ビッグモーターを巡る損害保険の不正請求が問題となり、同社と大手損保会社との不適切な関係が指摘されているが、一方でビッグモーターだけではなく、大手損保4社が共同保険に係る価格調整を行っていた疑いから金融庁が報告を求めるという見逃せないコンプライアンス問題をも浮かび上がらせている。

(写真:三井住友海上代理店F・Kの担当者藤井)

大手損保の一角を占める三井住友海上は自動車保険の分野で一定のシェアを占めているようで、保険の勧誘に当たっては、ドライブレコーダの装着を前提とした保険のプランを盛んに宣伝しているが、ある顧客との間で同社の姿勢が問われる不祥事を起こしていることが分かった。
今年の春先に保険の勧誘を受けた顧客が巻き込まれたトラブルは、三井住友海上からドライブレコーダが送られてきたことに始まっている。当初、顧客はこのドライブレコーダが送られてきた意味すら理解していなかった。というのも、所有する車両の保険を代理店F・Kの藤井という担当者から勧められ、手続きを進める中で藤井が保険のプランについて十分な説明もしないまま申込書に盲目的に記載させたからだった。

(三井住友海上の代理店F・Kの藤井に宛てた問い合わせのメール 一部抜粋)

そのため、顧客は送られてきたドライブレコーダを装着しないまま放置していた。すると、2か月ほど経った頃に藤井から顧客に「ドライブレコーダを装着して下さい」という電話が入ったという。
顧客は知り合いに頼んだ所、「それは保険会社か代理店の藤井さんに電話をして、三井住友海上が整備業者を手配して装着作業をしてもらうべきです」と言われた。三井住友海上を介して派遣された整備士は。当初は「1時間ほどでできます」と言っていたが、実際には作業の終了までに2時間以上かかった。その後に顧客が確認してみると、エンジンがかかり難くなっている。しかし、その業者には原因が分からず、「配線の関係だと思います」と言い、顧客もしばらく乗ってみて様子を見ることにしたのだが、その後、エンジンのかかり具合は良くならなかったことから、再度藤井に電話をして整備士に来てもらうことになった。今度は別の整備士が来て車両の状態を診たが、やはり原因が分からず、「ドライブレコーダを外しましょうか」と言うので、顧客も同意した。ところが、その後、別の整備をすることで、よく頼んでいる整備工場に車両を運んだが、その工場から「エアコンが利かなくなっていますが」という問い合わせが入り、工場ではエアコンが利かなくなった原因が分からず、ドライブレコーダの装着と脱却の作業で配線に不具合が起きたのではないかと言う。それは作業に来た整備士も言っていたことだった。それで作業をした整備業者に修理をしてもらうしかないと思い、顧客が藤井に連絡をして整備業者にエアコンの不具合を直すよう要請した。藤井に対しては「貴方の責任で修理をしてもらわなければ困る」と言い、整備工場に車両を持ち込み修理を依頼することになったが、その修理代を藤井か三井住友海上が負担するのは当然だった。だが、藤井も三井住友海上も自分たちの責任を認めようとはせず、さらにトラブルが深刻になった。ドライブレコーダの装着は顧客が頼んだことではなかった。顧客が希望したのであれば、すぐに取り付けていたはずで、藤井が顧客が注文したように保険の申込書に勝手に記載していたのだ。また、ドライブレコーダを外した後に藤井が「ドライブレコーダの料金を返金するので口座番号を教えて下さい」と言うので、顧客は意味が分からず聞き返したくらいだった。顧客は藤井とは35年以上の付き合いがあったので、勝手にこんなやり方をしたことに不快な思いをし、さらに顧客から藤井に何度も電話をすることになったが、トラブル直後から藤井の携帯電話からは「運転中で、電話に出られません」という音声が流れるようになって、顧客の電話には出ないようにしていたのが窺え、一層不快な思いをした。

渦中では、藤井が「三井住友海上の然るべき人間と話をしてください」と言って社員を2名連れて来たが、いずれも権限のない者で、「エアコンの不具合は保険の対象外になっているので、何もできません」と言うだけでトラブルの原因を作った責任には一切触れようとしなかった。そして藤井もまた「この問題は当事者間でお話になって下さい」と知らぬ振りをするような言い方をしたことから、顧客と三井住友海上の社員から「何を言っているのか」とたしなめられる始末だった。
しかし、藤井は自身が顧客に保険プランとドライブレコーダの説明もしないで、三井住友海上を通じてドライブレコーダを購入する手続きを顧客に言わないまま契約をさせた責任を全く感じていない。それどころか、ドライブレコーダの装着と脱却では三井住友海上を介して整備士を派遣させながら、そこで起きたエンジンのかかりの不具合やエアコンが利かなくなった原因を真面に突き止めようもしない。
顧客は、日常的に車両を使う都合から、エアコンの修理をしてもらっているが、これは金銭の問題を越えて、代理店の藤井が何処までも責任を回避しようとする姿勢に問題が発展してしまっている。藤井は顧客とは35年以上の付き合いがあるというのに、なぜ、そのような無責任極まりない態度を取るのか。ドライブレコーダの装着と脱却をした整備業者を斡旋した責任を感じて当然だから、きちんと顧客と向き合って最善の解決方法を取るべきではないのか。それにドライブレコーダが送られてきてから4カ月近くも経過して盆休みに入る中で、トラブルが解決しないために顧客は休み中の予定を全てキャンセルせざるを得なくなる迷惑を被った。藤井が関わる以前には、三井住友海上の歴代の支社長3~4人が、ノルマが達成できない時にはこの顧客に全てお願いしていたという経緯を藤井は承知しているのに、よくこのようなやり方ができるものだ。今までの付き合いは何だったのかと顧客が思って当然だった。今回のドライブレコーダを巡る騒動により顧客は何か月も迷惑を被っているが、藤井はそれに対してどのような責任を取るというのだろうか(以下次号)