(写真:長野君香)

長野君香は、加藤隆一が生前に周囲から隠れ潜んで住む住居を提供し、加藤の世話を焼いてきた女性である。加藤は所在を不明にしながら、以前から懇意にしていた長野の会社の顧問を名乗り、会社の一室に隠れ潜んでいたのである。
長野は、周囲には永らく経営してきた「キミカ」という会社から退いたと言っていたようだが、同社のホームページを見ると、相変わらず長野が代表取締役を務め、自分の名前を冠した「自然化粧品ジュンキミカ」というブランドをしっかりと宣伝しているのだ。長野が扱っている化粧品は「自然化粧品」を謳い、「無効物油 無石油系界面活性剤 無合成香料 無タール系色素」を強調しているが、それぞれの商品価格が6000円以上、中には15000円という商品もあってかなり高額だ。
加藤自身も被害額が100億円以上に及ぶ催眠商法による詐欺を2回も働いて逮捕されるという前科があり、その場しのぎでウソを言い続けてきたが、長野もまた“同じ穴の狢”と言っても過言ではない。しかも前述のホームページには平成15年2月26日付で日本文化振興会より社会文化功労賞を受賞したとして、また同年12月5日付で世界学術文化審議会より国際グランプリ世界最優秀商品に認定されたとするそれぞれの写真が添えられている。そのような栄えある受賞をしているはずの長野が、債権者に対しては嘘を吐きまくり、揚げ句に加藤が死亡すると、その後は所在を不明にしているのだ。

加藤が債権者を騙した手口は、詐欺同然で他人が所有する土地の権利書一式を騙して預かり、権利者が加藤と同じ姓だったために「身内に頼まれたので、これを担保に金を貸してほしい」と債権者の友人を同行して借り入れをする材料にしたものだったが、騙し取った土地について、債権者が加藤に起こした裁判でも「私は何も関わっていない」と嘘の証言をして、当然、判決でも認められなかった。
数年前に債権者から債権の譲渡を受けた第三者が加藤を訪ねた際に応対したのが長野君香で、長野は関係者に「加藤に会わせる」と何回も約束をしたが、結局はその約束を反故にした。また、長野は債権者に対して何度も「責任を持つ」とも言ってきたが、それを忘れたと言える立場にはないはずだ。加藤を庇い続けて債権者との約束を反故にし続けた責任はあまりにも大きいからだ。長野は債権者に「加藤さんには大変お世話になった」と言って「私が保証人になり責任を持ちます」と約束している。加藤の詐欺商法に加担した過去があれば、その真実がいずれ顕在化することを忘れないことだ。

加藤隆一の死亡により長男の昭弘と次男の隆司が揃って相続放棄手続を取ったようだが、死亡後3か月経過後に申請しているため、それで債務返済から逃れることはできない。昭弘も隆司も父親が債権者に多額の債務を負っている事実を以前から承知していたからだ。
そのため、債権者の関係者が昭弘と隆司の自宅を訪ねたが、いずれも応答がなく、手紙をポストに入れたところ、それから間もなくして隆司が住むアパートの管理会社より「加藤は住んでいない」という連絡が入った。隆司は住民登録を平成12年から放置したまま所在を不明にしていたのである。また、長野君香の自宅を訪ねた際も応答はなく、部屋番号のポストには2つの会社名が記載されていて、長野もまた実際に居住しているかどうかさえ不明だった。
こうした加藤の2人の息子の対応を見ると、加藤が被害者続出の詐欺事件を2度も起こして、被害者からの直接の抗議をさんざんに受けて大きなストレスを受けてきたことが感じられるが、仮にそうであれば、なおさら債権者と直接向き合い、問題を根本から解決するために話し合いをするべきでは無いのか。債務者の中には自分のしでかした悪事のために子供たちから疎まれ、「オヤジのことは関係ないし、知らない」という言葉を突き付けられる者が多くいるようだが、子供たちにとってもそれで事が収まる訳ではない。それどころか、債権者が債権を第三者に譲渡すれば、事態はさらに深刻になるだけだ。(つづく)