債務者に他の債務者の取り立て等を行わせることで恐怖を植え付けてマインドコントロールしたと主張する。これが具体的にどのような心理状態に陥ったものなのかは今もって不明である。
確かに小野と債権者との30年来の付き合いの中で、小野は自身の仕事がなく収入がないのか、債権者に「手伝いがあればします」と言うので,他の債務者に対して債権者への連絡で架電してもらったことはある。このときの電話は、一定期間連絡がない債務者に対して「会社にも連絡がないので一度会社に顔を出すか、電話くらいはするように」と伝える程度のものであり、「何度も架電」したり、「取り立てのために追いかけ回し」たりさせたことはない。その程度の内容で架電する程度で,「自分も返済が怠ると、このような仕打ちを受ける」と恐怖感を持ったという小野側の主張は理解しがたい、というより、そもそも小野は全くと言っていいほど返済しておらず、返済を怠り続けている者であって、「返済を怠ったらこのような仕打ちを受ける」と恐怖する前提を欠く。
また,小野は債権者の自宅を頻繁に出入りし、その際に債権者からワタリガニや果物を振る舞われ、またそれらを孫へのお土産と称して持ち帰るなどもしていたし、債権者と小野との30年以上にも及ぶ付き合いの中で、多数回に亘り飲食を共にしており、かつ、小野は一度たりとも飲食代を支払おうとはしなかった。小野が「常に恐怖心を抱いていた」等と主張しながら、そのように恐怖に駆られている人間が呼ばれてもいないのに頻繁に債権者の自宅を出入りしたり飲食を共にし、代金を債権者に支払わせるようなことをすることは有り得ない。小野は債権者の機嫌を損なわないように振る舞っていたと主張するが、小野は必要もないのに債権者の自宅を訪れたり、積極的にワタリガニや果物を持ち帰ろうとするとか、会計をする素振りすらせず、債権者に支払わせる意図で小野から外食に誘っていたものであるのは容易に想像がつく。小野の対応は「機嫌を損なわないように」という範囲を超えて、厚かましく振る舞っていただけであろう。
少なくとも小野は審理では書面の作成で債権者から強迫的な言動を受けたとは供述しておらず、債権者に言われたまま書いたと述べるのみである。平成2年当時からコンサルタント等として業務に従事する小野が、根拠なく債務を認める書面に記載することは有り得ず、事実は小野が債権者への債務を負っていたから、その通りに書面を作成したということに他ならない。
(4) 小野側は,債権者が返済できなくなった債務者に対し他の債務者を使って自殺を唆したと主張する。しかし,小野側が「自殺するよう暗に示唆された」と主張する人間はこの事実を明確に否定している。また,仮に小野側の主張の通りのような事実があるのであれば,平成12年から生命保険金に質権を設定した時期、つまり20年以上も前に自殺を教唆されているはずであるが,小野側の主張によっても教唆されるようになったのは令和2年7月1日以降のことであるとしており,矛盾している。小野側の主張は、小野自身が生命保険金に質権を設定したにもかかわらず、そのことを悪用して債権者を反社会的な人物であると殊更に強調するための虚偽の主張にすぎず,不合理極まりない。
(5) 小野側は、小野が、債権者に生命保険を加入させられたと主張する。しかし、そのような事実はないし、そもそも小野側が主張する保険契約は平成10年9月に加入したものであり、生命保険金の受取人は妻の眞理である一方、債権者が小野の提案によりその生命保険金に質権を設定したのは平成12年12月のことである。仮に債権者が上記生命保険に加入させたというのが事実なのであれば、保険加入と同時に質権設定したはずである。債権者は、平成10年9月当時は小野が当該の生命保険に加入したことは知らず、平成12年12月に、小野から生命保険を担保としたいと言われた際に初めて知ったものである。
また、小野は、生命保険の保険金に質権を設定して以降、自身の生命が害されるかもしれないと考えたと供述するが、一方で生命を害そうとする人間がいるのかは知らず、小野自身の推測に過ぎないことを認めている。また質権の設定以降も週に2日から5日の頻度で債権者の会社やマンションを訪れていたとも述べており、このような態度は明らかに恐怖を感じている者の行動ではない。
(6) 小野側からは、債権者が見たことのない様式の借用書が証拠として提出されているが、その様式は債権者において使用したことが一度もなかったものである。小野側は、訴訟開始当時から借用書はないと明言し、さらに債権者が暴行や強迫を用いて債務者をマインドコントロールする等といった主張をしていながら、訴訟終盤までこのような書類を提出しなかった。そこには合理的な理由が何一つない。少なくともその借用書は、債権者は触れたこともないものであり、小野側において作成したものであると思われる。
