NがA氏に持ち込んだ投資話の一つに「シャピーロファンド」があった。シャピーロという人物名を冠した投資ファンドだったが、Nと米国人のM.Pがシャピーロという架空の人物を設定して創作した実体のないファンドであった。このファンドはシャピーロが投資家から預かった資金をさまざまに運用することで利益を出し、投資家には月に10%以上の配当を出すという触れ込みで、NとM.Pが音頭を取る形で特定少数の友人知人らに持ちかけられたが、ファンドがNとM.Pの創作であることが発覚した際には100億円規模の被害が発生していた。A氏もその一人で被害の総額は約75億円にも上ったが、その他にNが持ちかけた被害者のうちの数人も4億円、5億円もの金額で被害にあった。
Nについてはすでに弊誌でも取り上げてきたが、米国人のM.Pについては不明な点があり、実像に迫れなかったものの、Nがホテルのレストランでたまたま声をかけたことで知り合い、何か儲け話はないかとお互いが持ちかけたことからこの架空投資話を実行する話で盛り上がったようであった。そんな、2人が飲食の中で交わした会話の絵空事で被害が100億円にもなっただけに、M.Pという米国人も相当に悪質な詐欺師であることが分かる。M.Pは2年で10倍にするとA氏に持ちかけ、A氏はM.Pに投資絡みで4.9億円と1億円の出資を2回行ったが、M.Pは過去15年間配当はおろか元金さえ一切返還していない。

このファンドが実態のないものだという事実が発覚したのは、A氏から預かった資金がファンドの事務方をしていた中田早苗という女性の個人名義の複数の銀行口座に預金されていたことが判明したからだったが、その際に、A氏から説明を求められた中田早苗は事実を認めながらも「そんな高額の配当がある投資が本当にあったら、私も真っ先に金を出した」と嘯いたという。

この架空投資話はNとM.P、そしてNの愛人だった中田早苗の3人が共謀して実行したが、中田早苗は3人の娘の母親でありながら、2人と共謀していたのだ。被害の実態はこれまで表面化していなかったものの今回、取材チームが改めて関係者を取材し、集まったいくつもの情報を精査した結果、公表する段階までこぎつけた。M.Pの2人の息子のうち一人(J.P)は名門のハーバード大学卒業という学歴を有しているが、大学への高額の寄付金も全てM.Pが詐欺を働いて得た金だった(ちなみに2018年度の同大学への寄付金総額は1577億円で全米一だったという)。M.Pは本当に詐欺の常習犯である。(つづく)