《裁判官が合意書と和解書を認めるかどうかの裁定には、実は1000億円以上という途轍もない金額が絡んでいたことを、品田裁判長はどこまで実感していたのだろうか。しかし、品田が鈴木の主張を支持したことで、この1000億円以上とみられる鈴木の隠匿資産が全て追及されないことになってしまった。鈴木の主張が正しければ、A氏は大嘘付きになってしまうが、そうであれば、A氏が多額の裁判費用までかけて訴訟を起こさなければならなかったのかを裁判官はよく考えて、この裁判に臨まねばならなかったはずだ。この事件を審議するにあたっては、裁判所内でかなり問題になったのかもしれない。この事件の扱いによっては大きな問題に発展する。早々に解決しないとマスコミに嗅ぎつけられ、世間の注目を浴びることになる。タックス・ヘイヴン地域も巻き込んで大騒ぎになる。何しろ、1000億円超である。突き詰めていけば司法、行政の怠慢にまで発展する。いかにして単なる民事事件として終わらせることが出来るか。1審ではその協議が長引いた為に時間がかかったと考えられないか。この隠匿資金について、鈴木はもちろん誰からの申告も納税もされていない。タックス・ヘイヴン地域を巻き込まないと真偽も解明できない。裁判所だけでは手に負えない事件だ。大きな力でもみ消された可能性もあるのではないか。鈴木の命に係わる事になるかもしれない。1000億円脱税疑惑はそれほど大きな問題だと思う》
《裁判官は、努めて外部の世界と拘わらない様に行動する。確かに、裁判の公正中立を守るため、司法の独立や中立は必要だと思う。しかし、それによって人間性が歪んでいくようでは本末転倒と言わざるを得ない。しかし、その閉じられた内部は明治時代からのピラミッド型の人事システムが残っていて、出世ばかりを気にする裁判官が溢れている。日本の裁判所は、最高裁長官をトップとしてその腹心である最高裁事務総長が率いる事務総局が、全国の裁判官を人事や組織の圧力で支配している。正に明治維新の頃の小説に出てくる役所の様だ。この様な人間が多い裁判所に正義は無く、公正で中立な裁判は望めないだろう。1日も早く裁判所組織の改革を進めるべきだと思う》
《西は、A氏に内緒で鈴木と交わした密約を履行させ、株取引で得た利益金を受け取る為に息子の内河陽一郎を伴って香港に向かったが、鈴木の代理人に一服盛られたことで利益金を手にするどころか命からがら帰国の途に着いた。西には鈴木が首謀者である事は確信していたはずだが、利益金を諦め切れないまま、香港警察での事情聴取にも鈴木の名前を一切出さなかった。金に目が眩んだ裏切り者の顛末は、いつもの如く金の奪い合いで潰し合いに決まっている》
《鈴木と西は宝林株の収得資金をA氏に出して貰ったはずなのに、大量保有報告書には株の売りを任せるためにスカウトした紀井氏の名前にしたが、鈴木はA氏や紀井氏には一切何も言わず、西も鈴木を黙認した。鈴木と西は、宝林株を収得した後に高値で売り抜けようとしたが資金が続かず、資金支援をA氏に頼り「合意書」を交わす事になるが、平成11年9月30日付の確認書の作成経緯と同様に、鈴木は最初からA氏を騙す計画だった。鈴木ほどの悪党はいない》
《そもそもA氏と鈴木の関係は、窮地に陥っていた鈴木を、西の懇願によりA氏が救済する事を決心したことから始まっていて、A氏の会社及び個人に何らメリットのない内容であったことを忘れてはならない。これは、商取引では無いのだ。全てがA氏の、他人には信じがたい厚情がさせた事であり、鈴木がそこに付け込んだことは明確だ。これを指して鈴木を悪人と言わないのか。A氏が支援を始めたことで、鈴木は九死に一生を得たのである。それを最大級で騙し裏切った悪人を許しておいていいものなのか。しかも、事件の背景を全く考慮せず裁判指揮を執った原審の品田裁判長の意図は何処にあったのか、誰もが納得できないはずだ。A氏や関係者は総力を挙げて品田裁判長を糾弾するべきである》
《FR社で鈴木の側近であった天野氏の死はA氏にとっても痛恨の極みであったはずだ。鈴木の側近のなかでは数少ない道理が通っている人間で、A氏とも良好な関係にあり、生きていれば鈴木に反旗を翻したはずだ。裁判でも鈴木の秘密を知る数少ない有力な証言者となり、裁判もA氏にとって有利な展開になっていたことは間違いない。それだけに、鈴木にとっては非常に邪魔な存在であった天野氏の死には、誰もが懐疑的な見方をしている》
《鈴木がどれほどの悪知恵を持っていても、それは何処まで行っても邪悪な知恵に過ぎず、必ず破綻する。知恵は自身の経験から生まれるものだが、悪知恵は邪な心からしか生まれないから、すぐに暴かれる。しかし、鈴木がそれ程頭が回るのなら、まともな知恵を使えないのか。鈴木は今、1000億円以上の資金を隠匿しているようだが、子孫に残そうとでも思っていたら大きな間違いだ。今のままでは残せる訳はなく、せいぜいが国税や検察に摘発されて国庫に没収されるのがオチだ》
《A氏が宝林株購入の資金を援助した事で西と鈴木の株式投資が実現した。西は、鈴木が親和銀行事件で執行猶予付きの懲役を受けていた為、表面的な動きをさせず自分が主導して宝林株売買を成立させた。鈴木には、購入後の受け皿として海外のペーパーカンパニー数社を準備することを指示した。この時に鈴木にペーパーカンパニーを紹介したのがフュージョン社の町田修一という人物だった。町田は宝林株受渡しの現場にも立ち会っていて、鈴木が、杉原弁護士に指示して金融庁に虚偽の「大量保有報告書」を提出したことも知っていたはずだ》(関係者より)(つづく)