また、小野は平成31年ころの返済については、何らの資料もないのに自らの記憶のみで詳細に供述する一方で、この借用書については途端にその作成経緯、作成日付等の記憶がないと述べていた。この借用書の金額や作成日付、返済日の記載などが明らかに不合理なものであり、一部は債務者であるはずの小野の署名すらなく、作成目的が不明のものですらある。つまり債権者においてこのような書面を作成する合理的な理由が一切存在しないのだ。
(7) 小野は審理で平成8年3月31日に500万円を返済したと主張するが、それを裏付ける何らの資料はなく、債権者側からの事実確認に対して「記憶に基づくもの」と述べたが、なぜ平成8年3月31日だと特定できるのかと理由を問うても何ら回答もできなかった。
さらに、平成8年12月31日に1000万円を返済したという主張についても、その原資は「妻の眞理の実家から振り込んでもらった」と主張するにもかかわらず、振込を証明する証拠を提出しないばかりか、小野自身も本訴訟に際して再確認すらしていない。この点、令和2年12月に作成したとするこの借用書の作成経緯等の記憶の不確かさに比べて、平成8年ころの返済についてのみ小野は鮮明に記憶しているということになるが、何らの根拠も示さない主張はその信用性が低いか全くないことは明らかである。
(8) また、小野は、平成31年ころにも一定額の返済を行ったと主張する。しかし、これらの返済に関するメモや計算書は一切存在しない。小野は、平成31年4月30日に300万円を返済するはずだったのが返済できず、その後の5月に返済をしたというが、それも何ら根拠がなく、全く意味不明である。まして、小野が言う500万円という金額は債権者から指示されたものではなく、小野が自ら持参したとする金額でありながら、なぜその金額を支払うべきと考えたかについて一切理由を述べなかった。平成31年5月の返済額をいくらと計算したのかについては最も重要な部分のはずだが、小野側は記憶が曖昧と述べるに留まり、不合理極まりない陳述に終始している。
(9) これらのことから小野の、一定額を返済したという一連の陳述(主張)は信用できるものでは全くなく、返済の事実が認められるものではない。
(10) 先にも触れたように、債権者からマインドコントロールされていた等と小野側は荒唐無稽な主張を正当化しようとして、事実無根の主張を多数行っている。例えば小野側は、債権者を「悪質な高利貸し」であるとして「新宿公証役場にて債権者が100通以上の公正証書を作成している」とか「債権者が資格なく貸し借りを行っている」と言い、さらに「暴力団とのつながりがある」等といった主張をしている。しかし、これらはいずれも全く事実に反するものであり、そもそも債権者が新宿公証役場で作成したことがある公正証書はせいぜい10通程度である。しかも公証役場において債権者がどの程度書面を作成しているのかについて、小野側はその裏付けを一切示していないし、公証役場が第三者である小野側の代理人に話すことはおよそ想定できない。また、債権者は令和2年まで古物金融の免許を現に保有しており、暴力団とも何ら関係を有していない。案の定、これらについて、小野側は債権者の反論以降何ら再反論をしていない。
(11) 債権者は自身が経営する会社の本社事務所を30年以上に亘って新宿センタービルに置いていた。これは入居審査時120社以上の応募がある中で同社が選ばれたものであり、仮に代表者である債権者が反社会的勢力である、もしくは同勢力と関係を密接に有しているといった事情があれば直ちに立ち退きを迫られていたはずである。しかし、新宿センタービルとの間では、入居期間中の30年以上の間、家賃滞納も含めて何らのクレームも一度ももらったことはないし、同ビルに入居している他のテナントからもクレームが入ったこともない。当時、会社は象牙の印鑑や婚約指輪等の輸入販売等により大きな業績を上げてきており、東京都の納税でベスト10に挙げられるほどの利益を上げており、全国紙にて高額納税者が発表される際には何度も掲載されていた。債権者は会社を健全に経営してきた者であり、小野が恐怖心を抱くような人間ではない。
問題は小野にあり、小野は長年右翼に所属する人間であり、日本一の右翼と目される団体のトップである頭山興助会長の運転手をしている幹部であることを何回も周囲に自慢していた。
