《品田裁判長は、特に株取引に関わる原告の主張を排除することで、争点を曖昧にしてしまった。これが判決を誤らせた最大の原因だと思う。この裁判は貸金返還請求訴訟だが、株取扱に関する合意書も和解書も貸金返還請求と密接な関係にある。合意書も和解書もA氏と鈴木、西の3者が納得して作成したものである。それを鈴木が裁判になって、隠匿資金の存在をうやむやにする為に全てを否定しただけの事だ。裁判官は、鈴木の否定の理由が正しいか否かを判定するだけの事だが、裁判官は正面切って鈴木の虚偽の全てを支持する訳にはいかず、原告の請求を否認するしかなかった。結果、裁判官は被告の主張に加担するような辻褄合わせの判決を下したが、それでは話にもならない。裁判所の都合や裁判官の偏った考えで裁判の勝敗が決定することの、どこに正義や公正さがあるのか》
《昔から役人や政治家の悪評は絶える暇がない。裁判所という組織にはびこる古い慣習を改革するのは当事者である役人達だが、何一つ対応しようとしない。金と権力の魅力に勝てる人間はいないといわれるが、法の番人であるはずの裁判官も我が身の出世の為には信念を曲げ、長いものには巻かれる。三権の中の裁判所がそうであっては、これからの日本は益々腐っていくに違いない》
《特に民事訴訟における制度上の不備が鈴木の裁判から浮き彫りになった。今回の裁判では、長谷川弁護士が提出した「質問と回答書」(乙59号証)のように、捏造されたものでも証拠として通用してしまうことも深刻な問題になっている。宣誓した証人以外は偽証罪に問われる事がないことから、狡猾な長谷川のような弁護士に悪用されるのだろう。こんな事が法廷では当たり前のように通用している現状で、公正な裁判が行えるのか》
《裁判官に対する忌避の申立という制度があるが、実際には申し立てても認められることはほぼないようだ。申しての手続きは、まず申し立ててから3日以内に裁判官1人に対して500円の印紙代を納めて忌避理由書を提出し、最高裁事務総局に対して、不服申出と裁判官人事情報の提供を請求する。そして裁判官の違法性が顕著な場合には、裁判官に対し国家賠償訴訟を起こす。これは、裁判官による違法行為を徹底的に叩く一つの手段だが、裁判所が組織防衛から特に民事訴訟で認めることは無いという。要領のいいヒラメ裁判官を排除し、真面目で優秀な裁判官に出世の道を開くことになるはずの制度だが、再審請求同様に裁判所は組織に不利な制度を悉く建前だけのものにしているのだ》
《裁判官の本音にあるのは、それぞれの認否に対して極力反論機会を減らし、それで事件処理を速やかに済ませて、自身の事件処理能力をアピールすることだと言われている。しかし、これは職権の乱用に当たる。鈴木の裁判ではA氏側が「書面で反論したい」と主張することが重要だった。それでも裁判官が反論機会を認めなかった場合は、さらに異議を唱えて調書に残すべきだが、A氏の代理人弁護士は、果たしてこのような異議申立と反論をしたのだろうか》
《鈴木はこれだけの裏切りをしている以上それなりの報復を覚悟するべきだ。鈴木は、A氏に会った時の事をまるで忘れたかのような言動をしている。要するに、自分に都合よく記憶を無くした振りをしている。時によっては、A氏に対して「大変世話になった」とか、「一目も二目を置いている」と言っているが、心から思っていない事は、その前後の言動を見れば明らかだ。人の親切を弄ぶことは、最低の人間がする事だが、鈴木にはそんな理屈も通じないだろう》
《鈴木は合意書の無効は主張したが、和解協議でも認めた合意書を破棄しようとした西との密約には一切触れなかった。A氏の訴状には書かれていたはずだが、裁判官も無視した。和解協議の場で西が鈴木に詰め寄り「そのくらいは認めろよ」と言って、鈴木が渋々認めた経緯を裁判官は承知していたはずだ。法廷で合意書破棄で10億円の報酬を払った事を鈴木が認める事は、合意書がそれだけ重要だった事実を認める事になる。15億円の借用書を作成した際にも「10億円は社長への返済の一部として西さんに渡した」と債務の減額にすり替え、西も同意せざるを得なかった。鈴木は3人の時に認めた話でも法廷では一切認めていない。これも長谷川元弁護士のアドバイスに間違いないが、裁判でそんなことが通用することが信じられない》
《鈴木がA氏に送った手紙に「100歩譲って西がJASの切っ掛けを作ったということです」と書いていたが、これは鈴木自身が、株取引が合意書に基いて実行されたことを認めるものだった。その一方で鈴木は和解書で約束した支払いについて「…西が一人だったら、何と言おうが、何をしようがビタ一文渡しません」と書き、西に対して強い遺恨を抱いていた事を窺わせた。鈴木にとってA氏同様西の存在無くして今はない。感謝こそすれ恨むことは無いはずだ。鈴木が遺恨に思うほどの裏切りがあったというのか。しかし、鈴木が裏切られたというなら、それは西が合意書に基づいた株取引の利益をまともに分配させるために、鈴木が隠し通してきた真相を明らかにしようとした点に尽きる。西が悔悛したことを遺恨にするなら、それは間違いなく逆恨みだ》(以下次号)