(12) 小野側の主張は、債務を免れんとするための虚偽であり、真実に基づくものがほとんど存在しない。このような主張をすることについては、小野が、本件訴訟前に債権者に対して種々虚偽の話を持ちかけて返済を先延ばしにしてきた(このことは小野も認めている)ことの延長であると思われるが、小野側の代理人においても小野側の述べることを無批判に受け入れ、債権者を誹謗中傷する内容の主張を行っているものであり、債権者としては到底受け入れられるものではない。このような根拠のない主張を、何らの調査もせずに小野の言うままに主張として提出し、債権者の名誉を毀損していることについては小野の代理人の責任は極めて重い。
5 小野が行ってきたことの悪質性及び裁判の不当性については、以上の通りであるが、まとめて記載すると以下の通りである。
・平成2年には借り入れをしていないと虚偽の証言をした
・存在しない債務をでっち上げ、債務不存在請求訴訟を提起してきた
・全く返済していないにもかかわらず、返済が終わっているだけでなく過払でさえあると主張した。しかも、訴訟では過払い分の返還請求をしていない
・債務承認のたびに自身のメモを見て金額を確認していたのに脅されて言いなりに書面にサインした、金額がわからない状態だった等と主張した。小野は、平成2年当時からマネージメント業などを行っていたと述べており、そのような会社の代表者が理由不明の、かつ、極めて高額の借入を認めるような書面を作成し、かつ、25年以上に亘り何らの対処もせず放置するということなどは、誰もが有り得ないと考えるのが当然だ
・債権者は小野に再貸付があるたびに古い書面を返していたが、小野は書面が一切交付されないと嘘をついた
・小野の債務に係る連帯保証で妻眞理の署名を偽造した
・妻眞理を装うための第三者の女性を用意し、債権者に対して「小野眞理である」と嘘をついて、債権者と電話にて会話させた
・生命保険は小野が平成10年に自身で、保険金受取人を小野眞理として加入していたものであって、債権者が加入を強制したことは一度もない。質権設定は平成12年になって小野が自身で申し出たものに過ぎない
・平成29年に債権者に対し、友人から借り入れて自身に貸付をしてほしいと依頼したにもかかわらず、債権者に対する返済をしなかった。結果として債権者は上代価格1億円の高級腕時計2本を手放さざるを得なくなった
・小野は資金を借りようと残土処理や沖縄の浦添の土地売買など多くの嘘の案件を債権者に持ち込み、新たな借入をする材料にした
・令和2年7月に妻眞理の父が亡くなり、その相続財産が入るので返済ができると虚偽の話を持ちかけた。これが嘘であることは、小野自身が審理において認めている
・上記の相続に関し、小野は相続税の支払が心配である等と言い、債権者から秋田の物件の譲渡を受けようとしていた
・小野が自ら申し出て、債権者の手伝いを行ったことを「取立をさせられた」などと主張した
・債権者と小野との30年以上にも及ぶ付き合いの中で、多数回に亘り飲食を共にしており、かつ、小野は一度たりとも飲食代を支払おうとはしなかった
・債権者の部下から自殺を唆されたと主張したが、その部下は明確に否定している
・白紙の借用書を作成させられたとして証拠を偽造した。借用書は債権者が使わない書式であり、また作成させられたのであれば小野が持っているはずがないものであった
・小野は、新宿公証役場にて債権者が100通以上の公正証書を作成していると主張したが、実際は10通程度であった
・債権者が資格なく貸し借りを行っていると主張したが、債権者は長年古物金融の免許を持っていた
・暴力団とのつながりがあると主張したが、債権者にそのようなつながりはない
6 これまで触れた通り、小野は債権者に日常的に多くの嘘をつき、返済を先延ばしにし続けてきた。そして、その話が嘘であることは証人尋問において自ら認めているところであった。そのため、小野が相手を問わず自分の都合に合わせて嘘をつく人間であること、債権者に対しても債務を免れるためには平気で嘘をつき続ける人間であることは小野自身が認めている明らかな事実であった。それにもかかわらず、裁判官たちが小野の妄言を信用したせいで、判決は事実誤認に溢れたものになってしまった。裁判官たちの目を曇らせたのが何であるのか、裁判官の資質なのか、裏で取引でもあったのかと疑いたくなる内容であるが、このような、小野の主張に沿う証拠が何一つなく、さらに小野が嘘をついていることが明らかになっているという、負けるはずのない裁判において、裁判官たちの異常な判断によって合理的な理由なく敗訴させられたことは到底納得できるものではない。裁判は証拠に基づき公正な判断をするからこそ紛争解決機関として成り立つものであって、このような不合理極まりない判断をするのであれば解決どころか更なる紛争を惹起するのみとなってしまう。東京地方裁判所、東京高等裁判所に対してはこのような異常な判決を放置せず、自主的に自浄作用を働かせて本件判決に関わった裁判官に対して厳正な処分を下すことを期待したい。(つづく)